「カリフォルニア・アーモンド協会(本拠地:米・カリフォルニア州モデスト)」は、アーモンドの摂取と腸内フローラ(腸内細菌叢)の機能改善に関する新しい研究結果を発表した。
キングス・カレッジ・ロンドン(英国)のケビン・ウィーラン教授らの研究によれば、アーモンドを摂取すると、有益な短鎖脂肪酸(SCFA)の一種「酪酸」が大腸内で有意に増加することがわかった。酪酸は、腸内の微生物が食物繊維を消化する際に生成され、大腸を覆う「大腸細胞」の主要なエネルギー源となる。睡眠の質の向上や炎症の抑制など、人間の健康に関わる複数のプロセスに関与すると考えられ、大腸がんのリスク低下との関連性も指摘されている。また、アーモンドの摂取による便秘解消効果があることも明かされた。
同研究は、毎日2回以上間食している18~45歳の健康な成人男女87名※)を、①毎日56gのホールアーモンドを摂取する「アーモンド群」、②56gのアーモンドパウダーを摂取する「AP群」、③同等のカロリーのマフィンを摂取する「対照群」の3グループ各29名に分けて構成。被験者は日常で摂取するスナックの代わりに試験用スナックを1日2回、4週にわたって摂取した。さらに、被験者は試験期間中、食物繊維が推奨量より少ない典型的な食事と、スナック摂取時に最低100mlの水分摂取をおこない、糞便中のビフィズス菌の相対量、糞便微生物叢の組成と多様性、全腸通過時間、便の回数と硬さ、および腸の症状を測定した。
※)被験者の86%以上が女性で、平均年齢は27.5歳。男性、高齢者への適合性に関する研究は今後明らかにしていくとしている。
その結果、アーモンド・AP群と対象群を比較して、糞便中のビフィズス菌の量に有意な差はみられなかったが、酪酸の増加が確認された(アーモンド群:24.1μmol/g、対照群:18.2μmol/g)。また、アーモンド群は他群と比較して、排便回数に有意な差があることが認められ、1週間に排便の回数が1.5回多かったことがわかった。一般的な胃腸症状の発生率や重症度について、どの群にも差はみられなかった。
ウィーラン教授は「アーモンドの摂取が、人間の健康に良い影響を与え、バクテリアの代謝に恩恵を与える可能性がある」とし、耐容性の高いアーモンドの摂取は、研究時でも胃腸に有害な症状を引き起こすことがなかったことから、副作用をひき起こすことなく食物繊維を増やす方法であることが示された。
アーモンドには、食物繊維(100gあたり12.5g/30gあたり3.5g)、マグネシウム(100gあたり270mg/30gあたり81mg)、カリウム(100gあたり733mg/30gあたり220mg)、ビタミンE(100gあたり25.6mg/30gあたり7.7mg)を含む15種類の必須栄養素が含まれている。