前回は、子どもにとっての「おやつの役割」や「食べるときのポイント」をお伝えしました。

「おやつ」といっても、お菓子、果物、主食に代わるものなど、朝・昼・夜3回の食事を補うための「第4の食事」と考えると、いろいろな食べ物を「おやつ」にすることができます。子どもの好むおやつという視点だけではなく、体づくりのことも考えて選びたいですね。

今回は、子どもの成長のために積極的に摂ってほしい「栄養素」の視点も交えてお伝えします。

成長のために意識したい栄養素とは

どの栄養素も成長に欠かすことはできないのですが、特に意識して摂りたい栄養素は、大きく分けて3つあります。

<炭水化物>
体を動かす大事なエネルギー源の一つであり、摂取エネルギー全体の約6割を炭水化物から摂ることが理想的です。ですが、実際は3回の食事だけでは摂ることができないため、おやつにはおにぎりやパン、麺などの主食になる食材を取り入れましょう。十分なエネルギーを摂ることができ、より活発な活動につながります。

<たんぱく質>
たんぱく質は筋肉や骨、肌、髪などを健康な状態に保つ役割があります。幼児期、学童期は体が著しく成長する時期なので、体づくりのためにもしっかりと摂る必要があります。筋肉や丈夫な骨をつくることでケガをしにくくなり、免疫力を高めることにもつながるため、日々の食事やおやつにも積極的にとり入れていきたいですね。

<ビタミン・ミネラル>
炭水化物、たんぱく質を体内で有効に使うためにはビタミンが欠かせません。またカルシウムの吸収を助けたり、免疫力を高めたりする働きもあります。

ビタミンは果物や野菜に多く含まれているので、おやつにも「果物」を取り入れたり、ご飯やパンに野菜を組み合わせたりしてみましょう。

また、ミネラルのなかで幼児期、学童期に積極的に摂ってほしいのが「鉄」「カルシウム」です。鉄が不足すると、「集中力が続かない」「気持ちが落ち着かない」、カルシウムの不足は「骨が脆くなる」「イライラが生じやすくなる」など、心身でさまざま影響を及ぼすと考えられています。

たんぱく質やビタミンと一緒に摂取することで体への吸収率を高めることができるので、様々な食材を組み合わせることを意識すると良いでしょう。

どんなおやつを食べたらいい?

手間をかけて準備しなくても、素材そのもののシンプルな味が好まれることもあります。蒸したさつま芋や果物、チーズサンド、きな粉をかけたバナナヨーグルト、おにぎりや混ぜご飯など、家庭にある食材を組み合わせるだけでも栄養価がアップします。

市販の菓子を好んで食べる機会が多い場合には、市販の菓子の量を少なめにして、果物や牛乳を組み合わせるなどビタミンやミネラルが補給できるように意識するといいですね。

年齢が高くなると、食べ物の栄養や働きについても理解できるようになります。

「この果物を食べるとビタミンが摂れるよ」「ビタミンは風邪をひかないようにしてくれるよ」「小魚はカルシウムがとれて骨が丈夫になるよ」など、子どもに話をすることで自分の体をつくることへの意識もついてきます。

「市販のお菓子を食べさせない」のではなく子どもと話をしながら一緒におやつを選ぶようにしていくことで「選食力」にもつながり、将来の体や生活習慣づくりの基盤となっていきます。

おやつを一緒に準備してみましょう

大人が毎回用意するのではなく、たまには子どもと一緒に準備からかかわってみるのもいいですね。ご飯をラップに包んで握ってみる、パンに挟む具材を自分で選んでサンドイッチを作るなど、自分で作り上げた達成感と嬉しさから、より美味しく感じられることでしょう。

「食べる」だけではなく「作る」ことからかかわると、食への関心も高まります。

果物をいつもと違う切り方にしてみる、お皿に楽しく盛り付けるなど、年齢に合わせて子どもがワクワクする要素を取り入れることで、食べる楽しみにつながります。

甘い味付けのおやつにしたいときには、手作りのホットケーキは手軽な方法の一つです。ホットケーキミックスにココアを加えたり、バナナや煮りんごを追加したりすることで味に変化をつけつつ、簡単に手作りおやつができ上がります。切る作業もほとんどなく、混ぜる工程は子どもと一緒に作ることができるのでおすすめですよ。

まとめ

おやつを何にするか迷ったときには「おやつ=お菓子」ではなく、「大事な栄養源」と考えて軽い食事になる物を選んでみるといいでしょう。

リラックスしているおやつの時間だからこそ、ゆっくりいろいろな話ができるかもしれません。子どもとの会話を楽しみながら、子どもの成長にとって「おやつ」の時間も有意義なものにしていきましょう。

㈱ミールケア 食育開発部