「季節感(旬の食材)」「相乗効果が期待できる好相性の食材を組み合わせる」「目的(強化・予防・対策など)」――3点を踏まえた食を提案する「スポーツ食マッチング」。第14回は夏の食材を使用した「エネルギー補給編 ②」です。

本企画は神戸女子大学 健康スポーツ栄養学科 坂元ゼミとのコラボ企画で、栄養解説は坂元美子先生、レシピ作成&調理は坂元先生監修の下、山内花菜さん(4回生)が担当しました。

Z世代のスポーツ選手を想定して献立を作成していますが、自炊しているスポーツ選手、部活のマネジャー、運動習慣のある成人の方にもご活用いただけます。簡単、かつ栄養価の高い献立で、スポーツや運動シーンでお役立てください。

エネルギー補給に必要な栄養素は?

【ポイント】
①筋肉や脳のエネルギー源になるのは炭水化物
②炭水化物をエネルギーに変えるのはビタミンB1&硫化アリル

成長期のスポーツ選手には、心も身体も成長するには、まずエネルギーが必要になる。スポーツ選手として成長できるように、効率よくエネルギーを摂りたい。成人やスポーツをしていない人にとっても、エネルギーを効率良く使えるようにすることで、バテにくく、太りにくい身体にすることができる。

摂りたい栄養素は、筋肉や脳のエネルギー源になる炭水化物、炭水化物をエネルギーに変える役割のあるビタミンB群の中でも特にビタミンB1、そして硫化アリル。硫化アリルは栄養素ではないものの、吸収率を上げるなど体の中で何かとビタミンB1を働きやすくサポートしてくれる成分。

たくさんエネルギーを使う持久系のスポーツ選手や有酸素のトレーニングを行う人、体脂肪を減らすために有酸素の運動をしている人にとって、ビタミンB1×硫化アリルは抜群の組み合わせだ。

相乗効果が見込める食材の組み合わせ

エネルギー補給のために組み合わせて食べたい食材は、玄米とらっきょう・きゅうり・たまねぎなどのぬか漬け。玄米はエネルギー源になる炭水化物だが、炭水化物をエネルギーに変えるビタミンB1を白米の約5倍(炊飯後は約7倍、下記表を参照)多く含んでいる。

さらにビタミンB1の吸収を良くし、体の中で働きやすくしてくれるのが硫化アリル。これを多く含んでいるのが、ニラ・にんにく・たまねぎ・ねぎ・らっきょうなど。らっきょう、きゅうりは6月から8月が旬になる。

これらの野菜をぬか漬けにすることで、ぬかに豊富に含まれるビタミンB1が野菜に移るため、さらに多くのビタミンB1を摂ることができる。

最適な摂取タイミング

頭を使う前、運動をする前、試合前などがベスト。朝ご飯が最適か。消化・吸収の時間を考え、行動の4時間前には食べ終えておく。


料理時間
1440

玄米ごはんと旬の野菜を使った漬物

レシピ

【材料(2人分)】
◆玄米ごはん玄米1合に対して水300ml
◆ぬか漬け
米ぬか500g
65g(ぬかの13%)
500ml(ぬかと1:1)
赤唐辛子11本
昆布5cm四方を2~3枚
カツオ節4g
捨て漬け用の野菜(きゅうり、らっきょう、玉ねぎ)適量
本漬け用の野菜(きゅうり、らっきょう、玉ねぎ)好きなだけ

作り方

ぬか床作りから始めたい場合は【STEP:01】から。市販のぬか床を使って作る場合は【STEP:03】から。

【STEP:01】捨て漬け(ぬか床に含まれる菌の発酵を促す)用の野菜の下準備

きゅうり:両端を切り落とす。
たまねぎ:上下を切り落として皮をむき、4等分に。
らっきょう:上下を切り落とし、皮をむいておく。

【STEP:02】ぬか床を作る

(1) ぬかと塩を混ぜ合わせる。
(2) 水を2、3回に分けて加え、その都度よく混ぜる。
(3) カツオ節と赤唐辛子を加えて、混ぜる。
(4) 捨て漬け用の野菜を漬ける。
(5) 昆布を隙間に埋める。

STEP:03

 本漬け用の野菜を漬ける(きゅうり、らっきょう、玉ねぎ)。

STEP:04

漬かったら付着しているぬか床を水で洗う。

STEP:05

食べやすい大きさに切る。 

★ぬか床を上手に作るコツ
最初の10日間は1日2回、10~20日目は1日1回底からしっかり混ぜる。捨て漬け用の野菜は4~5日で交換する(冷蔵庫にあるもの何でもOK)

★注意点
食べごろ: 浅漬けならその日のうちにおいしく食べられる。古漬けが好きな人はぬか床を混ぜることで3、4日後でも食べられるが、1日後くらいが理想。毎日新しい野菜を漬けることで乳酸菌の活動も活発になる。

季節(気温)&保存方法: 20~25℃くらいがベスト。ぬか漬けに向いているのは初夏と初秋。真夏の時期は冷蔵庫保存。ゆっくり漬かるので、野菜が3、4日持つ。毎日新しい野菜を漬ける必要はない。

栄養量

栄養量比較:白ごはん、玄米ごはんは1膳分(約140g)で計算

神戸女子大学 健康スポーツ栄養学科 坂元ゼミ