<特集:スポーツ貧血 ~応用編③~>貧血の解決はパフォーマンスアップにつながる【スポーツ栄養の果たす役割 #15】

今回は<特集:スポーツ貧血>と銘打って、選手のパフォーマンスを妨げるスポーツ障害について、基礎編は神戸女子大学・坂元美子先生、応用編は松本先生と、2人のスポーツ栄養学の専門家が解説する。今回でスポーツ貧血の特集は最終回となります。

「スポーツ貧血」について、「聞いたことがない」「復習したい」という人は基礎編

予防のキーワードは「貯蔵鉄」

貧血に対する対策としては、赤血球をつくるための材料を日頃からたくさんとっておくことが重要です。そのためには、「鉄欠乏性」という用語からもわかるように、身体活動の増加に伴い、増加する鉄(赤血球の構成成分)の需要に対応するため、日常的に食事から摂取する鉄を増量しなければなりません。

同時に、体内で鉄を速やかに輸送するたんぱく質や、肝臓や脾臓などに貯蔵されている鉄(貯蔵鉄)と結合するたんぱく質を確保するためにも、たんぱく質の栄養状態も良好に保つことが鉄欠乏性貧血の予防には重要。つまり、鉄とたんぱく質とはセットで考えることがポイントになってくるというわけです。

体内の鉄分布と鉄欠乏状態の変動(クリックで画像拡大)

体内の鉄分布は、「貯蔵鉄」、「組織鉄(筋肉)」、「血清鉄」、そして「機能鉄(赤血球)」によってそれぞれ構成されています(図)。図の左端が、体内に必要な鉄が十分にある正常な状態です。ところが、練習やトレーニングによって生じる溶血や食事からの鉄の摂取量が少ないと、まず貯蔵鉄が欠乏してきます。ただ、この時点ではそれほど自覚症状はなく、そのままにしていることがほとんどです。

しかし、食事を改善しないまま練習のみに邁進していると、機能鉄が減り始め、貯蔵鉄は底を尽き始めます。いわゆる、その状態が潜在性鉄欠乏であり、もはや立派な貧血予備軍といえるでしょう。実際に、血液検査をしてみれば、ヘモグロビン値も顕著に下がっているはずです。この時点までくると、「眠い」「だるい」、あるいは練習についていけなくなる、練習後、頭が痛くなるといった自覚症状が出始めてきます。

正常な状態から貯蔵鉄欠乏を経て、潜在性鉄欠乏、鉄欠乏性貧血の状態に至るまでには、数カ月の期間を要してジワジワと具合が悪くなってきています。この間に、本人も具合の悪さに“慣れ”が出てしまい、「何かおかしい」とは思っていても放置したままにした結果、鉄欠乏性貧血を発症していたというケースも少なくありません。ここまで状態が悪化してしまうと、病院での治療が必要になってきます。

スポーツ貧血予防のために一日の鉄摂取量はどのくらい?

一般人の鉄摂取量の目安は、推定平均必要量が女性で一日9㎎、男性で6.5㎎、推奨量が女性で一日10.5㎎、男性で7.5㎎といわれています。一方、スポーツ選手の場合は、スポーツ活動に伴って貧血が発現しやすいため、10~15㎎が必要とされています。

ところが、近年の研究・協議によって、スポーツ選手はさらにその倍、すなわち対応上限量である20~30㎎が必要といわれています。スポーツ選手の場合、もともと貧血になりやすいうえに、強度の高いトレーニングを実施することによって筋肉痛をひき起こしやすいからです。

実は、筋肉痛とは身体の中で炎症をひき起こしているということであり、そういった状態では鉄の吸収が悪くなるから。加えて、発汗にともなう鉄の損失もある。したがって、従来からいわれてきた数値だけでは足りないのではないか、ということなのです。

一方で、鉄には毒性があり、とりすぎると今度は肝毒性をひき起こしてしまうという弊害もあります。結局のところ、鉄の摂取は少なすぎても多すぎても身体にはよくないわけで、非常にさじ加減が難しいというわけです。

では、20~30㎎というスポーツ選手にとって必要十分量の鉄を摂るためには何を食べればいいのでしょうか。いうまでもなく、鉄を多く含む食品を日々たくさん食べるよう心がけることが大切です。野菜類では小松菜、ほうれん草、魚類ではいわし、カツオ、マグロ赤身、貝類ではアサリの佃煮、そしてなんといっても、皆さんご存じの通り、レバー類(豚・鶏)が最強。また、素干しの桜エビには鉄とともにカルシウムが含まれ、栄養価がとても高く豊富なので、自宅に常備しておいてご飯にかけて食べることなどもお勧めしています。

ただ、どれだけ頑張って食べても、食事からだけではスポーツ選手の必要十分量には至りません。そこで鉄補強食品——例えば、鉄分ヨーグルト、鉄ビスケット、あるいはドライフルーツなどにも鉄分が多く含まれているので、プルーンとかレーズンなどをおやつ替わりに食べるのもよいでしょう。一方、サプリメントや錠剤の場合には、今度は逆に過剰摂取による弊害も考えられるので、取り入れる際には十分に注意が必要です。

貧血を抱えている選手は、身体がだるくて朝もなかなか起きれないもの。すると、指導者の方は往々にして「お前はやる気があるのか!」となってしまいがちです。だからこそ、そういう選手に対しては「やる気がみられない」「勝負に対する意識が低い」など精神面の弱さを指摘する前に、まずはヘモグロビン値を測ってあげてほしい。すると、実は鉄欠乏性貧血の疑いがあったりするものなのです。そして、そういう選手に対しては栄養状態の改善を図ってあげれば必ずや元気になります。

ヘモグロビン値が基準値以下にもかかわらず、練習に参加している選手を見ていると、むしろ精神的に強いのではないかと思ってしまうほどです。その上、さらに夏場には走り込みをしている姿などを目の当たりにすると、マスクを何重にもして走っているようなもので、「本当によく頑張っているね」「辛かったでしょう」と思わず声をかけてあげたくなってきます。そして「貧血を治せば、もっと楽に練習ができるのよ」と。

<参考文献>

田口素子, 樋口 満 編著 : 体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学, 市村出版 (2014)


松本恵/まつもと・めぐみ

北海道札幌市生まれ。2004年北海道大学大学院農学研究科応用生命科学博士課程後期修了。日本大学体育学部体育学科教授。管理栄養士。日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士。

大学では、陸上競技、柔道、トライアスロン、スキージャンプ選手などの栄養サポートに携わる。スポーツ貧血の改善・予防、試合時のコンディショニング・リカバリーなど幅広い研究をするとともに、ソチ・オリンピックではマルチサポート・ハウス ミール担当など多岐にわたり活動。日本スポーツ栄養学会理事。

<特集:スポーツ貧血 ~応用編①~>スポーツ選手が障害を発症する原因【スポーツ栄養の果たす役割 #13】

今回は<特集:スポーツ貧血>と銘打って、選手のパフォーマンスを妨げるスポーツ障害について、基礎編は神戸女子大学・坂元美子先生、応用編は松本先生と、2人のスポーツ栄養学の専門家が解説する。

「スポーツ貧血」について、「聞いたことがない」「復習したい」という人は基礎編

指導現場から見るスポーツ貧血の実情

貧血は、スポーツ選手にとってパフォーマンスを著しく低下させる障害です。貧血症には、先天的な異常が原因の場合と後天的に栄養状態や身体活動状況の変化が原因の場合があり、後者に原因のある貧血のうち、スポーツの現場で多くみられる貧血はすべて‟スポーツ貧血”と呼ばれています。

特に持久系の競技においては、貧血の症状が‟個”である自身のパフォーマンスに顕著に表れ、かつレースタイムや順位にも直結するため、昨今では貧血に対する認識と対策は、多くの指導現場において浸透しつつあります。それどころか、過剰な対策として、陸上の長距離では若い年代を中心に、貧血治療用の鉄剤注射の安易な使用の問題もあります。

日本陸連が公表した「不適切な鉄剤注射の防止に関するガイドライン」では、「治療目的ではない鉄剤注射の繰り返しは、健康を害する恐れがある」と強く指摘しているほどです。鉄剤治療は貧血症状の治療では有効ですが、鉄栄養状態が不良ではない人が予防やパフォーマンス向上の目的で使用しても効果はなく、むしろ、鉄の過剰摂取によって肝機能障害などをひき起こす恐れがあります。貧血に対する正しい知識が必要と感じます。

一方、同じスポーツ活動でありながら、スポーツ貧血の恐れがあるにもかかわらず、危機感の薄い競技もあります。例えば、剣道はあらゆるスポーツ・武道のなかで貧血頻発の最上位に登場してくる競技であることをご存じでしょうか。

とはいえ、競技特性の面から持久系の競技のように直接的な敗因ととらえることはなく、稽古不足は反省材料にはするけれども、「貧血が敗因だった」という話を耳にしたことがある人はほとんどいないのではないでしょうか。しかし、スポーツニュートリショニストの立場からいえば、「貧血による自滅」が敗因となるケースもないとはいえないのです。

先日、管理栄養士の資格を持つ本学の大学院生が都立高の剣道部(部員、保護者を対象)へ栄養指導に出かける機会がありました。そこで、持参した簡易型測定器(採血不要)でヘモグロビン値を測定してみると、案の定、ほとんどの部員たちが潜在性鉄欠乏の基準値(成人男性:13g/dL未満、成人女子:12 g/dL未満)よりも低い結果となり、衝撃を受けていたようです。

スポーツ貧血というと、鉄の栄養状態不良によってひき起こされる「鉄欠乏性貧血」、溶血が原因によってひき起こされる貧血(溶血性貧血)の2つが、最終的に鉄欠乏性貧血にかかわってくるという捉え方が現在の認識となっています。したがって、溶血性貧血というのは厳密には病態としては存在しません。

溶血は、血管内で赤血球が物理的に破壊されることによって起こります。スポーツの現場で起こる溶血は、足底への強い物理的衝撃が原因と考えられており、硬いアスファルトの上を長時間にわたって走行する長距離選手や跳躍を繰り返すバレーボール選手、さらに素足で強い踏み込み動作を多く行う剣道や空手道、フェンシングの選手に起こりやすいことが知られています。

長距離選手やバレーボール選手の場合には、例えば、シューズのインソールを改善したり、あるいはこれは長距離選手に限られますが、土の上を走るクロスカントリーを取り入れることなどによって、溶血対策を講じることはできるでしょう。ところが、剣道や空手道の場合は、素足に冷えた板の間です。道場の床にはクッション性があり、衝撃を和らげてくれるとはいいつつも、素人目に見ていると、いつも「痛そうだな」と感じてしまいます。「ドン!」と踏み込むたびに、赤血球が破壊されているという見方をしてしまうのは、やはりスポーツニュートリショニストだからでしょうか(笑)。

<次回へ続く>

<特集:スポーツ貧血 ~基礎編~>見直そう! 鉄の役割と食品 【Z世代におくるスポーツ栄養講座 特別編】

神戸女子大学・坂元美子先生による「Z世代におくるスポーツ栄養講座」。

今回は<特集:スポーツ貧血>と銘打って、選手のパフォーマンスを妨げるスポーツ障害について、基礎編は坂元先生、応用編は日本大学・松本恵先生と、2人のスポーツ栄養学の専門家が解説する。

「スポーツ貧血」について、「もう知っている」「基礎は十分」という人は応用編①

※Z世代とは、欧米で10~20歳を指す言葉として使われている。すぽとりでは「成長世代」と同義と捉えて使用する。

※記事と動画(図表解説あり)で少し内容が異なります。両方をご覧いただき、理解をより深めていただければ幸いです。

「Z世代におくるスポーツ栄養講座」動画一覧

「好相性の食材を組み合わせた目的別スポーツ食」動画一覧

動画「すぽとりChannel」


持久系スポーツ選手は絶対に覚えておきたい「スポーツ貧血」

スポーツをするうえで、血液は重要な働きをもっています。一般的には、トレーニングをすることによって、血液中の水分(血しょう)の量が増えるといわれています。血しょう量が増えると全身にめぐる血量が増えて血中の酸素が全身に行き渡るため、体が動きやすくなったり、持久力が高まったりすることにもつながります。この働きがうまく行かなくなると、さまざまな症状が出てきてしまいます。

血液のトラブルでよく聞くのが「貧血」ですね。貧血は血液中の赤血球、赤血球の中にあるヘモグロビンの量が減ることで起こるといわれています。目安(ヘモグロビン量)でいえば、男性(男子)は13~14g/dl、女性(女子)は12g/dlで、貧血と診断されます。

貧血といえば、月経のある女性(女子)に多いイメージがありますが、特にZ世代(成長期)では、女子だけではなく男子にもよくみられるスポーツ障害の一つが「スポーツ貧血」です。スポーツ貧血は、「希釈性貧血」「溶血性貧血」「鉄欠乏性貧血」の3つに分けられます。

希釈性貧血はその名の通り、血液が薄まることで起きる貧血です。トレーニングによって血中の水分、血液中の赤血球、ヘモグロビンも増えるのではなく、水分だけが多い状態になってしまいます。血液検査などでは貧血の数値として出てしまいますが、実際にはヘモグロビンの量が減っているわけではありません。水分量の増加によって、結果的に全身をめぐる血液の量も増えるため、持久力を向上させる可能性があると考えられています。

溶血性貧血は、筋肉に負荷をかけるようなトレーニングをすることで、筋肉繊維が傷つくと同時に血液中の赤血球やヘモグロビンも壊れてしまうことが原因で起こります。体全体にめぐる血液、赤血球、ヘモグロビンの量が低下しますので、持久力の低下につながってしまいます。

スポーツ貧血の中で最も多い症状といわれているのが、鉄欠乏性貧血です。血液を作るためには鉄が必要になっていますが、鉄は有酸素運動をすると大量に消費されていきます。体の中から鉄がなくなっていくということは、赤血球や酸素を体内に行き渡らせるヘモグロビンの量も少なくなりますので貧血をひき起こしますし、スポーツ選手としての持久力・パフォーマンスも低下することになります。

スポーツシーンでの鉄の役割

スポーツ貧血を予防するためには、血液を作る鉄が不可欠ですが、鉄の中にもいくつかの成分があってそれぞれが役割を持っています。よく聞くのが「ヘモグロビン」。これは、全身に酸素を運搬する役目があります。ヘモグロビンが運んできた酸素を受け取り、細胞の中に取り込むのが「ミオグロビン」。ミオグロビンが受け取った酸素を使って、スポーツをする時のエネルギーを作り出すのが「チトクロム」という酵素になります。

そして、有酸素運動をすればするほど、体内から活性酸素が大量に発生します。活性酸素はそのままにしておくと発生源を攻撃してしまいます。これを「酸化」といいます。この酸化を防ぐのが「カタラーゼ」で、活性酸素を分解する酵素です。体内では絶えずカタラーゼが酸化の処理を続けていますが、鉄が不足したり、その他の分解酵素が機能せず処理する限界を超えてしまうと「炎症」が発生してしまいます。炎症はさまざまなケガにもつながりますから、ケガを防止するためには「活性酸素の除去」も考えておく必要があります。

持久系スポーツ選手、激しい有酸素運動を伴うスポーツ選手ほど、鉄が必要になってきます。消費した鉄を補え切れないと一気に貧血になる可能があります。特に、男性(男子)は運動量も多いので、スポーツ貧血予防のためにヘモグロビン量を常に14g/dl以上キープするように心がけましょう。

Z世代の鉄摂取には断然「ヘム鉄」、最強食材は「レバー」

貧血やスポーツ貧血を予防するためには、まず「日常の食事から鉄をしっかり摂ること」が大切です。しかし、鉄は栄養素の中で最も吸収率が低いといわれています。

食品に含まれる鉄には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄の代表格はレバーで、鉄と並ぶ貧血予防のカギになる「タンパク質」も多く含まれている食材です。さらに、赤血球、ヘモグロビンを合成する「ビタミン」もたっぷりと含まれていますので、最適の食材といえます。

ヒレ肉やカツオ・マグロなどの赤身魚、貝にも鉄が多く含まれています。赤身魚にはビタミンB6、貝にはビタミンB12が多く含まれていて、いずれも血液を作ってくれる食材です。これらヘム鉄の吸収率は約20%になります。

一方、非ヘム鉄はホウレンソウ、ひじき、大豆製品にある程度含まれています。吸収率は良くて約5%、大半は約2、3%くらいなので、普通に食事をしていてもほとんど体に吸収されません。Z世代のスポーツ選手は鉄を摂る場合、ヘム鉄から積極的に摂取するようにしましょう。

吸収率が圧倒的に低い非ヘム鉄ですが、タンパク質やビタミンCと一緒に摂取することで多少吸収が高まります。食卓にホウレンソウやひじきなどの非ヘム鉄が出た後に、ビタミンCの多いオレンジ、グレープフルーツなどの果物を摂ると良いと思います。

ちなみに、ひじきは鉄の多い食品と知られ、「貧血予防にはひじき」といわれていました。しかし、数年前に、ひじきに含まれる鉄の量は意外と少ないことが判明しました。

その理由は、ひじきの製造方法にあります。昔は鉄鍋でひじきを加熱加工していて、製造工程の途中で鉄の成分が溶け出してひじきに移ったといいます。最近では多くの製造現場で使用される鍋がステンレス製になったため、鉄の“成分移動”が起きなくなったわけです。ひじきも鉄鍋の鉄も非ヘム鉄なので、吸収率も低いです。

鉄の吸収を妨げる組み合わせは?

鉄の吸収には「胃液の分泌」、つまり胃酸がしっかり出ているということが大切です。鉄を摂取した時に、大量の水分や油(脂質)を一緒にとってしまうと胃酸を薄めてしまいます。こうしたことから、食前~食後の水分は基本、飲み物ではなく食べ物からが鉄則になります。特にコーヒー、紅茶、緑茶、赤ワインなど食事の時に好まれる物は、鉄との相性が悪い「タンニン」が含まれています。

鉄と一緒に摂る食品についてはいくつか注意が必要です。ホウレンソウに多く含まれる「シュウ酸」、豆類に含まれる「フィチン酸」などの野菜のアクは吸収を妨げるので、調理の際に取り除いてください。ホウレンソウのゆで汁を他の料理で使うのもNGです。

「食物繊維」の大量摂取も問題です。普段の食事から摂取する食物繊維は問題ありませんが、食物繊維が化学的に配合されたダイエタリーサプリメントは含有量が多めです。減量のためにサプリを使用するスポーツ選手も多いかと思いますが、パフォーマンスの低下を招きかねませんので、控えた方が良さそうです。そのほか、加工食品に頻繁に使用される「リン酸」も鉄の吸収を下げるものとして挙げられます。

ただでさえ吸収が困難な貴重な鉄を体に効率良く取り込むためにも、食べ合わせ、食材・食品の相性を特に意識しておきましょう。

貧血予防に食事以外はナシ!?

いろいろな食品から栄養を摂取して貧血予防に努めたいところですが、貧血になってしまったら食事では改善できませんので、鉄剤の服用や輸血などの治療が必要になります。

実はスポーツ現場で、貧血の治療行為が競技力向上、もしくは貧血予防のために行われている事象が報告されています。実際には、競技能力向上との因果関係は立証されていませんし、特に成長期のスポーツ選手が行うと体に負担をかけることになります。明らかにマイナスになりますから、絶対に行わないでください。

私が指導している男子サッカーの高校生に食事調査と血中ヘモグロビン量の計測を行ったところ、ほとんどの選手が鉄を基準値以上摂れているものの、ヘモグロビン量を維持できないケースが多かったのです。“問題あり”の選手の食生活を分析すると、成長に必要な、スポーツをするための「エネルギー」が足りていないということがわかりました。

反対にいえば、食事からエネルギーが確保できていれば、貧血予防に必要なタンパク質、鉄、ビタミンB6、B12、葉酸、ビタミンCなどが自然と摂れるようになります。そのために、この講座で何度もお話ししている通り、バランスの良い食事を心がけるということが、成長中の体を大きくすることにもなり、スポーツ障害を予防することにもつながっていくのです。

参考:バランス良く食べるには?

<応用編①へ>