取材の裏側を伝える「サクッと取材・編集メモ」です。編集長が取材を通じて感じたことや思ったことを、3分で読めるボリュームにまとめました。
中澤先生のインタビューは前編・後編があります。あわせてご覧ください。
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暴力の背景と見逃されがちな要因
暴力の背景について、こちらが提示した仮説に対し、中澤先生はおおむね同意してくださいました。
実は取材では、こちらから「メディア」も背景の一つとして挙げました。騒ぐだけ騒いで、その後を追わない。特にテレビ報道への不信感は拭えません。ただし、主題からは外れるため、今回は記事化を控えました。
中村哲也氏の研究にある「出場機会」という視点は新鮮でした。〝控えの先輩による悪事〟を思い出した方も多いのではないでしょうか。
背景を深掘りするなら、中村氏への取材は不可欠だと感じました。
体罰は「効いているように見えるだけ」
データを重視する私にとって、中澤先生の説明はまさに目からウロコでした。
「体罰に限定的な効果が残っている以上、NO と断言するには不十分」という指摘。一方で「バチンとやるとスイッチがすぐに入る」と考えている指導者がいるのも事実です。
しかし、それは〝効果があるように見えているだけ〟。統計的には「平均への回帰」、さらに「愚行権」など、中澤先生ならではの視点が印象的でした。
日米で決定的に異なる〝暴力の矛先〟
アメリカの事例は今後、谷口輝世子さんの連載で詳しく触れる予定です。
海外志向の私としてはアメリカ式指導体制が理想ですが、現実は簡単ではありません。
特に刺さったのはこの言葉。
「日本の場合、味方である子どもたちに暴力が向けられるんですよ」
暴力の構造そのものが、日米で根本的に違うと痛感しました。
「指導者を観察する」という防御策
学校やチームを簡単に変えられない以上、選択時に「指導者を観察する」ことは最低限の防御策です。
とはいえ、「1、2年生の間は殴られない」「校外で暴力が起きる」など、入部してみないと見えない部分もあります。
そんな時こそ、周囲の大人が、とりわけ保護者を含めて、選手や学生たちの盾になってほしい。「指導者の言うことを聞きなさい」ではなく、まず守る側に立ってほしいと思います。
国の施策は…これ以上は言いません
今は「地域移行」ではなく「地域展開」と呼ぶそうです。掲げた構想を最後までやり切れないのは、いつものこと。
この施策によって指導者資格が拡大された一方で、要件や処分などルールが不明確なまま進めるのは、どう考えても見切り発車です。国と自治体の食い違いもまた、いつも通り。
せめて、教諭以外が指導にかかわる場合は、社会経験や犯罪歴まで含めた〝人格スクリーニング〟を徹底してほしいと強く思いました。
最後に
取材当日、中澤先生の手元には、メモがビッシリ書き込まれた質問状のプリント。こちらの不安とは裏腹に、丁寧に向き合ってくださいました。
紹介してくださった先生が「とてもお人柄が良いんですよ」と話していましたが、まさにその通り。現場を知り、幅広い人脈・見識を持つ中澤先生ら研究者の声を、制度設計にもっと反映してほしいと切に感じました。
現在は「スポーツ振興」や「補助金モデル」が優先されがちですが、本当にやるべきことは別にある──その思いを強くした取材でした。





















