前回の記事では、「日本では好きなときに好きなものを食べられる状況が、実は地球環境に負荷をかけている」とお伝えしました。

この一見恵まれた状況は環境問題だけでなく、私たちの身体にもある問題をひき起こす可能性もあります。その問題とは「生活習慣病」です。「生活習慣病」は、大人がかかるイメージが強いと思いますが、実は子どもも発病する可能性があることをご存じでしょうか。

今回は「子どもの生活習慣病」についてお話しします。

生活習慣病とは?

生活習慣病とはその名の通り、「食事や運動、睡眠、喫煙、飲酒などの日々の生活習慣が原因となり、発症・進行する病気の総称」です。

関連する主な病気として、肥満、2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症などがあり、生活習慣によって発症する症状が異なります。がんや心臓病、脳卒中(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患)などの日本人の死因の上位を占めるものも生活習慣病に含まれます。

子どもの生活習慣病の原因

①偏った食事
〝食の欧米化〟により、日本人の食生活が変化してきたことが大きな要因と考えられています。現代は図1の通り、摂り過ぎると肥満に繋がりやすい「脂質」の摂取が多くなっていることがわかります。

図1 PFC摂取バランスの変遷

また、パンやスパゲティ、カレーなどが食卓に登場する頻度が増えました。これらは簡単に済ませることができる半面、脂質の多いおかずが多くなったり、副菜がなく単品のみになることもあり、栄養バランスが偏ってしまいがちです。

さらに、脂質や塩分の多いスナック菓子などもいつでも好きなものが手に入るので、ついついおやつとして食べている方も多いのではないでしょうか。

②運動不足
いまやデジタルツールが当たり前になったことで、子ども達は外で遊ぶよりもゲームや動画を見ることが多くなり、昔と比べて活動量が減少しています。そのような子どもたちは、外で体を使った運動をしている子どもに比べて肥満になりやすいという調査結果が出ています。

③睡眠時間の乱れ
睡眠習慣は、家庭環境の影響を大きく受けます。塾や親の都合などで食事の時間が遅くなり、夜寝る時間も遅くなると、朝起きられない、体が起き切らない状態で保育園や学校に行く生活になってしまいます。

このような習慣が慢性化してしまうと、睡眠時間が足りなくなったり、睡眠の質が下がることでストレスに繋がり、過食症になってしまったりすることも少なくありません。

睡眠不足で頭がすっきりしないために常にぼーっとしたり、疲れた状態が続いたりしてしまうこともあります。時代の変化とともに変わってきた生活習慣の積み重ねが子どもの生活習慣病をひき起こす原因と考えられています。

生活習慣病を防ぐにはどうしたら良い?

一番大切なことは、やはり生活習慣を見直すことです。とはいえ、習慣を大きく変えることは簡単ではありません。ポイントをいくつかご紹介いたしますので、ご家庭で出来そうなものは何があるだろう?と考えてみてくださいね。

➀家族みんなで考える
厚生労働省によると、子どもが生活習慣病になる家庭の80%は親も肥満であるといわれています。つまり、家庭全体の生活習慣に問題が隠れているかもしれません。

今の家族全員の生活習慣に問題点はないか、どう改善したらよいかを話し合ってみましょう。家族全員で健康な身体をつくるための生活を考える機会を設けてみてはいかがでしょうか?

②健康的な食事を意識する
脂質の取り過ぎを避けると同時に、現在の食習慣にプラスワンをしてみてはいかがでしょうか。

例えば、朝食がパンのみであれば果物や野菜ジュース、スープ、ヨーグルトを付けてみるというように、何かひとつを追加してみる。スナック菓子や甘いジュースを食べる頻度が多い場合は、せんべいやおにぎり、やきいもなどをおやつのレパートリーに加えるなど、できることから意識してみましょう。毎回手作りでなくても構いません。

なるべく毎日決まった時間に食事を摂ることも大切です。

➂家族で楽しく運動をする
子どもの肥満予防に最適なのは「運動」です。運動する喜びや楽しさを体感することが習慣化へと繋がります。休日は親子で散歩に行く、身体を動かせる施設に出かけるなど、親子で楽しめることから始めると良いでしょう。

④「早起き早寝」を意識する
いつもより少し早起きをして、日の光を浴びましょう。朝に光を浴びることで体内時計が整い、自然と寝る時間もいつもより早くなることでしょう。早く起きることで朝食の時間も確保しやすくなりますね。

また、平日に睡眠時間が取れないからといって、休日に寝溜めをし過ぎるのも良くないといわれています。睡眠時間の差が1時間程度になるようにしましょう。

まとめ

生活習慣病予防は、食事・睡眠・運動の習慣を整えることが大切ですが、我慢をする、無理やり押し付けることはストレスになります。すぐに改善することが難しくても、家族で楽しくできることから始め、ストレスなく継続できることを習慣化しましょう。

次回は「子どもの乱れた心」についてお伝えします。

㈱ミールケア 食育開発部