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2020.04.19
特集
トレーニング・栄養の統合を目指した最高のコーチングを【ニュートリションな人々 #01 ~清野隼さん②~】
Kiyohiro Shimano
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ニュートリション関係者の人物背景や取り組みについて紹介するオープニング企画。第1回目は、ストレングス&コンディショニングの資格を保有しており、日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士でもある筑波大学・清野隼さんの半生を振り返る。今回はVol.2。

清野さんは、森永製菓株式会社が運営する「トレーニングラボ」で、長くトップアスリートを指導してきた。競技力やコンディショニングのためにトレーニングと栄養の両面を踏まえてコーチングし、現在筑波大学の特任助教として、現場で行われている実践知の体系化に向けて、多くの仕事に就いている。

トレーニングと栄養のパイプ役に

 すぽとり 大学を卒業後、ウイダートレーニングラボ(現:森永製菓トレーニングラボ、以下ラボ)に所属して選手たちのコンディショニングやパフォーマンスの向上にかかわる仕事に就いたわけですが。

清野 当時のラボではストレングス&コンディショニングを重視していて、年間の強化計画やトレーニングプログラムに沿って、生理学的な観点から効果的な栄養摂取をさせることを求めていたので、トレーニング、栄養関連の資格を取るための勉強でより知識を蓄えました。

所属後1年くらいで、NSCAが認定するCSCS※1(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)、NSCA-CPT※2(NSCA認定パーソナルトレーナー)の資格を取り、その後現場を一定期間経験した上で受験資格を満たした管理栄養士の国家試験を受け、資格を取得しました。

※1 傷害予防とスポーツパフォーマンス向上を目的とした、安全で効果的なトレーニングプログラムを計画・実行する知識と技能を有する。

※2 健康と体力のニーズに関して、評価・動機づけ・教育・トレーニングやコンディショニング全般の指導を行う、優れた専門的能力を持つ。

CSCS、CPTの資格を取る時に、他のトレーナーからは「栄養士志望のヤツが何やってんだ?」みたいな感じでしたけど(笑)

すぽとり 大学時代のデジャブがここでも(笑)

清野 ええ。でも、競技スポーツの現場でプロとして生きていくためには、トレーニングや栄養に関する資格認定は確実に必要だと思ったので、周りの目は気にしませんでした。

僕は選手のコンディショニングにかかわる仕事をする以上、資格はきちんと取っておいた方がいいと思っています。選手たちへの礼儀、礼節という意味で。資格がなくても当然仕事はできますが、身を預ける人間がきちんと資格を持っていれば、安心して任せられるのではないでしょうか。

そうやって僕ら専門職が努力し続けることは、選手が競技力向上のために日々努力していることと全く同じことだと思っています。それも一緒に対峙して、強化を歩む上での礼節だと。

すぽとり ラボに所属した当初は、トレーニングや栄養サポートの仕事だけでなく、“営業”もしていたそうですね。

清野 そうなんですよ。もともとラボは一般の方に解放していたんですが、アスリートやチーム、団体へトレーニングや栄養の知識、ノウハウを提供するということで、サポートの対価として、しっかりと金銭をいただくということをしていました。

「どのようなサポートを提供すれば満足していただけるか」を考えながらも、お金に結びつけなくてはいけないので、専門資格を持つ営業マンみたいでしたね。だから当時は、経営学やマネジメントの本も読んでいました。

アスリートやチームの方々からは「何が足りないか」「体を大きくしたい」「動きを速くしたい」などを聞かれることが多かったですね。当然、栄養の専門家として訪問するわけなので食からのアプローチをするんですが、こうした課題は何も栄養だけの話に限りません。トレーニングも大きく影響します。ですから、トレーニングと栄養の両面を絡めて話をすると納得してもらえて、契約に結び付いたこともありました。

また、森永製菓が販売していたプロテインの営業マンとも現場に行って、商品や飲み方の説明もしていましたね。営業なんてしたこともありませんから、相手に話を聞いてもらうためのトーク技術も学べました。話をよく聞くことで相手のニーズを導き出す直感力や、その人その人の「観点を区別する力」は身についたかなと思います。

ちなみに、今のトレーニングラボは営利目的に沿った方針ではありません。あくまで僕が所属した当初の話です(笑)

<③に続く>

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