「季節感(旬の食材)」「相乗効果が期待できる好相性の食材を組み合わせる」「目的(強化・予防・対策など)」――この3点を踏まえた食を提案する「スポーツ食マッチング」。第15回は夏の食材を使用した「骨強化編 ②」です。
本企画は神戸女子大学 健康スポーツ栄養学科 坂元ゼミとのコラボ企画で、栄養解説は坂元美子先生、レシピ作成&調理は坂元先生監修の下、徳田優希さん(4回生)が担当しました。
Z世代のスポーツ選手を想定して献立を作成していますが、自炊しているスポーツ選手、部活のマネジャー、運動習慣のある成人の方にもご活用いただけます。簡単、かつ栄養価の高い献立で、スポーツや運動シーンでお役立てください。
骨強化に必要な栄養素は?
【ポイント】
骨の材料になるカルシウムとたんぱく質、ビタミンD、ビタミンKをしっかり摂る
競技スポーツでは、身長が高い方が有利に働くものがあるため、Z世代(成長期)のスポーツ選手が骨を強化する食を意識することで、「身長を伸ばす」可能性を高めることにもなる。ただし、身長を伸ばす確かな方法は存在せず、科学的にも証明されていない。ここでは、一つの可能性として「骨の強化」を提案する。
中学、高校になると、練習量、トレーニングや相手との接触強度が増すため、骨折、疲労骨折の発症リスクが高まる。骨の強化を図ることでケガ予防にもつながる。40歳以上の女性、中高年になると、骨粗しょう症のリスクが高くなるため、日ごろから骨の材料、体内吸収を助ける食品を摂って将来に備えたい。
カルシウムは体内への吸収率が非常に低いため、吸収が高まるビタミンDを一緒に摂ると良い。体の中でカルシウムやたんぱく質を骨に合成する働きのあるビタミンKも不足することなく摂取しよう。
相乗効果が見込める食材の組み合わせ
骨強化のために組み合わせたい食材は、鮎または骨ごと食べられる小あじと、酢やすだち、かぼすなどの酸っぱい物(今回は小あじと酢を採用)。
鮎や骨ごと食べられる小あじなどはカルシウムが豊富に含まれていて、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも多く、骨の材料になる良質なたんぱく質も摂れる。どちらも6月から7月が旬の食材。酢や酸っぱい果物に多く含まれるクエン酸は、さらにカルシウムの吸収を助けてくれ、すだち、カボスも夏が旬でビタミンCも摂れる。
この好相性の組み合わせを台なしにしてしまうNG食材は、生のほうれん草や大豆。ほうれん草にはシュウ酸、大豆にはフィチン酸と、いずれもカルシウムの吸収を阻害する成分が含まれている。シュウ酸、フィチン酸はいわゆる「あく」で、ゆでると取り除かれるため、あくの強い物はゆでて食べると良い。ただし、ゆで汁は調理に使用しないように。
最適な摂取タイミング
成長ホルモンの分泌が高まる時間帯に摂取したいので、運動後や(睡眠前の)夕食がベスト。
料理時間
15分
小あじの南蛮漬け風
レシピ
【材料(1人分)】 | |
小あじ(5尾) | 40g |
青ねぎ | 6g |
小麦粉 | 3g |
揚げ油 | 15g |
酢 | 15g |
砂糖 | 15g |
濃口しょうゆ | 1.5g |
作り方
下準備
・小あじ:
(1) 頭を左に向けて置き、尾のつけ根から包丁を入れて、刃を前後に動かしながらギザギザになっている「ぜいご」を取る。
(2) 胸びれの付け根に斜めに刃を入れ、頭とはらわたを一緒に切り落とす。
(3) 腹部分をよく洗い、キッチンペーパーで水気をふき取る。
・漬け汁:酢、砂糖、濃口しょうゆを混ぜる。
・青ネギ:小口切りにする。
STEP:01
フライパンを中火で熱して油をひく。
STEP:02
おろししょうが、あじを皮目から焼く(焼き色がつくまで3分ほど)。
STEP:03
酢味噌を合わせて弱火で熱し、全体に味がなじんだら火からおろす。
STEP:04
皿に盛りつけ、青ネギをちらす。