前回は、おやつを第4の食事として捉え、成長をサポートするために必要な栄養素についてお話しました。

子どもは成長のスピードが早く、その分たくさんのエネルギーと栄養が必要です(関連記事)。今回は朝・昼・夜それぞれの食事で、特にしっかり摂りたい栄養素についてご紹介します。

ちょっとした食事作りのヒントもお届けしますので、ぜひ参考にしてくださいね。

朝食でエネルギーチャージ! ~元気にスタートを切るために~

朝食は寝ている間に使われたエネルギーを補給し、脳と体を目覚めさせる大切な食事です(関連記事)。

国立教育政策研究所が毎年実施している「全国学力・学習状況調査」でも、「朝食をしっかり食べた子どもは、学力や運動能力が高い傾向にある」という結果が出ています。食べることが難しい子は、「パンだけ」「おにぎりだけ」でもいいので、まずは食べる習慣をつけるとよいでしょう。慣れてきたら子どもが食べられる食材を中心に朝食を考えていくと成長に必要な栄養素をプラスしやすくなります。

朝食で特に意識したい栄養素は、炭水化物・たんぱく質・ビタミン類です(表1)

栄養素 主な働き 多く含まれる食品 
炭水化物脳のエネルギー源ごはん、パン、めん類、いも類、バナナなど
たんぱく質筋肉や内臓をつくる卵、ヨーグルト、ハム、チーズなど
ビタミン類エネルギー代謝を助ける野菜、果物、きのこ類、海藻など

※ビタミン類は種類によってはたらきが異なるため、さまざまな食品から摂取するのが理想的です。特に、ビタミンB群はエネルギー代謝に重要で、豚肉や大豆製品にも多く含まれています。

「ごはん+納豆+卵焼き+みそ汁」のような和朝食は、これらの栄養素をバランスよく摂れる理想的な組み合わせです。とはいえ、「理想はわかるけど、そんな時間がない」という方も多いはず。

朝食は作り置きできる物やカットするだけの食材を中心に、さっと皿に盛り付けられる食材を上手に活用してみましょう。「おにぎり+ゆで卵+果物」や、「チーズトースト+トマト」など、手軽に用意できる炭水化物、たんぱく質、ビタミンがとれる食材を一つずつ取り入れられるといいですね。

昼食で集中力をキープ ~学びと遊びを支える栄養~

昼食は夜まで活動するスタミナと、勉強などへの集中力も保てるように、鉄・たんぱく質・食物繊維が摂れる食材を意識しましょう。

また、朝食のときには食欲がわかず、食べられなかった食材もここで取り入れられるといいですね。幼稚園・保育園・学校の給食は子どもに必要な栄養バランスが考えられています。ぜひ参考にしてみましょう。

昼食で特に意識したい栄養素は、鉄・たんぱく質・食物繊維です。

栄養素 主な働き 多く含まれる食品 
脳に酸素を届け、集中力をキープ赤身肉・ほうれん草・ひじきなど
たんぱく質筋肉や内臓をつくる肉・魚・大豆製品、卵など
食物繊維腸内環境を整え、腹持ちを良くする野菜、海藻、きのこ類など

例えば、鶏肉ときのこの炊き込みごはん・チャーハンに、野菜たっぷりスープを添えればバランスは良くなります。

また、「うちの子、野菜が苦手で…」という悩みもよく聞きますが、細かく刻んで子どもの好きなミートソースやハンバーグに混ぜると食べやすくなります。 好き嫌いがある場合は、無理せず、まずは食べやすい形で少量から試してみるのがコツです。

夕食は疲れたからだを癒す時間 ~栄養のリカバリー~

夕食は一日の疲れを癒し、明日への活力を養う食事です。運動や勉強で消耗したエネルギーを効率よく補給しましょう。

「今日は野菜が少なかったから野菜を多く取り入れよう」「たくさん体を動かしたからたんぱく質をしっかり食べさせよう」など、一日の活動を振り返りながら、食事のバランスを考え栄養素を補う食事も良いでしょう。

夕食では、成長のためのエネルギー補給、疲労回復につながるように、たんぱく質の他にビタミンとミネラルのバランスを意識しましょう。

栄養素 主な働き 多く含まれる食品 
たんぱく質筋肉や内臓の修理肉、魚、大豆製品、卵など
ビタミンA・C・E抗酸化作用、疲労回復緑黄色野菜、柑橘類等の果物
ミネラル(鉄・カルシウム)骨や血液をつくる牛乳、小松菜、大豆製品、ひじき

例えば、「玄米ごはん+鮭のホイル焼き+ひじきの煮物+みそ汁」は、これらの栄養素をバランスよく含む夕食の例です。鍋にカット野菜やきのこ、肉や豆腐を入れて煮るだけで栄養たっぷりのスープができ上がりますよ。

また、食後の腸が動いている状態では脳や体が休まらず、寝つきが悪くなります。遅い時間の食事は避け、寝る2時間前までには食事を済ませましょう。

思春期になると、太りたくないなどの理由で「食べない」という選択をしてしまうことがあります。しかし、食事を抜くと成長に必要な栄養素が不足し、体だけでなく心の健康にも影響を与えかねません。

「食べること=体を大切にすること」という意識を持ち、無理なく続けられる食習慣を家族で一緒に考えていきたいですね。

まとめ

子どもの成長を支える食事にはどんな栄養素が必要かイメージできたでしょうか?

完璧を目指さなくても、ちょっとした工夫で栄養バランスは整えられます。1回の食事ごとに考えるのではなく、「ちょっと野菜が少なかったかな?」と思ったら、その日の食事や、2〜3日間の食事で補えるようにしていきましょう。

無理なく楽しく毎日の食卓を少しずつ充実させていくことが長続きするポイントです。

㈱ミールケア 食育開発部