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2020.04.21
特集
トレーニング・栄養の統合を目指した最高のコーチングを【ニュートリションな人々 #01 ~清野隼さん④~】
Kiyohiro Shimano
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ニュートリション関係者の人物背景や取り組みについて紹介するオープニング企画。記念すべき第1回目は、ストレングス&コンディショニングの資格を保有しており、日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士でもある筑波大学・清野隼さんの半生を振り返る。

清野さんは、森永製菓株式会社が運営する「トレーニングラボ」で、長くトップアスリートを指導してきた。競技力やコンディショニングのためにトレーニングと栄養の両面を踏まえてコーチングし、現在筑波大学の特任助教として、現場で行われている実践知の体系化に向けて、多くの仕事に就いている。

指導は人対人、ニーズをくみ取り、その人の観点を理解することが大事

すぽとり 清野さんは、世代・競技レベル問わず、一般の方も含めてコーチング経験が豊富です。指導を受ける方とどのように接していますか。

清野 競技特性についてはある程度把握しているので、「これが必要だな」というのは何となく頭の中にあります。以前までは、指導に入る前にいろいろなことを下調べして臨んでいました。自分自身も不安な点があったので。でも、最近ではあまり情報を詰め込みすぎないようにしています。

まずは人と人、一対一でフラットに接するように心がけています。競技レベルや年齢など先入観を持たずに。そうすると、それぞれの抱えている問題点やニーズの本質がよく見えてくるような気がします。僕がSNSをやらない理由もその一つというか・・・惑わされたくないんですね(笑)

すぽとり やっぱりそこは人として付き合い、よく観察することが大事なんですね。

清野 僕はスポーツニュートリションの観点に捉われず、総合的に高い視座で競技力やパフォーマンスの向上を捉えたいので、最初に選手から出てくる言葉が何なのか。そこから栄養にどう起因しているのかを探るようにしています。

いわゆる「ファーストクエスチョン」と「ファーストボイス(リアクション)」をとても重要視しています。

すぽとり 個人とチームの指導で違いはあるんでしょうか。

清野 両方を経験していますが、どちらかというと、個人的にはパーソナル対応が難しいと感じています。性格や考え方を踏まえてより細かく観察する必要があるので。

チームの場合は、設定した目標に向かって全員で取り組んだ結果、大きな変化や成果として表れてくるので、やっていて面白みはあります。さまざまな統合要素が存在する分、それがイノベーションとして現れた時のインパクトの大きさが、チームサポートの醍醐味でもありますね。

すぽとり 指導をするときに心がけていることはありますか?

清野 個人もチームも、僕はその都度タイムリーで的確な指導ができるように心がけています。ずっと同じ時間を共有して、観察できる時間が長ければ状況把握も思うようにできますが、実際はそうではありません。

ですから、普段身近にいるトレーナーや監督と密にコミュニケーションをとって状況変化を把握しつつ、何か問題が顕在化してくる、もしくはする前にその対策として現場で直接指導をするといった形になります。

最初は、選手の意識や考え方を変えるために、ある程度の強制的指導は必要だと思いますが、その先にあるのは個人個人で主体性をもって向き合っていくことだと思っています。

コーチングの観点で言えば、「自己決定連続性モデル」という考えが当てはまります。細かな栄養の話をする前に、人間力の強化というか、関わり方教育のようなものも必要になってきますね。

<⑤に続く>

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