<スイム&泳いだ後>運動で火照った体をクールダウン! 疲労回復も狙える冷製パスタ【高橋善郎のアスリート体感料理 #05】

料理家で世界を知るトライアスリートでもある高橋善郎さんのレシピ開発企画「アスリート体感料理」。第5回目は「スイム」「泳いだ(運動)後」がテーマ。

日ごろのトレーニングや大会出場時など高橋さんの体感を基に、どんな物が食べたいか、何を食べたらいいかを踏まえて、トライアスロンを構成する3種目、スイム・バイク・ランを愛する人たちに向けて、摂取するタイミングにも言及したスポーツフードを提案します。


水泳後に摂る食事のポイント

地域によっては梅雨も開けて夏もいよいよ本番に近づいてきました! 気温が上がってくるにつれて、外に出るのもおっくうになって運動する機会が減ってきますが、その中でもプールや海で泳ぐという頻度は高くなってくると思います。

泳ぐことで体や気持ちもリフレッシュできますし、高いエネルギー消費も期待できつつ、体への負担も少ないので体造りやダイエットを目的とした方にもおすすめ。

そして、せっかく泳ぐのであれば、泳ぐ機会と一緒にベストなタイミングで食事も摂って、その運動効果を高められたら一石二鳥ですよね。

前回は、泳ぐ前に摂った方がいいものということで簡単エナジー補給スムージーを紹介しましたが、今回は泳いだ後に積極的に摂りたいもの、そして避けた方がいいものにフォーカスを当ててみたいと思います。

では、泳ぐ前と後で摂るべきものがそんなに違うのか? 結論からいうと、何を摂ってもOKです。

なぜなら、この連載コラムでもよく出てくるワードですが、大前提として「目的」やその方の「体質」によって摂るべきものが変わってくるので、そこを明確にして組み立てることが何より大切。そこから栄養素について気にしてみたり、あとは季節に応じた旬の食材を取り入れて料理を楽しんだりする方が、僕個人の経験からも長続きする方法だと感じているからです。

そして、泳ぐことの目的については「疲労回復」「基礎体力や筋力アップ」「脂肪燃焼」などいろいろありますよね。他の運動と違って、水泳の良いところは泳ぐことで消費するエネルギーに加えて、筋肉も同時に鍛えることができるので、基礎代謝も高くなり、リバウンドしづらい体づくりにも最適なんです。

何より、長い距離が泳げなくても水にぷかぷかと浸かるだけでも疲労回復効果は期待できるので、今回は「疲労回復」という目的でそれに合う簡単レシピを紹介します!


◎オクラとほぐし鶏の冷製パスタ

【材料(2人分)】
・パスタ(細麺タイプ):120g
・サラダチキン(プレーン):1枚(120g)
・オクラ:8本
・モッツァレラチーズ(ひとくちタイプ):10個

A-オリーブオイル:大さじ3
-パセリ(粗みじん切り):大さじ1
-レモン汁 / オイスターソース / しょうゆ:各小さじ1
-カレー粉 / おろしにんにく:各小さじ1/2
-塩 / 粗びき黒こしょう:各少々

【作り方】
①サラダチキンは手で粗くほぐす。ボウルにAを入れ、混ぜ合わせる。

②鍋にたっぷりの水、塩(分量外:使用する水に対して3%量を目安に)を入れ、沸騰させる。パスタを製品の時間通りゆでる。ゆであがる1分前にオクラを入れ、一緒にゆでたらザルにあけて冷水でしめる。

③オクラのがくを切り落とし、乱切りにする。①のボウルにほぐしたチキン、オクラ、水切りしたパスタ、モッツァレラチーズを入れ、しっかり和える。器に盛り付け、お好みでカットレモン(分量外:適量)を添える。

《ポイント》
・夏場は細い麺の方が食べやすいので細麺を使用していますが、太麺で代用いただいても大丈夫です。パセリはドライパセリで代用いただいても作れますが、生のパセリを使用することでより香りよく仕上がります。
・カレー粉と相性のいいオイスターソースを使用すると食べ応えもアップ!サラダチキンの代わりにソーセージやハムなどで代用いただいても美味しく仕上がります。

今回はパスタでも冷たいパスタ。水泳で火照った体を体内から冷やす役割もありますし、麺類なら暑くて食欲がない時でも食べやすいんです。また、鶏むね肉に含まれる「イミダゾールジペプチド」には疲労回復や抗酸化予防の効果が期待できるといわれています。

スーパーやコンビニで売られているサラダチキンは鶏むね肉を使っている場合が多いので、栄養も摂れて時短にもなるので忙しい方にも嬉しいですよね。そして、鶏むね肉のたんぱく質に加えて、良質な脂質も含むチーズも加えれば夏場におすすめのパスタの完成!

逆に泳いだ後に気をつけたいこととしては、上記のようなしっかりと食事でエネルギー補給をすること。水泳後につなぎでプロテインやジェル、スポーツドリンクを飲むのはもちろんOKですが、それだけで終わってしまうと十分な回復が見込めません。また、高カロリーな料理や糖質を多く含むデザート類を食べると、せっかく消費したエネルギー以上のカロリーを摂取してしまうので注意が必要です。

スポーツセンターだけでなく、学校でもプールを開放しているところは調べてみると意外にあったりします。このコロナ渦で運動不足になっている方も少なからずいらっしゃるかと思いますが、まずは「水中で浮かんでみる」くらいの気持ちで気軽に始めて、徐々に自分のやる気スイッチを入れてみてはいかがでしょうか?

<次回へ続く>


高橋善郎 / Yoshihiro Takahashi

1988年 神奈川県生まれ

得意料理:和食料理 / 魚料理全般 / 和菓子 / アスリート系ごはん

ジャンル:和食 / 魚料理全般 / おつまみ / 健康・スポーツ / おもてなし / 酒類(日本酒、ビール 、ワイン)

モットー:「もっと料理を楽しく、身近に」

趣味:書道 / スポーツ(トライアスロン・バスケットボール)

【公式HP】   【ブログ】 【YouTube】  【Facebook】 

【Twitter】 @yoshiro_food

【Instagram】 yoshiro_takahashi 


高橋さんが経営する和食料理店「凧 HANARE」

住所:東京都世田谷区経堂1-19-7 セントラル経堂 B1F

TEL:03-6413-0790

好相性の食材を組み合わせて疲労対策②(@Summer ver.) ~ライ麦パン×イチジク×パイナップル~【スポーツ食マッチング #09】

「季節感(食材の旬)」「好相性の食材を組み合わせて相乗効果を図る」「強化目的」――この3点を踏まえたスポーツ食を提案する「スポーツ食マッチング」。第9回目は夏の食材を使用した「疲労対策編②」です。

本企画は神戸女子大学 健康スポーツ栄養学科 坂元ゼミとのコラボ企画で、栄養解説は坂元美子先生、レシピ作成&調理は坂元先生監修の下、森田紀子さん(4回生)が担当しました。

Z世代のスポーツ選手を想定して献立を作成していますが、自炊しているスポーツ選手、部活のマネジャー、スポーツ習慣のある成人の方などにもご活用いただけます。簡単、かつ栄養価の高い献立になっています。

「Z世代におくるスポーツ栄養講座」動画一覧

「好相性の食材を組み合わせた目的別スポーツ食」動画一覧

動画「すぽとりChannel」


【疲労対策に必要な栄養素は?】

<ポイント>

運動後2時間以内3:1(炭水化物:たんぱく質)で摂取

Z世代(成長期)のスポーツ選手にとって、試合やトレーニングで消費したエネルギーをできるだけ早く補充することが疲労の回復につながってくる。成人やスポーツをしていない人にとっても、日常生活の中でおこる肉体的な疲労や精神的な疲労を蓄積させないことにもなり、心身の健康に保つことになる。

特にスポーツ中の筋活動や、脳のエネルギー源として体内に貯蔵されているグリコーゲンの材料となる炭水化物と、筋肉やそのほか体の修復に使われるたんぱく質はしっかり摂る。

炭水化物とたんぱく質を運動後2時間以内に3:1の割合でとると効率良く、より早くグリコーゲンと体の回復ができるといわれている。さらに、クエン酸を一緒に摂ることでグリコーゲンの回復効率がさらに良くなることが分かっている。

トレーニングをたくさんした人、試合でエネルギーを多く消費するようなスポーツ選手、日常的にハードワークを行っている人、精神的な疲労が蓄積しやすい人は、摂取タイミングも考えて取って炭水化物とたんぱく質を組み合わせて摂取したい。

【好相性の食材組み合わせ】

疲労対策のために組み合わせたい食材は、ライ麦パンと、イチジク・梅・パイナップルなどの果物(今回はイチジク、パイナップルを採用)。

ライムギパンは炭水化物でありながら、運動で使ったエネルギーと同時に必要量が増えるビタミンB1も多く含んでいるので、とても使い勝手の良い食材。その他、玄米や胚芽米、全粉粒の小麦粉を使用した物も栄養成分の構成は似ているので、自分の体質に合わせて摂るようにしよう。

炭水化物、ビタミンB1と同時にパイナップル・イチジクに含まれるクエン酸をとることで、運動で使用したエネルギー源のグリコーゲンを素早く回復させることができる。今回使用するチーズに含まれるたんぱく質もグリコーゲンの素早い回復に一役買う。クエン酸やビタミンB群が豊富なイチジクやパイナップルの旬は6~8月で、夏場に買いやすい食材なのでうまく組み合わせたい。

【摂取タイミング】

運動後やエネルギーをたくさん使ってから2時間以内。この時間帯にグリコーゲンの回復が活発に行われるので、組み合わせとタイミングを考える。


◎イチジクとパイナップルの生ハムピザ

<材料(1人分)>

ライ麦パン:67g(6枚切り1枚)
イチジク:40g(イチジク1/2個)
パイナップル缶:45g(1枚)
クルミ:6g
生ハム:10g
ピザ用チーズ:25g
はちみつ:14g
黒コショウ:少々

<手順>

①イチジク、パイナップルを好みの大きさに切る
②クルミを袋に入れてたたく(適度な大きさになるまで)
③ライムギパンの上に、いちじく・パイナップル・クルミ・生ハム・チーズを乗せる
④トースターで焼く
⑤はちみつ、黒こしょうをかけて完成

<栄養量(1人分)>

<レシピ作成&調理担当:森田 紀子 / Noriko Morita>

好相性の食材を組み合わせて疲労対策①(Spring ver.) ~ライ麦パン×ハム×オレンジ~【スポーツ食マッチング #05】

「季節感(食材の旬)」「好相性の食材を組み合わせて相乗効果を図る」「強化目的」――この3点を踏まえたスポーツ食を提案する「スポーツ食マッチング」。第5回目は「疲労対策編 ①」です。

本企画は神戸女子大学 健康スポーツ栄養学科 坂元ゼミとのコラボ企画で、栄養解説は坂元美子先生、レシピ作成&調理は坂元先生監修の下、壽栞里さん(4回生)が担当しました。

Z世代のスポーツ選手を想定して献立を作成していますが、自炊しているスポーツ選手、部活のマネジャー、スポーツ習慣のある成人の方などにもご活用いただけます。簡単、かつ栄養価の高い献立になっています。

「Z世代におくるスポーツ栄養講座」動画一覧

「好相性の食材を組み合わせた目的別スポーツ食」動画一覧

動画「すぽとりChannel」


【疲労対策に必要な栄養素は?】

<ポイント>

運動後2時間以内3:1(炭水化物:たんぱく質)で摂取

Z世代(成長期)のスポーツ選手にとって、試合やトレーニングで消費したエネルギーをできるだけ早く補充することが疲労の回復につながってくる。成人やスポーツをしていない人にとっても、日常生活の中でおこる肉体的な疲労や精神的な疲労を蓄積させないことにもなり、心身の健康に保つことになる。

特にスポーツ中の筋活動や、脳のエネルギー源として体内に貯蔵されているグリコーゲンの材料となる炭水化物と、筋肉やそのほか体の修復に使われるたんぱく質はしっかり摂る。

炭水化物とたんぱく質を運動後2時間以内に3:1の割合でとると効率良く、より早くグリコーゲンと体の回復ができるといわれている。さらに、クエン酸を一緒に摂ることでグリコーゲンの回復効率がさらに良くなることが分かっている。

トレーニングをたくさんした人、試合でエネルギーを多く消費するようなスポーツ選手、日常的にハードワークを行っている人、精神的な疲労が蓄積しやすい人は、摂取タイミングも考えて取って炭水化物とたんぱく質を組み合わせて摂取したい。

【好相性の食材組み合わせ】

疲労対策のために組み合わせたい食材は、ライ麦パンとハム、オレンジ

ライ麦パンは炭水化物だが、運動で使ったエネルギーと同時に必要量が増えるビタミンB1も多い。ハムはたんぱく質をとることができる。材料である豚肉はビタミンB1を豊富に含んでいるため、この組み合わせがお勧め。

さらに、同時にクエン酸を摂ることで、運動によって使用したエネルギー源のグリコーゲンを、素早く回復させることができる。クエン酸を多く含むオレンジは、国産物の場合1~3月が、輸入物はバレンシアオレンジが4~10月、ネーブルオレンジは11~3月が旬。ビタミンCも多く、ストレス対策にも期待できる。

ライ麦パンのほかに、玄米や胚芽米、全粉粒の小麦粉などは炭水化物ではあるものの、一緒にビタミンB1も摂れる。

【摂取タイミング】

運動後やエネルギーをたくさん使ってから2時間以内。この時間帯にグリコーゲンの回復が活発に行われるので、組み合わせとタイミングを考える。


◎ハムと野菜のライ麦サンド

<材料(1人分)>

ライ麦パン:6枚切り×2枚
粒マスタード:5g
スライスチーズ:36g
ハム(ロース):26g
レタス:40g
たまねぎ:25g
トマト:40g
マヨネーズ:15g
塩・こしょう:少々
オレンジ:100g

<手順>

(下準備)
たまねぎ:薄切りにして、水にさらしておく
トマト:厚さ約5mm~1cmに輪切りする
レタス:食べやすい大きさに切る(ちぎってもOK)
オレンジ(デザート):くし切りにする

参考動画:くし切りをマスターしよう!

① パンを焼く(約3分)
② 片面にマスタードを塗る
③ チーズ、ハムの順でのせる
④ ③の上にレタスを全体にのせ、マヨネーズを塗る
⑤ 塩、こしょうをふる
⑥ たまねぎを全体にのせる
⑦ トマトをのせて、パンで挟む
⑧ サンドイッチを食品用ラップで包む。この時、強めに包んだ方が形を崩さずきれいに切れる
⑨真ん中で切って、でき上がり

<栄養量(1人分)>

エネルギー:668 kcal
たんぱく質:24.9g
脂質:28.0g
炭水化物:80.3g
カリウム:671 mg
カルシウム:293 mg
鉄:2.6 mg
ビタミンD:0.2㎍
ビタミンB1:0.52mg
ビタミンB2:0.30mg
ビタミンB6:0.34mg
ビタミンB12:1.3㎍
ビタミンC:63 mg

<レシピ作成&調理担当:壽 栞里 / Shiori Kotobuki>

<ランナー&走った後>筋肉だけでなく「胃」にやさしい食事を【高橋善郎のアスリート体感料理 #03】

料理家で世界を知るトライアスリートでもある高橋善郎さんのレシピ開発企画「アスリート体感料理」。第3回目は「ランナー」「走行(運動)後」がテーマ。

日ごろのトレーニングや大会出場時など高橋さんの体感を基に、どんな物が食べたいか、何を食べたらいいかを踏まえて、トライアスロンを構成する3種目、スイム・バイク・ランを愛する人たちに向けて、摂取するタイミングにも言及したスポーツフードを提案します。


走った後の「食」は胃のコンディションとも相談する

気持ち良く運動した後や追い込んだ後は、その充実感からついつい体のケアがおざなりになってしまう方も少なくないと思います。疲労はできるだけ残さず、次のトレーニングに向けて体をしっかりとケアしていきたいものですよね。

一般的によくいわれているのが運動後の「ゴールデンタイム」という言葉。これは運動やトレーニング後、30分から1時間ぐらいまでが最もたんぱく質吸収には絶好のタイミングということでご存知の方も多いと思います。この言葉からも体のケアの内容はもちろん「早く」というのも重要ということがわかります。

僕は普段、中距離で体に負担がそこまでかからないトレーニングをメインに行っています。大会が近づいていることもあって、先週久々に高強度のランニングトレーニングを行いましたが、筋肉はもちろん、「胃」へのダメージが強くありました。リカバリを狙ってたんぱく質中心の食事をしましたが、正直なかなか食べる量が進まず、体内への吸収もいま一つだったように思います。

体をケアするためにスピード、そして質は大切なのですが、「胃」へのダメージも考慮した食事も大切なのだと感じました。特に、これからの季節はジメジメしてきて心身ともに不快感を覚え、食が進まなくなることもあるので、より一層胃への意識は大切にしたいところです。

最近改めて気づかされた体験から、今回はそうめんを活用した手早く作れる料理で、疲れていても比較的あっさり食べられるレシピをご紹介いたします!

豚肉のビタミンB郡は疲労回復効果に効果的で、梅肉の酸味であるクエン酸やリンゴ酸も合わさることで、さらに疲労回復効果を高めることができるんです。


◎梅肉風味の豚しゃぶそうめん

【材料(2人分)】
・そうめん:4束(1束50g)
・豚薄切り肉(しゃぶしゃぶ用):150g
・ミニトマト:8個
・みょうが:3本
・長ねぎ:1/4本
・ゆで卵(市販品):2個
・白ごま:適量

A)めんつゆ(2倍濃縮):150ml
A)水:150ml
A)梅肉(チューブタイプ):小さじ1と1/2
A)ごま油/しょうが(すりおろし):各小さじ1

【作り方】

① へたを取ったミニトマトは横半分に切る。みょうが、長ねぎは輪切りにし、水に約5分浸して水気を切る。ゆで卵は殻をむき、横半分に切る。
② ボウルにA)を入れ、混ぜ合わせる。
③ 沸騰した湯に豚肉を入れて、火が通るまでサッとゆでたら冷水にとる。鍋のあくを取り除き、そうめんを入れ、製品の表記通りにゆでたら冷水でしめる。水気を切ったら、用意した食材と一緒にバランスよく器に盛り付け、白ごまをかける。

《ポイント》

・今回は長ねぎ、みょうがを使用していますが、大葉やきゅうりを加えるとさらにさっぱりとした味わいに。お好みで刻みのりを添えてもおいしいです。
・ゆで時間が早いそうめんがおすすめですが、流水タイプのうどんなど手軽に使える麺類でアレンジしても◎。

これからじわじわと気温も上がり、スポーツイベントも盛り上がってくる時期に。トレーニングのモチベーションを上げるためには、やっぱり頑張った自分へのご褒美も必要だと思います。簡単で体が喜ぶ美味しいごはんをご褒美に、胃や内臓などにも気を配りつつ、内側から強い体作りを目指していきましょう!

 <次回に続く>


高橋善郎 / Yoshihiro Takahashi

1988年 神奈川県生まれ

得意料理:和食料理 / 魚料理全般 / 和菓子 / アスリート系ごはん

ジャンル:和食 / 魚料理全般 / おつまみ / 健康・スポーツ / おもてなし / 酒類(日本酒、ビール 、ワイン)

モットー:「もっと料理を楽しく、身近に」

趣味:書道 / スポーツ(トライアスロン・バスケットボール)

【公式HP】   【ブログ】 【YouTube】  【Facebook】 

【Twitter】 @yoshiro_food

【Instagram】 yoshiro_takahashi 


高橋さんが経営する和食料理店「凧 HANARE」

住所:東京都世田谷区経堂1-19-7 セントラル経堂 B1F

TEL:03-6413-0790

練習後のおにぎりを選手たちが開発!! 考える力引き出すスポーツ食育「おにぎり選手権」

オンライン時代における新しいスポーツ食育の在り方

東京都世田谷区に本拠を置く「駒沢サッカークラブ(FC駒沢)」は、育成年代の男女サッカー、男女フットサルチームがあり、都内でも上位の成績を誇る古豪。技術的な指導もさることながら、食事・栄養摂取の重要性を育成年代から教育している。同クラブで副理事長を務める武田雄哉さんは、ジェフユナイテッド千葉・市原で長く指導し、プロを目指す上で育成年代における食育の大切さを身近に感じてきた。

そして、ジェフ時代に武田さんと一緒に選手への栄養教育を行っていたのが、博士(スポーツ健康科学)でスポーツニュートリショニストの鈴木いづみさんだ。鈴木さんは、大手企業で一貫してスポーツニュートリション関連の職務を担当し、その後独立。現在は、育成年代からプロまで、特にサッカーの栄養指導・サポートを中心にしながら、研究活動にも力を注ぐ。武田さんとの縁で現在、FC駒沢の栄養アドバイザーを務めている。

FC駒沢では年1回、選手に向けて栄養講習を行っているが、昨年はチーム全員で集まりにくい状況で対面での実施が困難になった。武田さんは「コロナ渦でも充実した学びを提供できるクラブでありたい」と考え、選手と保護者が参加できるオンライン講習を月1回実施することを鈴木さんに依頼した。コロナ対策にもつながる免疫関連の話題から始まり、自粛期間中の食生活、糖質・たんぱく質摂取の必要性、サッカーに特化した栄養学など、内容は多岐にわたった。

オンライン講習はおおむね好評ではあったが、「実践できているか」という点では少し物足りなかった。駒沢FCでは以前から、体の成長を踏まえた「練習後の食事」を重視しているが、食事に時間をかけると感染リスクが高まるため、実践しにくい状況になってしまった。武田さんは「選手たちの成長は待ってくれないので、感染対策をしたうえで練習後の食事を習慣にしてくれないかなと思っていました。それで、練習後すぐに食べられて栄養補給できる理想的な食べ物のおにぎりを題材に、楽しく学べる機会ができないかと鈴木先生と相談して考えついたのが『おにぎり選手権』だったんです」と、企画の経緯を話す。

選手たちは講習で得た知識をおにぎりで表現し、指導陣は講習の理解度が図れて、練習後の食事の大切さを再度インプットする。おにぎり選手権は、対面での栄養教育ができず、選手への理解度が図りにくいオンラインの弱みを、アイデアと工夫で補ったオンラインならではの新しいスポーツ食育。多くのチーム・団体でぜひ模倣してもらいたい。武田さん、鈴木さんとも、選手から送られてくる大量のおにぎり写真の整理と採点で疲労困ぱいになったことはさておいて…。

まじめに楽しく本格的なイベントを

大会のテーマである「練習後に食べるおにぎり」に求められることとして、①消費したエネルギーの回復、②筋肉の修復・新しい筋肉の合成、③全体的な疲労の回復が挙げられる。必要な栄養素は①から順に、糖質(ごはん)、たんぱく質(肉・魚・大豆・卵・乳)、ビタミン・ミネラル(野菜)である。

この点は、鈴木さんが講義で選手たちに解説しているため、選手たちは過去の講義を踏まえておにぎりを開発する必要がある。また、具材が大きすぎるとおにぎりの中に入り切らないため、少量でも栄養素がたっぷり詰まった食品を選ぶセンスも求められる。

選手たちが開発したおにぎりを審査するのは鈴木さん。ただ単に栄養素が入っているだけではおもしろくないため、細かい採点基準を設けた。基準は2つに分かれており、10点満点項目は1)具材(①~③がそろっているか)、2)コストパフォーマンス(栄養と値段のバランス)、3)再現性(マネしやすさ)の30点。5点満点項目は、4)自作、5)うんちく(具材に含まれている栄養素を説明できるか)、6)大きさ、7)ネーミング、8)形・ルックス、9)フォトジェニック(映え、工夫をこらしたおにぎり写真の撮影)の30点。計60点満点で採点し、トップ10の選出に加えて、1)~9)の各部門の優秀者賞を選出することにした。スポーツ選手の気質(順位づけ、採点、負けず嫌い)を踏まえて、参加しやすい環境を作った。

大会当日は開会式から始まり、おにぎりの歌を参加者で斉唱、選手宣誓、優秀者の言葉と、イベントと相違ないプログラムで進行した。オンラインとはいえ、70人を超える参加者が集まったのは、リアルさを求め、まじめに楽しく栄養を理解してもらいたいという指導陣の強い思いが伝わった証拠でもある。

選手たちが開発したおにぎりはレベルの高い物ばかり!

鈴木さんが審査した70人超のおにぎり。どれも開発者の思いやこだわりが詰まった物だ。鈴木さんも「みんなに満点を上げたいと思うほど、甲乙つけがたい作品が出そろいました。選手たちは企画の意図をきちんと理解していたし、私が伝えてきたことをおにぎりで表現してくれました!」と総評した。

ここでは、上位者、各部門受賞者が開発したおにぎりの一部を、写真と開発意図を交えて紹介していく。サッカーを頑張るお子さんを持つ親御さん、選手自身も参考にしてもらいたい。なお、コメントは、選手たちが書いた原文を基に編集した。

 

<第1位>

「元気モリモリおにぎり」

【具材と期待される効果】 枝豆(ビタミン)、梅(クエン酸)、しらす、かつおぶし(カルシウム)、塩昆布(鉄)、しそ(アクセント!!)

【開発者からのコメント】 具材一つ一つに効果があり、たくさんのエネルギーがとれます! 練習後に食べるということで、たくさんの栄養を取ることができ、疲労回復のできるおにぎりにしました!! 「簡単に食べられる」ということを第一優先にしてこの大きさにしました!!

 

<第2位>

「関西のおばちゃん直伝にぎり」

【具材】天かす、チーズ、おかか昆布、白ごま、雑穀米(米・もちきび・ 胚芽押麦・キヌア)

【開発者からのコメント】 たんぱく質、ミネラル、ビタミンB1、脂質、食物繊維、アミノ酸が簡単においしく摂れるので、リカバリーには最適! すぐに食べられ、全部食べきれる、コンビニの物よりひと回り小さいサイズ。俵型なので、不器用な人でも握れる。コスパ良し。

 

<第3位>

「選手オリジナルおにぎり①」

【具材】枝豆、梅干し、しらす

【開発者からのコメント】練習後に食べようと持参した三角に近いおにぎり。米の割合は白米と玄米で2:1。手が小さくて、大きなおにぎりだと食べるのに時間がかかるので、小さめ(158g)にした。

 

<第4位&グッド具材賞>

 「いかなごの釘煮×卵×枝豆おにぎらず ~握ってないけどおにぎりです~」

【具材】祖母自家製倉敷産いかなごの釘煮、卵、枝豆

【開発者からのコメント】①うまい:釘煮は10年食べても飽きません。②早い:加熱するのは卵だけ。握る手間がないのも特徴です。③安い:釘煮は祖母が送ってくれるため、我が家にとっては財布に優しい。④栄養抜群:ビタミンB12、Dの含有で神経や血液細胞の健康保持、DNAの生成の助成、疲労や体力低下をひき起こす貧血の一種である巨赤芽球性貧血の予防、カルシウムのバランス調整が可能(らしい)。少量でも十分なカロリー摂取が可能。ビタミンB1を含む枝豆で疲労回復効果。バランスが良く色彩豊か。

 

<第5位&グッドうんちく賞> 

「玄米鮭おにぎり」

【具材】玄米、鮭、枝豆、チーズ

【開発者からのコメント】玄米ごはんはビタミンや食物繊維が豊富で、いいうんちが出たり、お腹の中の善玉菌が増えたりして免疫力が上がります。鮭はDHAやEPAが含まれており、健康な体が作れます。枝豆はビタミンB1が豊富で疲労回復につながり、練習後に最適です。また、枝豆の緑は疲労回復に似ており、運動後の炎症を抑えて筋肉のダメージを回復させます。チーズはカルシウムが入っていて、疲労回復につながります。いざ自分で作ってみると、握り方が難しく苦労しました。親にとても感謝です。これからは、自分で作れる時は自分で作り、もっと栄養のことを詳しくなって、完ぺきに自分で作れるようにしたいです。

 

<フォトジェニック賞>

 「選手オリジナルおにぎり②」

【具材】鮭フレーク

【開発者からのコメント】このおにぎりは、練習後に軽い軽食を取り、夕飯をガッツリ食べるという習慣に適しているおにぎりです。お腹いっぱいにならずに、筋肉をつけるのに適した、両手で丸めたくらいの大きさになっていて、三角形のおにぎりにすることで、尖っているところから食べられるという長所があります。このおにぎりは、鮭フレークを使っていて、ビタミンとミネラルを多く摂取できるようになっています。しかも、作る時間はあんまりかけずに、コスパもいいので、習慣化しやすいおにぎりとなっています。味も美味しいのでこのおにぎりはオススメです!

 

<ほっこり賞> 

「さんまのかばやき玄米おにぎり」

【具材】さんまかば焼き、玄米ごはん

【開発者からのコメント】さんまの油は血液をサラサラにしてくれたり、筋肉を修復してくれたりします。たんぱく質、鉄分、ビタミンDが多く、疲労骨折を予防してくれます。玄米ごはんを使うことで、疲れなくなります。おにぎりを作るのがこんなに大変だと思わなかった。お母さん、毎日作ってくれてありがとう!

 

<審査員特別賞> 

「雲丹と松茸のおむすび(武田雄哉さん作)」

【具材】雲丹、松茸

【開発者からのコメント】豪華な食材をふんだんに使い、優しく握ることで、フワフワかつトロトロとした極上のお結びの完成。海の幸、山の幸、自然のすべての恵みに感謝して、せーの、「いただきます」。

 

栄養講習で培われた選手たちの「考える力」

選手たちが選択した具材の多くは、鈴木さんが過去の講習で機能性や期待される効果を何度も口にしたもの。つまり、選手たちは内容をきちんと覚えていて、おにぎりを使って知識を具現化したのだ。さらに、自分たちで考えて、より高い効果が見込めそうな食材を探索したり、組み合わせたりして、オリジナルを作り出したところに価値がある。

スポーツの世界で高みへと至るためには、技術、メンタルも大事だが、「自分で考える力」が必要とされる。FC駒沢の試みはまさしく、成長が最も見込める時期に、最も大切なことを選手たちとやり遂げたのだった。

武田さんは「おにぎり選手権は、栄養の勉強になっただけではなく、おにぎりを考えて、実際に作って、撮影し、提出し、みんなのアイディアも楽しく共有できる。そのすべてに、工夫や親との会話、協力作業など、私たちが選手に伝えたい『何かあたたかいもの』が込められていたように思います。それがすごくよかったですね。コロナ禍でいろいろとクラブも大変ですが、サッカー同様、困難に直面したときにもアイデアがあれば学びの機会に変わっていくということを私自身も改めて感じました」と、オンライン下での大会を振り返った。

話はこれで終わらない。選手たちが作ったおにぎりの写真は、社会貢献活動「おにぎりアクション」への参加で完結する。おにぎりアクションは、おにぎりの写真をSNSや特設サイトに投稿することで、1枚の写真投稿が寄付になり、食環境に恵まれないアジア・アフリカの子供たちに給食をプレゼントできる仕組みになっている。選手たちのおにぎり写真が人助けにもなっていることを、鈴木さんがサプライズ発表して大会を締めくくった。

世の中には、1回講習するだけで多額の受講料を請求し、何度も実施することでお金を手にする有識者もいる。高い地位がある人ほどその傾向にあるかもしれない。それが悪いとはいわないが、知識の安売りをしているように思える。

一方、武田さんと鈴木さんの試みはそれとは全く別物。その証拠に、社会貢献、スポーツ食育、そして考える力の構築。継続してきた栄養講習、おにぎり選手権のすべてが、これからの将来を担う選手たちのためのものであり、成長の糧として経験が蓄積されていくからだ。

昨年来のコロナ禍でオンラインでの講習となったが、かえって奏功した形になった。工夫次第でリアルなイベントよりも数倍も充実した内容にできる。今回の試みはその証拠にもなった。今後、チーム対抗のおにぎり選手権など、いろいろな形でムーブメントを起こす可能性すら感じさせる。

<完>