すぽとりと親和性の高い話題(スポーツ、スポーツニュートリション、食品・栄養、健康、生産分野ほか)について、気になるニュース、研究動向などを厳選し、記事にまとめました。今回は各分野の世界市場動向について。
【世界のダイエット市場 需要拡大で2027年までに10.5%以上の成長見込み】
減量・体重管理ダイエットの世界市場は、2020年から2027年の間に10.5%以上の成長が見込まれている。なお、2019年は約1920億米ドル(約21兆1000億円)だった。
減塩・低カロリー食品・飲料はカロリーの総摂取量を減らすために利用され、特にベター・フォー・ユー(BFY:健康志向)製品は好まれる傾向にある。玄米、サツマイモ、オートミール、クリーム・オブ・ホット・ライス・シリアル、全粒粉パスタなどは低カロリー食品として人気。体脂肪を燃焼させて体重を減らすためのプロテインシェイクやプロテインバーなどの食事代替品も注目されている。
これら商品の多様化のほかに、糖尿病などの生活習慣病、肥満人口の増加が今後予想されていることもあり、世界の減量・体重管理ダイエット分野の重要が高まり、世界的に市場の成長を加速させる流れが予想される。最近では、COVID-19が世界中に広まっているため、さまざまな地域の政府がウイルスの拡散を防ぐために、フィットネスセンターやジムを一時的に制限したことで、減量や体重管理を目的としたダイエットの利用が促進され、状況が改善されるとみられる来年の市場は大きく成長すると考えられている。
地域別でみると、北米は、肥満や慢性疾患の増加、健康や栄養価の高いライフスタイルに対する人々の意識の高まりを背景に、市場シェアの面で世界をリードしている。2020~2027年の予測期間においては、アジア太平洋地域の伸長が予想され、フィットネスセンターやジムの増加、肥満人口の増加、個人の可処分所得の増加などの要因により、減量・体重管理ダイエット市場の成長が見込まれている。<市場調査レポートプロバイダー「Report Ocean(レポートオーシャン)」の分析より>
【世界のエナジードリンク市場 ミレニアル世代で需要急拡大、10兆円規模で推移】
世界のスポーツ・エナジードリンク市場は、2020年に933億米ドル(約10兆2606億円)規模に達し、2021~2026年で緩やかな成長が見込まれている。
運動時に失われた体内の電解質や炭水化物を補給するためのスポーツドリンクは、塩化物、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウムなどが豊富に含まれており、トップスポーツ選手やスポーツ愛好家からの需要が高い。スポーツドリンク市場は、運動前の水分補給に適した「アイソトニック」、運動時の水分補給に適した「ハイポトニック」、浸透圧が体液より高い「ハイパートニック」に分類され、アイソトニック飲料が最大の市場シェアを占めている。
一方、精神的・肉体的な刺激を与えるエナジードリンクは、カフェイン、アミノ酸、ハーブエキス、甘味料などが主原料として採用され、瞬時にエネルギーを補給できるため、世界中で特にミレニアル世代(25~40歳)を中心に需要が急増している。ヨガやエアロビクスなど従来とは異なるフィットネス活動の人気が高まっていることに加え、ハーフマラソンやフルマラソンへの参加が増加していることから、世界的にエナジードリンクの需要が高まっている。
さらに、消費者がオーガニックではないスポーツドリンクやエナジードリンクの常用による健康問題を意識するようになったため、いくつかのメーカーがオーガニックのガラナや生のグリーンコーヒー豆エキスなどの天然成分を含むドリンクを発売したことで市場が拡大している。エナジードリンク市場はアルコール飲料と非アルコール飲料に分けられ、アルコール系飲料が市場シェアの大半を占めている。非オーガニックのエナジードリンクが市場をけん引する主要カテゴリーになっている。<市場調査受託「㈱グローバルインフォメーション」のレポートより>
【世界のスポーツテクノロジー市場 データ分析・ウェアラブルと多様な需要、コロナ禍で促進】
2026年までのスポーツテクノロジーの世界市場規模は、2021年の179億米ドル(約1兆9700億円)から年平均成長率(CAGR)17.5%を示し、2026年には402億米ドル(4兆4200億円)に達すると予想されている。
近年、プロスポーツ団体は、スポーツデータ分析、スマートスタジアム、ウェアラブルデバイス、デジタルサイネージなどの新技術を採用し、チームのパフォーマンス向上、ファンの囲い込み、スマートインフラの提供などを行っている。スマートスタジアムは、世界中で開催されるスポーツイベントの数が増加していることから、重要なグローバルトレンドとなっている。
COVID-19の影響が医療、教育、金融、商業の各分野に波及する中、スポーツのエコシステムも同様で、世界中のスポーツ活動はウイルスの発生と拡散のために停止。感染予防のため、選手たちは誰もいない競技場でプレーし、ファンに対してはより良い視聴体験を提供するための技術が用いられる環境になった。ライブアップデートの増加、ソーシャルメディアでのアップデート、カメラアングルの追加、VRヘッドセットの使用などが、ファンの視聴体験とエンゲージメントの向上につながった。
スポーツアナリティクスはスポーツ組織の機能に重要な役割を果たしている。スポーツテクノロジーの進歩により、組織はチームやビジネス運営に関する意思決定を改善できるようになった。また、ファンがブログを書いたり、レビューを投稿したりするためのソーシャルメディアプラットフォームの導入が進んでいることも、世界中でスポーツアナリティクスの需要を押し上げる要因と予想されている。
ラグビーの試合では、IoT(ネット経由でモノを遠隔で操作したり、監視したりする)対応デバイスを使用することで、コーチや選手はリアルタイムのゲームインサイトに基づいて意思決定を行い、選手の個々の要求に合わせたトレーニングセッションを設計できるようになり、各対戦相手に対して高度な戦略を実行することが可能になる。Sansible Wearables社は、ショルダーパッドに装着するインテリジェントなセンサー「LiveSkin」をラグビー選手向けに提供し、トレーニングセッションや試合中の衝突情報を収集することで、タックル方法や選手のパフォーマンスや健康への影響についての理解を深めることが可能になった。<㈱グローバルインフォメーションのレポートより>
【世界の植物エキス市場 COVID-19への対抗で免疫力向上ニーズ】
植物エキスの世界市場規模は、2021年の308億米ドル(約3兆3900億円)からCAGR6.0%を示し、2026年には553億米ドル(約6兆8900億円)に達すると予測されている。
健康志向の高まりやヴィーガン(完全菜食主義)の増加などが植物エキス市場をけん引し、ハーブエキス、エッセンシャルオイル、フレーバー(香料)は高い人気を得ている。2021年時点で世界のヴィーガン人口は約7900万人(国連発表)に至っており、これは消費者の間で植物由来の食品を摂取するメリットが注目されていることに起因している。
植物性食品に対する消費者の認識の変化に伴い、主要な食品・飲料メーカーの中には、自社の主要な最終製品に植物性原料を含めることを戦略的に検討し始めた。COVID-19に対抗するために薬用植物エキスを研究も進んでおり、世界保健機関(WHO)のガイドラインでも、免疫力を高める食品を摂取することを提案している。そのため、医薬品・栄養補助食品業界では免疫力を高める特性を持つ薬用植物エキスの需要が急増している。
食品香料は自然界に有害な影響を及ぼすこともあるため、使用される食品添加物に対する関心から安全性や潜在的な健康リスクに関する懸念が高まっている。消費者は、合成成分を含む食品・飲料を摂取する悪影響をますます意識するようになっており、健康団体や食品安全協会は、食品・飲料に人工調味料を使用することを禁止している。米国食品医薬品局(FDA)は、禁止された香料の代替として天然抽出物を安全な選択肢として薦めている。<㈱グローバルインフォメーションのレポートより>
【世界のスポーツニュートリション市場 ユーザー数・販売場所の増加、製品多様化などで伸長】
2020年に448億米ドル(4兆9300億円)規模に達した世界のスポーツニュートリション市場は、2021年~2026年でCAGR5.1%で推移すると予測されている。
スポーツドリンク、プロテインパウダー、栄養補助食品、プロテインバーなどが市場をけん引。トップスポーツ選手や運動習慣のある成人は、除脂肪体重の増加や体組成の改善、パフォーマンスに影響を与える肉体的疲労、負傷、回復の遅れなどの影響を軽減するなど、さまざまな目標を達成するための製品が次々と誕生している。
成長要因としては、生活習慣病の可能性を低減しつつ、フィットネスを維持するために健康的なライフスタイルを維持することにシフトする社会情勢が影響している。また、医療費の増加や都市化の進展(歩行数の減少)などの要因が、スポーツニュートリション製品の需要を押し上げている。カジュアルユーザーやレクリエーションユーザー、プロのボディビルダーやスポーツを職業とする若者の数が大幅に増加していることも、市場の成長にプラスに働いている。
さらに、ヘルス&フィットネスセンターがスポーツニュートリション製品を積極的に取り扱い、販売するケースが増えていることも市場に好影響を与えている。天然素材や植物由来の成分を取り入れたり、ヴィーガン対応の製品を導入したりすることで製品の多様化が進み、多くの人に受け入れられている。<㈱グローバルインフォメーションのレポートより>