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2020.04.22
特集
トレーニング・栄養の統合を目指した最高のコーチングを【ニュートリションな人々 #01 ~清野隼さん⑤~】
Kiyohiro Shimano
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ニュートリション関係者の人物背景や取り組みについて紹介するオープニング企画。記念すべき第1回目は、ストレングス&コンディショニングの資格を保有しており、日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士でもある筑波大学・清野隼さんの半生を振り返る。

清野さんは、森永製菓株式会社が運営する「トレーニングラボ」で、長くトップアスリートを指導してきた。競技力やコンディショニングのためにトレーニングと栄養の両面を踏まえてコーチングし、現在筑波大学の特任助教として、現場で行われている実践知の体系化に向けて、多くの仕事に就いている。

基礎研究をどう実践に結び付けるか

すぽとり トレーナー、スポーツニュートリショニストとしていろいろな経験をされてきましたが、現在どのような活動をしていますか?

清野 大きく分けて4つの視点で仕事に取り組んでいます。一つ目は選手・チームの強化。2つ目は大学院生やスポーツニュートリショニストを目指す学生、指導者の方への教育・指導。

専門職はサステナビリティが一つの課題だと思っていますので、どうやったら次代のスポーツニュートリショニストの成長を促せるのか。また、栄養のことを知っていただき、連携につなげていくためにも、チームの監督・コーチ、トレーナーへ情報提供もしています。

3つ目がマネジメント。現所属の筑波大学社会人大学院、競技団体(医科学スタッフ)やプロ球団の寮を運営する企業のアドバイザーなどの仕事をしています。トレーニングラボでも、現在はアドバイザーという立場でニュートリションチームの人や物事をどう好循環機能させることができるかを考えています。

そして、最後は研究。実践知を形式知にすることです。。

すぽとり スポーツニュートリション分野でも研究に基づいたエビデンスが日々アップデートされています。

清野 スポーツ現場での実践研究や実践報告、コーチングは形式知にすることで、一つのエビデンスになると思っています。栄養サポートをした後、どのような成果があったのかをきちんと整理して論文化し、誰が見てもわかるように後世に残していくべきだと思っています。。

例えば、プロテインやアミノ酸などの食品素材をスポーツ現場で使用してどのように体が変わったか。そういった基礎研究をどうやったら強化の現場に応用できるのかということは、非常に難しいという声をよく聞きます。

われわれスポーツニュートリショニストには、基礎研究で得られたデータをいかに実践に落とし込み、議論を深めて、どのように正しくアウトプットするかが求められているはずです。

基礎研究、実践研究を分けて考えるのではなく、両方を統合した考え方をもってスポーツ現場で生かせるエビデンスを蓄積していきたいですね。

すぽとり 私たちが知りたいのはまさにその部分。運動をする時にどんな物を食べてどうトレーニングすれば体が変わるのか。競技レベルが高まるのか。専門家からきちんとエビデンスが出れば、競技・年齢問わず活用できると思うんですよね。

清野 もっと頑張りたいと思います。

すぽとり ところで、清野さんは2018年から筑波大学に所属を移して、新しい研究をしているそうですね。

清野 「コーチング学」を切り口に、競技力向上のための栄養サポートの在り方や「スポーツニュートリショニストの卓越性」をテーマにして研究を進めていこうと思っています。

すぽとり それはどのようなものでしょうか。

清野 現在執筆している博士論文がまさにそのテーマなのですが、2013年に文部科学省が取りまとめた、「スポーツ指導者の資質能力向上のためのタスクフォース報告書」によると、コーチングは、「競技者やチームを育成し、目標達成のために最大限のサポートをする活動全体」と定義されています。

さらにコーチとは、このコーチングを行う人材であるとも定められています。そうすると、栄養サポートを行うスポーツニュートリショニストも、私はコーチだと捉えています。そのような立場で行う栄養サポートは、競技力向上のためにどうあるべきかを明らかにしたいと思っています。

すぽとり 栄養サポートもコーチングである」と。

清野 そうです。その中で、スポーツニュートリショニストの卓越性として、トップアスリートや日本代表選手を指導しているスポーツニュートリショニストの発話を録音して、会話の中からどのようなアドバイスや教育が行われているのかを探求していきたいと思っています。

まだまだこれからですが、この前段階で、北極冒険家・荻田泰永さんが毎年夏に小学生を対象に行っている100マイルアドベンチャーに同行して、荻田さんと子供たちの会話を録音し、行動をすべて撮影してきました。

2週にわたって帯同したので膨大なデータ量になりましたが、発話をテキスト化した後、AI(IBM社 Watson)で荻田さんの行動を分析し、論文化することを現在進めています。

荻田さんは冒険家でありながら、コーチであると僕は思っています。昨年で2回目の参加でしたが、荻田さんの何気ない会話や行動をきっかけにして、子供たちが変わっていくのを何度も目の当たりにしてきました。

すぽとり 荻田さんにお会いしたことがありますが、先生とは違った雰囲気で子供たちと接しながらも子供たちに考えさせることを大事にしている。荻田さんは謙遜しますが、立派な教育だと思います。

清野 そうなんです。ですから、荻田さんの行動を分析することで、どの場面で教育の機会が生み出されたのか、自然の中でどのようなリスクマネジメントをしているかなどをうかがい知ることができると思っています。

それで、これをスポーツニュートリショニストの指導局面にも応用して落とし込んでいき、「指導の見える化」、スポーツニュートリショニストが取り組んでいることを形にして発信していきたいと思っています。

そうすれば、最終的に競技力の向上につながると思いますし、他分野の専門家が見ることで「スポーツニュートリショニストにはこんな優れた能力があるんだ」とわかってもらえるのではないでしょうか。道のりは長いですが、これからも努力していきたいですね。

すぽとり 今回は清野さんの生い立ちから考えまでを丸裸にしたわけですが(笑)。スポーツニュートリションが広まって行く中で、新しいことにチャレンジしながら、今後のことを幅広く考えていらっしゃることがよくわかりました。

清野さんとお会いしてからいろいろな議論をしていますが、どんどん先進的になっていると感じます。

これからのご活躍に期待しています。どうもありがとうございました。

<完>

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