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2020.03.18
海外情報
「摂取タイミング」は当たり前!?【米国のスポーツニュートリション事情 #01 ~後編~】
Kiyohiro Shimano
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前編では、自身もアスリートとして活躍し、マーケティングの最前線に身を置く協和発酵バイオのジョン・テノリオさんに、米国のスポーツニュートリション事情について話をうかがった。後編は、ジョンさんの本職であるマーケティングの立場から、サプリメントの使い方、考え方、日本との違いなどを言及していただいた。

米国では運動前後の「摂取タイミング」が浸透

すぽとり 今回はジョンさんの本業であるマーケティングの目から米国のサプリ事情について教えてください。まずはトレンドから。

ジョン・テノリオさん(以下、JT) プロテインの人気がやはり圧倒的ですね。スポーツ、美容、ヘルスケア分野…あらゆる面で「プロテイン」という文字は出てきますし、「プロテイン入り○○」という商品も非常に多いです。

粉末、RTD(レディトゥドリンク:すぐに飲めるドリンクタイプ)、バーなど多様ですが、さらに一般の食品に配合するケースも増えていて、プロテイン入りポテトチップスといったスナックまで範囲が及んでいます。

米国サプリストアのプロテイン商品ライアンアップ

プロテインの種類もいろいろあります。米国では動物保護や環境問題の側面から、空前の「プラントベース(植物性)」ブームが続いていて、ライス(米)、ソイ(大豆)、ピー(エンドウ豆)、ヘンプ(麻)と、動物性(ホエイ、カゼインなど)以外のプラントベース素材が市民権を得てきています。

乳性に比べるとBCAAの含有量が少し劣るのですが、その分、乳性では得られない有用な栄養成分が含まれていたり、ノンアレルゲンだったり、それぞれで特長があるので、体質や生活スタイルによってライスを選ぶ人、ソイを選ぶ人と多様化されています。

すぽとり 日本でもプラントベースは徐々に入ってくるようになりました。

JT 乳性のプロテインが依然人気ですが、米国ではプラントベースプロテインがそれを上回る勢いでシェアを伸ばしつつあります。現状、8:2の割合ですが、将来的に7:3、6:4となる可能性を秘めています。米国の主流が数年後に日本へ到達するといった流れから、日本でもこれから多くのプラントベースプロテインが出てくると予想されます。

すぽとり プロテイン一つとってもいろいろな商品があるように、食品やサプリの文化がとても進んでいますね。理由は何なのでしょうか?

JT 一つはストアの充実。米国にはサプリ専門ストアが各地にあって、それこそセブンイレブンやマクドナルド、スターバックスなどと同じくらい目にします。サプリ専門店なので、店員の知識レベルが高く、一人一人の生活に役立つ情報をお客さんに提供することができます。

例えば、「10kg増量したいんだけど」と店員に要望を伝えると、お客さんの体質や目的に合わせて、配合成分や摂取タイミングを考え、最適な商品を勧めてくれます。だから、間違った商品選びをすることもないですし、合わなければまた店員に相談することもできるのです。店員は、成分の効果・効能を理解するために論文を読んでいますから、かなり詳しいですね。

すぽとり 日本ではお店でなかなかそこまではしてくれません。

JT 日米では医療制度が異なりますので、健康(=病気予防)のためのサプリという意識がとても高く、サプリの市場もとても大きいものになっています。多くの店舗では、しっかりと店員教育がなされていて、それがストアの充実につながってくるのです。

もう一つ、日本にはない文化として、摂取タイミングごとに商品棚が別れていることも挙げられます。

すぽとり スポーツシーンでは、かなり前から摂取タイミングが重要と思っていましたが、意外と知られていないというか。

摂取タイミングごとに商品棚が分かれている

JT 米国では、摂取タイミングがスタンダードになっています。運動前(プレワークアウト)、運動中(ワークアウト)、運動後(ポストワークアウト)と摂取すべき栄養成分や欲しい効果も当然異なるので、摂取タイミングによって商品をカテゴライズするのはお客さんにとってもわかりやすいシステムですね。

すぽとり 「本当は運動前に摂取してほしいのに、なぜか運動後に摂取する人が多いんだよね。摂取タイミングを間違わなければもっと体感や効果が上がるのに」という声を聞いたことがあります。

摂取タイミングを意識すれば、商品選びや体感も変わってきますし、もっと効果も上がるのではと思うんですが。「いつ摂る」を説明している商品はまだまだ少ないですね。

JT 五輪の開催を控える日本では、スポーツニュートリション分野で変化が起きています。意識の高いスポーツ愛好家も増えてきていますので、海外の流行が数年後に日本に到達するように、販売システムも変わってくるのではないでしょうか。

すぽとり 摂取タイミングの話題になったので、それぞれで人気の高いサプリを教えてください。運動前はエネルギー補給や酸素の運搬能力を向上させる物でしょうか。

摂取タイミングの区分けは飲料にまで

JT そうですね。クレアチン(筋肉増強)、アルギニン(血管拡張)、β-アラニン(持久力)、カフェイン(覚醒)がポピュラーです。

新しい物として、ヌートロピック(Nootropic)が注目されています。脳の機能を高めるといった意味で、バコパ、チロシン、タウリン、アシュワガンダなどがあります。ここ10年では運動前といえばカフェインでしたが、トレンドが変わりつつあります。試合やトレーニング前に神経を研ぎ澄ませて、限界まで力を発揮できるということで人気が急上昇しています。

ちなみに、僕が最初に摂取したのがクレアチンでした。アメフトを始めた高校時代、クレアチンを摂取してからトレーニングをすることで、みるみるうちに体が大きくなりました(笑)。

米国では例えば、運動前に適したAという素材とBという素材を組み合わせて、AとBの効果を持たせる商品が多いですね。つまり、素材単体ではなく、素材の組み合わせを非常に意識して、より効果の高い商品づくりを常に考えているといえます。

すぽとり 運動前に何を摂るか。競技特性やトレーニングの内容によってもさまざまだと思いますので、しっかりと意識したいですね。では、運動中はどうでしょうか。

JT BCAA、EAA、ロイシンなどアミノ酸系ですね。トレーニング中はどんどん疲労(筋分解)がたまっていくので、粉末を溶かして飲料形態にしておくことで、水分補給と栄養摂取を図ります。汗で流れてしまったナトリウム、マグネシウム、カルシウムを補給することも重要ですね。

すぽとり 運動後はいかがでしょうか。

JT プロテイン、オルニチン、グルタミンなどがあります。プロテインは、リカバリー効果を上げるためにアミノ酸を配合した物や乳とプラントベースのプロテイン同士を組み合わせたりする物もあります。

また、プロテインの消化・吸収を助けるために乳酸菌や酵素を配合する物もあり、プロテイン+αというのが主流になっています。

すぽとり 摂取タイミングによってもずいぶんラインアップが変わってきますし、素材同士の組み合わせがカギになっているんですね。多分、例に挙げたのは一部で、まだまだありそうですね。

JT 米国では常に研究や商品開発が進められているので、これから出てくる物、新しいトレンドが生まれてくるでしょう。僕はそれを観察しながら、日本で新しい市場を開拓していきたいと思います。

すぽとり ジョンさんの経験を踏まえた、米国の事情がとてもよくわかりました。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

<完>

協和発酵バイオの商品ラインアップ

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