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2021.11.17
食事・栄養学
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ウェイトコントロール 減量編② ~減量のための食事・栄養摂取~【Z世代におくるスポーツ栄養講座 #18】
坂元 美子(神戸女子大学、管理栄養士)

神戸女子大学・坂元美子先生による「Z世代※)におくるスポーツ栄養講座」。スポーツ選手にとって、自分の体重を管理することは仕事といってもいい。一般の人でも増量・減量は気になるところだ。ウェイトコントロールの基礎解説第4回目は減量編②。効率的に減量をするための食事・栄養摂取について解説する。

※) Z世代とは、欧米で10~20歳を指す言葉として使われている。すぽとりでは「成長世代」と同義と捉えて使用する。

記事と動画の双方を見て、より理解を深めていただければ幸いです

基本は高たんぱく質・低脂肪、ビタミン・ミネラルも忘れずに

前回、減量をするには「体脂肪を減らすこと」とお伝えしました。運動で体脂肪をエネルギーとして消費し、食事では脂質の摂取量を減らすことで、減量という目的を果たすことができます。今回は、減量と食事・調理法について解説していきます。

最初に見るべき物は食材で、特に脂質をいかに摂らないようにするかを考えます。ただし、除脂肪(体脂肪以外の筋肉・水分・骨・内臓)量は維持したいので、たんぱく質・ビタミン・ミネラルはしっかり確保し、脂質を減らすことが基本になります。

たんぱく源となる肉や魚は、部位によって脂質が多く含まれているので上手に選択したいところです。マグロならトロより「赤身」、鶏肉ならももより「ささみ」、牛肉・豚肉はロースより「ヒレ」が望ましいです。いずれも脂質が少なくたんぱく質が多い食材になります。

減量時の王道食材である鶏のささみは、多くの人が食べていると思いますが、鉄分が豊富な赤身の肉や魚の方をお勧めします。減量のために有酸素運動(持久運動)をするので、よりマッチする食材だと思います。また、豚のヒレ肉に多く含まれているビタミンB1は、運動をする上で必要なエネルギーを作りやすくしてくれます。

油不使用の調理、ノンオイル、低GI値食品…ポイントを押さえて効果的な減量を

調理をする時にできるだけ油を使用しないことも減量を成功させるポイントになります。例えば、脂質が多めの鶏もも肉を使用する場合、から揚げではなく「卵とじ」、豚ロースならとんかつではなく「生姜焼き」にすることで、脂質の摂取を抑えることができます。煮物や網焼きも、調理の過程で食材から脂分が落とされるので有効です。

脂質をたくさん使用したマヨネーズやドレッシングなどの調味料は、減量中に使うのを控えたいですね。どうしても使用したい時は「ノンオイル」の物を選びましょう。低脂肪・無脂肪の牛乳やチーズはたんぱく質に加えてカルシウムも豊富なので、減量中も積極的に摂るようにしてください。

減量のための有酸素運動をすることでエネルギーは消費されます。エネルギー源となる炭水化物は消費された分、必要量を補給することも大事になってきますが、炭水化物の中でも食後に血糖値が急上昇するような物だと体脂肪の合成を促すことになります。ですから、減量をする時は、食後血糖値の上昇幅が緩やかな物を選択するのが賢い方法といえます。

この上昇を示す指標を「グリセミック・インデックス(GI)」といい、糖尿病患者の食選択にもかかわってくる重要なものです。減量中に低GI値の食品を摂ることで、食後血糖値の上昇を緩やかにして体脂肪の合成を抑えながら、エネルギー源として確保することになります。そば・全粒粉パン・玄米などが低GI値の炭水化物として挙げられます。

減量の時であっても食事量自体を減らしてしまうと、ストレスがたまってリバウンドの原因になったり、たんぱく質・ビタミン・ミネラルの摂取量が減って除脂肪量を維持できなくなったりすることになります。低エネルギーでビタミン・ミネラルが豊富な「野菜」「きのこ類」はしっかり摂りましょう。これらを使用する場合も「油を使わない調理法」「調味料はノンオイル」を意識しておきたいですね。

最後に、サプリメントを摂取する上での注意点を挙げておきます。最近、ダイエット用サプリメントがたくさん販売されており、いろいろな所で目にする機会も多くて使用経験のある人もいると思います。

食物繊維を配合することで糖質の吸収を抑えて(食後血糖値の上昇を緩やかにして)脂質の合成を抑制する作用があったり、排便を促進させて老廃物を体外に出しやすくしたりする物があります。これらは、減量に影響がある物を摂りにくくさせる一方、生命活動や運動に必要な栄養素の吸収を阻害してしまうことがあり、栄養素不足や体調不良をひき起こす場合があります。交感神経を刺激したり、代謝を向上させたりする成分が含まれる物も、摂り方を間違えれば同様のリスクが生じることもあり得ます。

さらに、ドーピングコントロール下にあるスポーツ選手にとって、体感の高いサプリメントはドーピング違反の危険性と隣り合わせであることも頭に入れておきましょう。手っ取り早く減量したいがためにサプリメントに頼るのは早計で、その前に見直すべきところはあるはずですよ。

2回にわたって減量について解説してきました。根幹になるのは「有酸素運動を増やす」「脂質を減らす」です。この2つを頭に入れながら、これまでお伝えしてきたアドバイスを組み合わせて効果的に減量しましょう。<完>

1年半の間送りしてきたZ世代向けのスポーツ栄養講座・基礎編はいったん終了になりますが、取り上げるべきトピックスがあり次第、記事を公開いたします。来春から新企画を予定していますので、お楽しみに!

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坂元 美子(神戸女子大学、管理栄養士)
Yoshiko Sakamoto
神戸女子大学卒業後、名将・仰木彬監督、イチローが在籍するオリックス・ブルーウェーブ(当時)の栄養サポートを担当。在任中に球団の栄養サポート体制を構築、日本シリーズ制覇も経験した。その後、スポーツ系専門学校を経て母校に戻り、健康スポーツ栄養学科で教べんを執る。特に、サッカー・野球の栄養指導・サポートに定評があり、強豪校での指導経験が豊富。企業との共同研究、スポーツサプリメント開発を手掛けるなど、活動の幅は広い。プロのスポーツ現場で雇用された管理栄養士の先駆け。

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