料理家で世界を知るトライアスリートでもある高橋善郎さんのレシピ開発企画「二刀流の流儀」。
日ごろのトレーニングや大会出場時など高橋さんの体感を基に、どんな物が食べたいか、何を食べたらいいかを踏まえて、トライアスロンを構成する3種目、スイム・バイク・ランを愛する人たちに向けて、摂取するタイミングにも言及したスポーツフードを提案します。
ラン前に何を食べるか
運動をする人であれば一度は「走る前に何を摂るか」というのを気にしたことがあるのではないでしょうか?
普段の食事はもちろんですが、運動前後の食事はパフォーマンスに影響したり、疲れた体をケアしたりする点でも特に大事だと思っています。
そして、何を摂るかだけでなく、セットで考えた方がいいのが「時間軸」。
その時間軸はその人がどんな種目でどれくらいの強度かも踏まえて考えるのがベターですね。
僕の場合、普段のランニングトレーニング時は大体2~3時間前に食べてから走るようにしているんです。
「2~3時間前ってけっこう間隔があき過ぎでは?」と思う方もいるかもしれませんが、僕が主戦場にしているトライアスロンにおいては、レース当日もごはんを食べてからバイク(自転車)をセットしたり、スイム前の待ちの時間があるので、それを考慮してスタートする時間にお腹が過きすぎず、ちょうど体が軽くなるくらいといったところを目安にしているんです。
ただ、食べ物は嗜好品なので、人によって当然好みがありますよね。極論ですけど、自分の好きな物を食べることが一番だと思っています。
それを言ってしまうと話が終わってしまうので(笑)、今回はランナーが走る前に食べる物としてお勧めしたい「ツナ缶」で考えてみます。
ツナ缶は多くのメーカーが商品化しているだけあって、いろいろな種類を選べる楽しさがあります。保存がきいて手軽に使えるので、重宝する食材といえます。
たんぱく源としても期待でき、肉と比べて体内で消化するスピードが早く、体への負担が少ないんです。もちろん、たんぱく質の量や他の栄養素など比較すると食材によって異なりますが、これはあくまで「運動前に摂りたい食事」という意味で。
スポーツ選手にとって欠かせないタンパク質が豊富ですが、今回はツナ缶の中でも「オイル漬け」をうまく活用するのが特にお勧めです。
ダイエットをしている方にとって、脂質は天敵のように思えわれがちですが、脂質は三大栄養素の中で一番カロリーが高く、スポーツ選手にとってはむしろ効率のいいエネルギーだと僕は思うんです。
当然摂りすぎは良くないですが、ツナ缶の油には旨みも染みているのでそのまま使うも良し、みそ汁やサラダのドレッシングに少し混ぜたりと、活用法がたくさんあります。
今回はツナ缶と、ツナ缶に加えてたんぱく質が豊富な卵をメインに使用した「ツナ入りスタミナタルタルサンド」をご紹介します。
料理時間
10分
ツナ入りスタミナタルタルサンド
レシピ
【材料(2人分)】 | |
食パン(8枚切) | 4枚 |
ゆで卵 | 3個分 |
ツナ缶(オイル漬タイプ) | 1缶(70g) |
ピクルス(薄切り) | 10枚 |
マヨネーズ | 適量 |
【A】 | |
マヨネーズ | 大さじ3 |
練りからし/酢 | 各小さじ1 |
粗挽き黒こしょう | 小さじ1/4 |
塩 | 少々 |
作り方
STEP:01
殼をむいたゆで卵は粗みじん切りにする。ツナ缶は軽くオイルを切る(切ったオイルは他の料理に活用)。
STEP:02
ボウルに【A】を混ぜ合わせる。【STEP:01】を加えて、さっくり混ぜ合わせる。
STEP:03
食パンにマヨネーズを塗り、ピクルス、【STEP:02】をそれぞれ半量ずつのせ、もう1枚の食パンで挟む。
ラップで包んで5分ほど置き、もう1セットも同様に作る。食べやすい大きさにカットし、イタリアンパセリ、ミニトマト、粒マスタード(いずれも分量外:適量)と一緒に盛り付ける。
僕自身、手軽にサクッと食べられるサンドウィッチは、トレーニングシーンではお馴染み。運動、レースシーンでは家で食べられないこともあると思うので、持ち運びしやすいのもスポーツ選手にとってはものすごく重要ですよね。
今回はツナ入りタルタルをサンドウィッチにしましたが、このツナ入りタルタルはアレンジが無限大。食べるドレッシング代わりにサラダにかけたり、焼いた肉や魚のソースにしたり、グラタンのベシャメルソース代わりに使ってオーブン焼きなんかもおすすめです。
とまあ、僕自身のことも踏まえて書きましたが、スポーツと食との関係性において「絶対」はないと思うんです。だからこそ、まずは「どれくらいの時間に」「どれくらいの量を食べる」のがいいんだろうと、試験的に日常でトライアルしてみるのが正解に近づくステップだと思います。