拡大する健康・運動ニーズに回答、進化続けるオイコス

「ダノン オイコス ヨーグルト」は、アメリカで2010年に水切りタイプ(Strained)のギリシャヨーグルトとして発売がスタート。

水切りタイプは、とろっとした食感が味わえる「かき混ぜるタイプ (Stirred)」よりも製造工程が増えるが、ダノン社は栄養面や食べ応えなど、消費者が得られるメリットが多いと考え、開発をスタートさせた経緯がある。

ダノン オイコス ヨーグルトは、「ダノン ビオ」など日本でも展開されている多くのシリーズと同じ工場で製造されており、フレーバーのバリエーションを生み出せる技術力、グローバルなブランド力、ラインアップの豊富さなどから、消費者それぞれのニーズに沿ったプロダクト展開を可能にしている。

ダノン オイコス ヨーグルトの日本展開は、欧米・豪州を起因とするプロテインブームから少し後の2015年に始まった。当初は、働く女性の約40%が毎日間食を取るといったデータ結果から、腹持ちのいい女性向け「ヘルシーおやつ」の位置づけだった。

その後、日本でも定期的な運動や体づくり、健康面におけるタンパク質摂取の必要性が盛んに叫ばれるようになると、世界ではさまざまな新知見が広がっていった。

こうした時代背景の中、ダノン オイコス ヨーグルトも2019年から、おなじみの「カラダ動かす、ジブン追い越す。」をキーフレーズに、スポーティーな黒基調のパッケージへリニューアル。良質なタンパク質が多く含まれている点を強調しながら、健康志向の消費者に応える商品へと進化した。

2022年には分析・臨床試験から低GIであることが証明され、今春には新たに「高吸収」を見出し、機能性の観点から商品価値をさらに高めた。

今春からラインアップされた「ダノン オイコス プロテインドリンク」(RTD:すぐに飲めるドリンクタイプ)も絶好調で、ダノン オイコスシリーズはプロテイン系商品の中でも確固たる地位を築き上げている。

新たな価値「高吸収タンパク質」、筋合成などへの利用効率も焦点

ダノン オイコスシリーズを日本で展開するダノンジャパン株式会社は今夏から、「高吸収タンパク質」を全面にした販売戦略を打ち出している。これは、比較試験などで体への消化・吸収率が高いこと、筋合成などへの利用効率が高いことが示されたからだ。

加えて、週1回以上運動をするプロテイン摂取経験のある20~50歳代を対象にダノンジャパン社が実施した意識調査で、タンパク質の種類によって吸収率に違いがあることを理解する割合は約7割に及んだことから、消費者ニーズにも応える形になった。

ダノン オイコスシリーズの商品にはいずれも「高吸収タンパク質」と明記されているが、そもそもこれは何を意味しているのか?

文字から想起するイメージとして、タンパク質の体内吸収を促進させる原料や素材を添加していると思われる方もいるだろう。しかし、ダノンジャパン社は、日々品質を高めようと研究・開発を進める中で、原料や素材の添加ではなく、既存商品に新たな価値を見出したというのが本当のようだ。

肉や魚、ヨーグルト、プロテインなど、口からタンパク質を含む食品を摂取すると、食道を経由して胃や小腸に達し、そこで分解(細かく)されてアミノ酸になる。アミノ酸は、血液を通じて全身組織に渡り、体の素になる。

したがって、タンパク質摂取後、どのくらいの量のアミノ酸が消化管を通過して血液中に移動し(血中アミノ酸濃度)、血液で体中に運ばれてどれくらい吸収されるかを意識することが、自分に合ったプロテイン系商品を見つけるカギになる。

ダノンジャパン社は、ダノン オイコス ヨーグルト、ダノン オイコス プロテインドリンクについて、ヒト試験で良質タンパク質飲料との消化・吸収に関する比較をおこなっている(図1、2)

図1 血中アミノ酸濃度推移
 [ダノン オイコス ヨーグルト vs 良質タンパク質飲料]
(ダノンジャパン社よりデータ提供・改変)
図2 血中アミノ酸濃度推移
[ダノン オイコス プロテインドリンク vs 良質タンパク質飲料]
(ダノンジャパン社よりデータ提供・改変)

2品とも摂取後30分で差は明らかになり、120分経った時点でも血中アミノ酸濃度は高値を示した。また、ダノンジャパン社はダノン オイコスシリーズのいずれの商品でも、摂取後のアミノ酸血中濃度の指標が良質タンパク質飲料と比較して1.8倍を示したとしている。

消費者にとって、「アミノ酸が体内に吸収された後、きちんと体づくりに役立つのか」も気になる部分であり、意識しなければならない部分でもある。いくらプロテインをたくさん摂取したとしても、それが体内で代謝されて〝実〟にならなければ意味がない。

ダノンジャパン社はダノン オイコスシリーズについて、高吸収であることに加え、「筋合成などへの利用効率」についても比較検証している。

根拠となっているのが「消化性必須アミノ酸スコア(DIAAS)」で、これは食品ごとに異なるタンパク質含有量、アミノ酸組成、消化効率、利用効率などを総合的に評価するもの。タンパク質の「質」を踏まえて詳細に分析・評価できるため、近年ではスタンダードな評価方法として定着しつつある。

ダノンジャパン社のデータによれば、ダノン オイコスシリーズのDIAAS値は、運動をする人の鉄板食材でもある鶏ささみと遜色なく、良質タンパク飲料と比較して1.5倍効率がいい。

ダノンジャパン社 マーケティング部・稲垣香里さんは、「日本の消費者のみなさまは、情報感度が高く、健康のために質の良い物を求める傾向があります。効率よくプロテインを吸収したいというニーズに弊社の商品がお応えできることを科学的に証明しました。みなさまの生活によりお役立ていただければと思っています」と話している。

プロテイン系商品は世界的に需要が高く、パッケージに「タンパク質〇g配合」「一日に必要な摂取量の〇割が補える」のような文言が多い。しかし、その中身(質)について、触れる商品はそれほど多くない。

すでに多くの人が知るブランドとはいえ、高吸収・筋合成効率など「なぜ体のためになるのか」をしっかりと言及できる(研究できる)ことが、ダノン オイコスシリーズの信用にもつながっている。

2024年は上市ラッシュ、豊富なバリエーションを用意

ダノン オイコスシリーズは2024年、1月に期間限定フレーバーの「ダノン オイコス ヨーグルト 脂肪0 アプリコット&ミカン」を発売したのを皮切りに、4月に初のRTD品、9月にはRTD品の新フレーバー(カフェラテ風味)と次々と上市したほか、その後もさまざまな期間限定フレーバーを販売している。

季節ごとに商品を送り出せる背景には、継続的な消費者調査と情報分析にあり、〝瞬間的〟にニーズに沿った商品を世に送り出せる強みがある。調査結果から得られた情報を基に新商品を検討するものの、定められた基準値をクリアしない物は上市しないという。

稲垣さんによれば、「国によってニーズや好みも変わってくるため、味や商品形態、訴求点が変わってくる」とのことで、新フレーバーとして登場する物は日本人の好みに合わせて季節ごとに開発をおこなっている。

ダノン オイコスシリーズは、高吸収タンパク質・低GI・筋合成効率に加え、「脂肪0」も大きな特徴だが、商品によって無糖・加糖、タンパク質含有量と商品設計を変え、機能性やおいしさ・健康など、多様化が進む日本人の食生活に対応する。

「例えば、無糖は、カロリーを抑えたい方やボディビルダーなど運動をする人にニーズが高いですし、ヨーグルトのおいしさやバリエーションを味わいたい人は甘味のある加糖仕様の物や期間限定のフレーバー製品、外出先でも手軽にタンパク質を補給をしたい方にはドリンクタイプといったように、細かく分かれるそれぞれのニーズにお応えしたいと考えています。

具体的な計画はまだ明かせませんが、すでに先の展開を見据えて情報分析、商品の検討をおこなっていますので、消費者のみなさまのニーズに応じて、今後もダノン オイコスのさまざまな製品を世に送り出していく予定です(稲垣さん)」

昨今、「タンパク質をたくさん摂ればいい」という風潮が見られるが、ダノン オイコスシリーズは量を担保しつつ、重要な「質」にも着目した商品といえる。

吸収率の高さや利用効率を明確に訴求できる(科学的根拠を示す)商品は数少なく、ヨーグルトやドリンクなどは食生活の中で比較的取り入れやすい点、個々のニーズに応えられるバリエーションが豊富な点が、ダノン オイコスシリーズの人気たるゆえんでもある。

スポトリ

Kiyohiro Shimano(編集部、ISSN-SNS:スポーツニュートリションスペシャリスト)