2023年3月から国際スポーツ栄養学会(ISSN)の見解に基づくスポーツニュートリション(SN)関連資格「スポーツ栄養スペシャリスト(ISSN-SNS)」が日本で展開されている。

資格の概要や取得する対象などについて、日本国内での運営団体「一般社団法人 国際スポーツ栄養学会」理事・新生暁子氏に話を聞いた。

日本で展開されている関連資格とは一線を画す

編集部 新生さんは理事ということで、日本国内でISSN-SNSを広める活動の一翼を担っていますが、どのようなことをしているのですか。

新生暁子(以下、新生) 運営や展開についてはお任せしています。私は受講している方のサポートに回る予定です。

具体的には、講習を受けている時、わからないことや解説が必要なことが出てくると思いますので、講習会やオンラインなどでかみ砕いて解説し、資格取得のバックアップをする役目を果たします。

特に国際的な内容になっているので、日本特有の事情を考慮した質問などが出てくる可能性があります。

編集部 受講してみたのですが、結構難しい内容ですね。

新生 海外で作られた教育プログラムなので、日本の物とは異なっていますが、基本になるところは一緒です。ISSNの研究や科学的な見解に基づいた物になるので、グローバルな知識が得られるでしょう。

編集部 資格取得の対象になる年齢はどのくらいからになりますか?

新生 これは知識レベルによって変わってきますね。「将来、スポーツニュートリションの世界で活動する」という明確な目標があり、すでに勉強を始めていて知識を持っている人なら、高校生でも問題ないと思います。

ただ、学校の勉強とはだいぶ異なってくるので、その点私たちがフォローできればとも思います。

現実的なところをいえば、大学生くらいからでしょうかね。スポーツや栄養系の大学・学部であれば、授業や研究室で用語に触れる機会も多いと思いますし、どの道へ進むかを考えた時に資格を取得して幅を広げるにはちょうどいいかもしれません。

若い時からグローバルな知識や情報に触れることはとてもいいことですし、世界が広がっていくと思います。

編集部 0から始める方にとっては少しハードルが高いでしょうか?

新生 そうですね。用語がたくさん出てきますし、いきなりは難しいかもしれません。自身の持っている知識レベルを上・中・下とするなら、中以上の人が対象になるかと思います。

ただ、一念発起して0から始める方でも、資格取得の過程で自分なりにわからない用語を調べたり、知らないことを勉強したりしながら、知識レベルを徐々に上げていくといった進め方はありますね。

編集部 すでにスポーツを始めとする現場で活動されている(仕事をしている)人にとってはいかがでしょうか?

新生 ISSN-SNSは「ニュートリション(栄養摂取・サプリメンテーション)」「サイエンス」の面が強いので、そこを強化したい人にとってはおススメします。栄養関連の資格取得や教育の過程で得られなかった点がカバーされていますから。

日本で展開されているのは基礎知識があることを示す資格「スポーツ栄養スペシャリスト」の資格で、私も受講してみたのですが、忘れていたこともありますし、こういう意味だったのかと思い出すきっかけになります。

編集部 どういった方が資格取得をめざすといいのでしょうか?

新生 トレーナー、栄養の専門家をめざす人、すでに活躍している人が改めて知識をインプットするにはちょうどいいと思います。

ISSN-SNSの上位資格「CISSN」はすべて英語対応なので、限られた人が取得できるものです。CISSNは日本でいうと、日本スポーツ協会と日本栄養士会が公認している資格をイメージしていただければと思います。

編集部 ISSN-SNSの資格を有効活用する術というのはあるのでしょうか?

新生 日本での展開が始まったばかりなので、ISSN-SNSの資格を持って国内でどう仕事に生かすか、この資格をもってどんな仕事に就けるのかは未知数です。

それこそ、自身の熱意、既存の資格との兼ね合い、受け入れ側の捉え方などが絡んできます。今後ISSN-SNSが日本で広がって行けば、状況は変わっていくと思います。

少なくとも、国際的な学会が認定している資格なので、世界中で通用する物といえますね。資格取得の過程でISSNのグローバルな見解を取り入れることができる。この点も非常に大きいと思います。資格取得後は、培った基礎に肉づけする継続的な情報のインプット、現場経験を積むことは当然必要になってきます。

編集部 本気でスポーツニュートリションを学びたい、成長したい人は、日本ではなかなか手に入らなかった「海外の知識」に日本語で触れられることの方が大きいですね。興味を持った方は受講、資格取得に向けて挑戦してみてください。

スポトリ

編集部