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2021.11.10
食事・栄養学
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ウェイトコントロール 減量編① ~減量のために何が必要なのか?~【Z世代におくるスポーツ栄養講座 #17】
坂元 美子(神戸女子大学、管理栄養士)

神戸女子大学・坂元美子先生による「Z世代※)におくるスポーツ栄養講座」。スポーツ選手にとって、自分の体重を管理することは仕事といってもいい。一般の人でも増量・減量は気になるところだ。ウェイトコントロールの基礎解説第3回目は減量編①。効率的に減量をするためにどんな考え方をすればいいのかを解説する。

※) Z世代とは、欧米で10~20歳を指す言葉として使われている。すぽとりでは「成長世代」と同義と捉えて使用する。

記事と動画(図表解説あり)の両方をご覧いただき、理解をより深めていただければ幸いです

体脂肪を減らすのが「減量」 食事と運動で無理なく

減量は、体重が軽い方が有利な競技(体操・新体操ほか)、階級制競技(柔道、ボクシングほか)の軽量クラスなどが行うケースが多く、「競技力を向上させるため」が大前提としてあります。減量をすることで必要な栄養素が摂れなかったり、除脂肪(体脂肪以外の筋肉・水分・骨・内臓)量が落ちてしまったりすると、競技力低下のリスクが生まれます。ですから、減量は「除脂肪を維持しながら体脂肪を減らす」ことであり、減らせる体脂肪がなければ、減量はできないということになります。

体内には1kgあたり約7000kcalの体脂肪があり、1kg減量するためにはこの分を消費しなければなりません。例えば、1カ月で1kg減らしたい場合、1日に約250kcal消費する生活を30日間継続して初めて減量を達成できる計算になります。1日250kcalを消費するためにカギとなるのが食事の量と運動です。

まず、250kcalのうちの半分(125kcal)は「食事量を減らす」ことで賄います。ただ単に食べる量を減らせばいいというわけではなく、食べる物に気を使いましょう。具体的には、体脂肪の素になる脂質の摂取量を減らし、除脂肪量を維持するためのたんぱく質・ビタミン・ミネラルはしっかり摂ることが重要です。

残りの半分は、日常の生活活動に加えて「運動量を増やす」ことが必要になってきます。そのためには、体内の体脂肪をエネルギーとして使って消費するような有酸素運動が有効です。一般的な体格の人の場合、ウォーキングであれば30分間(約145kcal)、少しペースが速いジョギングであれば15分間(約125kcal)、運動強度が割と高めの水泳(クロール)であれば6分間(約125kcal)で1日分のエネルギー消費をほぼ達成できることになります。これに加えて、除脂肪量を維持するための運動もしておくと良いです。スクワットや腕立て伏せ、ダンベル体操など、筋肉に負荷(抵抗=レジスタンス)をかけるレジスタンス運動も併用すると効果的な減量を達成することにつながります。

「1日も早く減量したい」と思う人も多いと思います。運動の時間を増やしてエネルギー消費をさらに促し、その分短期間で減量をしたいといった考えもわかりますが、普段から運動習慣のある人がさらに運動量を増やして体脂肪を減らすのは大変ですし、維持しなければならない除脂肪を減らしてしまう可能性もあります。減量は、ゆっくり時間をかけて行う方が結果的にうまくいくと思います。

私が指導しているスポーツ選手から「体脂肪率を10%にしたいんですけど、どうすればいいですか?」という相談を受けます。おそらく周囲の選手の数値を聞いて自分もそうあるべきと考えて相談してきたと思うんですが、この考え方自体危険です。

最初にお話ししたように、減量は体脂肪率の目標値を達成するためのものではなく、競技力(一般の人なら生活の質:QOL)向上のためにするものです。体脂肪率を気にするあまり、減量の目的を忘れてしまってはいけません。スポーツ選手ならより速く、より強く、一般の人なら生活に支障がないように、自分の体をうまく使えるようにするため、運動・トレーニング、食事を考えていきましょう。 <<次回へ続く>>

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坂元 美子(神戸女子大学、管理栄養士)
Yoshiko Sakamoto
神戸女子大学卒業後、名将・仰木彬監督、イチローが在籍するオリックス・ブルーウェーブ(当時)の栄養サポートを担当。在任中に球団の栄養サポート体制を構築、日本シリーズ制覇も経験した。その後、スポーツ系専門学校を経て母校に戻り、健康スポーツ栄養学科で教べんを執る。特に、サッカー・野球の栄養指導・サポートに定評があり、強豪校での指導経験が豊富。企業との共同研究、スポーツサプリメント開発を手掛けるなど、活動の幅は広い。プロのスポーツ現場で雇用された管理栄養士の先駆け。

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