料理家で世界を知るトライアスリートでもある高橋善郎さんによるレシピ開発企画「アスリート体感料理」。騒がしい日々もひと段落した今季、高橋さんはエイジグループの大会出場を視野に始動しました。今回から、スポーツ選手としての一面(レースへの臨戦過程や結果、トレーニング方法)と料理家としての一面(自身のコンディショニングと食事)を合わせた内容で隔月連載していただきます。
こんにちは! 6月に熊本県でおこなわれるレースに出場予定でしたが、都合が合わず残念ながら見送ることに。少し間隔があきますが、9月に三重県でおこなわれる「伊勢志摩トライアスロン」に照準を定め、もう一度体づくりをしていこうと思います。時間ができたと前向きに捉えて!
現状としては、レースに出るための基礎はできつつもベストコンディションまではほど遠く、まだまだ時間をかけてトレーニングをしていく必要があります。そんな中で今の課題は「心肺機能の向上」。
とりわけ、トライアスロンは3種目で長時間にわたるため、心肺機能が強くないとパフォーマンスを十分に発揮することが難しく、レース中の心肺機能のコントロールも非常に大事になってきます。
序盤でペースを上げ過ぎてしまうと後半のバイク、ランでタイムを上げるのが難しい。反対に、前半抑えて後半で上げようと思ってもそもそもの強度がないと上げられない。ペース配分がなかなか難しい・・・。ランニング、バイクトレーニングで心肺機能を高めることはもちろんできますが、体への負荷も大きいので故障のリスクも高まります。
そこでうまく活用したいのが「スイムトレーニング」。体への負担が最小限に抑えられ、心肺機能の向上には最適。スイムトレーニングをうまく取り入れながら、コンディションを少しずつ上げていきます。
スイムトレは練習できる場所が限られてしまいますが、調べてみると結構市民に開放している所も多いんです。僕は世田谷区在住ですが、区の施設、近所の中学校などジムに登録しなくても気軽に行ける場所があるので、トレーニングの幅も広がって助かっています。
スイムトレで心肺機能の強度アップを図るトレーニングはさまざまですが、僕のおすすめは30秒で25mのダッシュを4~6本繰り返すもの。ダッシュといっても大切なのは8~9割くらいの出力でフォームを意識しながら泳ぐことです。
泳力にもよりますが、1本のダッシュで20秒かかったとしたら、残りの10秒前後で呼吸を整えて次のダッシュという流れ。筋肉も心肺機能もかなり鍛えられます。最初は4~6本から始めて、こなせるようになったら8本まで伸ばしてみましょう。
この内容からピンとくる方もいるかもしれませんが、これはまさしく立命館大学・田畑泉先生考案の「タバタ式トレーニング」。20秒間の高強度運動と10秒間の休息を1ラウンドとして8回繰り返すものに近い形になり、心肺機能の飛躍的な向上が期待できます。
スイムトレで懸念されるのは、プールが混み出すと自由に動けなくなること。これから本格的に夏を迎えると、利用する人が増えて混雑してきます。でも、このトレーニングなら、時間帯を見計らってプールへ行き、短時間集中でパッと切り上げても、高い効果が見込めます。その点からも、今の僕にとっては最適なトレーニングになります。
そして、トレーニング後はしっかり栄養補給! どんどん暑くなっていく中で、食欲も落ち気味になります。そんな時だからこそ、スパイスをきかせた料理でエネルギーをチャージ。疲れも残さないようにしましょう。今回はみんな大好き、そして簡単に作れて栄養も摂れる「スタミナカレー炒飯」をご紹介します!
<材料(2人分)>
・温かいごはん:350g
・焼豚(市販品):100g
・ニラ:50g
・桜えび:5g
・マヨネーズ:大さじ2
・味付き卵(市販品):1個
・ごま油:小さじ1
・小ねぎ(小口切り):適量
【A】
・めんつゆ:大さじ2
・カレー粉/おろしにんにく:各小さじ1/2
・一味唐辛子(七味唐辛子でも可):少々
<作り方>
焼豚は粗みじん切りにする。ニラは1cm幅に切り、味付き卵(市販品も可)は半分に切る。小さめのボウルに【A】を入れ、混ぜ合わせる。
① ボウルに温かいご飯、マヨネーズを入れて混ぜ合わせる。フライパンにごま油をひいて熱し、ご飯を入れ、中火~強火で全体がパラパラになるまで炒める。
② 焼豚、ニラ、桜えびを加え、具材全体を混ぜ合わせる。具材を中央に寄せ、フライパンのふちに沿って【A】を回し入れ、手早く炒める。器に盛り付け、小ねぎ、味付き卵(市販品)をのせる。
<ポイント>
・温かいご飯にマヨネーズを混ぜ合わせることでパラパラになりやすくなります。
・フライパンのフチに沿ってたれを回し入れることでより香ばしく仕上がります。
・焼豚と桜えびを組み合わせ、さらにカレー風味にすることでやみつき感のある炒飯に仕上がります。
炒飯は単純に食べやすいというのもありますが、たんぱく質をいつもより多めに加える、またスパイスで食欲を刺激すればアスリートフードに早変わり。スイム後だけでなくバイク、ランニングの前後でももちろんOK!
トライアスロンに限ったことではなく、心肺機能を鍛えることでさまざまなスポーツでパフォーマンスの質を高めることができると思います。
最近はマスクをして生活をすることが多くなり、呼吸がついつい浅くなりますよね。その結果、疲労が溜まりやすくなりがちですが、心肺機能を刺激することを覚えればトレーニングシーンだけでなく、普段の生活でも深い呼吸で体の調子を整えることもできます。心肺機能を鍛えてこの暑い夏を乗り切りましょう! <<次回へ続く>>
Yoshiro Takahashi / 1988年 神奈川県生まれ
●得意料理:和食料理 / 魚料理全般 / 和菓子 / アスリート系ごはん
●ジャンル:和食 / 魚料理全般 / おつまみ / 健康・スポーツ / おもてなし / 酒類(日本酒、ビール 、ワイン)
●モットー:「もっと料理を楽しく、身近に」
●趣味:書道 / スポーツ(トライアスロン・バスケットボール)
【公式HP】 【ブログ】 【YouTube】 【Facebook】 【Twitter】 【Instagram】
高橋さんが経営する和食料理店「凧 HANARE」
〒156-0052 東京都世田谷区経堂1-19-10 セントラル経堂 B1F TEL:03-6413-0790