国際スポーツ栄養学会(ISSN)のグローバルパートナー「グローバル・パフォーマンス・ニュートリション・インステュート(GPNi)」の公認資格の認定、教育プログラム「スポーツ栄養スペシャリスト(ISSN-SNS)」のがこのほど日本に上陸した。

これからスポーツニュートリションの世界を目指す人、すでに現場で活躍する人にとって、資格認定の過程で学べる内容は自身の歩みの大きな助けになるはず。

そこで、資格取得のための講座で何が学べるかを編集長自ら体験。今回は、資格認定試験を受けた感想、実際にかかった勉強時間、試験結果についてレポートする。

受験者のスペック

・スポトリの立ち上げ&編集責任者、メディア業界20年以上。

・競技歴は野球、水泳、剣道、バレーボール(中学~大学)。海外スポーツをはじめ、全競技フォロー可。スポーツ紙では競馬(動物界のアスリート)も担当。好きな競技はアメリカンフットボール(NFL)。

・大学時代に栄養学を選択も、まるっきり覚えていない。長年の取材を通じてニュートリションはある程度理解している。論文読解はそれなり。

・興味がある分野は研究・開発、トレンド、サプリメント、原料・成分。得意な分野は歴史、経済。

・週1回、スポトリで記事を公開するために取材・情報収集をおこなう。その他の日は全く違う分野の仕事に当てており、時間は割とタイト。

・所持する国家資格は、事業用回転翼操縦士(日本・オーストラリア)。メディア業界から一時離れて資格を取得。だが、今のところほとんど役に立っていない。

・高校時代、食事によってケガをしない競技生活を送り、食生活が乱れた大学時代にコンディションが崩れたことから、ニュートリションの重要性は頭にこびりついている。だから、スポーツを頑張る人たちには「ニュートリションが第一」を浸透させたい!

試験を受けるには?

STEP:01

すべてのモジュール(8つ)の講習・小テストが終わると、GPNi事務局から「ISSN-SNS資格認定試験のご案内」のメールが送られてくるよ。海外との時間差があるので、連絡がタイムリーではないかもしれない。気を抜かず勉強を続けよう。

試験リンク、注意事項などが記載されているので、よく読むべし。


STEP:02

試験リンクを押した後の画面。

「Name」が2つ並んでいるけど、両方とも「ログインしているユーザー名」を入力。漢字も認識されるから心配ご無用。

「Log in」で試験準備へ。


STEP:03

試験の前に、試験時間など注意事項を改めて。

よく読んで試験を受ける準備が整ったら、「Enter the Test」を押す。

試験時間:85分(1時間25分)
問題数:100
合格基準:75点以上

実際は一つの画面で表示

試験勉強にはどのくらいかかる?

勉強を始めたのが4月中ごろ。全モジュールを終了したのが5月初め。試験を受けたのが6月6日。

ある程度の予備知識を持っているという前提で、勉強した期間はだいたい1カ月。全集中したわけではなく、合間にといった方が正しい。一応参考までに。

ニュートリション業界へは研究・開発、成分・原料分野から入っているため、サプリメント・成分系は問題なし。実は、数字を含めて栄養学の基礎的なところが意外と疎か。なので、そこを重点的に見直した。

あまり時間を置かずに、試験を受けるのが得策。ただ、資格を取るだけが目的になってはいけない。

合否はいかに?

結果は「合格」。

試験では、成分の効果、競技別栄養戦略に関する出題が多く、与しやすかった面も。

試験問題は個人でそれぞれ違うとのことなので、資格を取得するためには、全体的に勉強しないとキツいだろう。

試験に合格すると、事務局から修了証書がデータで送られてくる。証書が手元にほしい人はオーダーも可(国際物流費は自己負担)。

修了証書

ISSN-SNSの資格をどう使うか

筆者がスポーツ現場でコーチングをすることはおそらくない。主にビジネスシーンでの活用になる。

国際的に認められた資格を所持していることで、「記事の信ぴょう性」「ニュートリションを理解している人間による取材活動」「マーケティングのアドバイス」など、適当なことを言ったり、書いたりしているわけではないと説得力に多少味つけがされるかもしれない。まぁ、これまでとやることは変わらないのだが。

ISSN-SNSの資格認定を受ける過程で、日本とは異なる(エビデンスに基づいた)海外の見識に触れることは大いにプラスになる。グローバルスタンダードの時代だし、世界ではスポーツニュートリションがどんどん進化している。

資格は取るだけが目的ではなく、取った後に「何をするか」。その過程で「何が得られたか」を考える必要がある。

かくいう筆者もプロのヘリコプター操縦士の国家資格を持っているが、生かせずホコリをかぶっている。

ただ、資格取得の過程(200時間の飛行訓練)で、「マルチタスク(飛行中、同時に多くの工程をこなさなければならないケースが多い)」「(危険を回避するための)判断力」「視野を広く持つ(判断材料になる情報の収集)」は養われたと思う。

ヘリは、前後(ロール)・左右(ヨー)・上下(ピッチ)と3つの回転運動があり、両手足を使って機体をコントロールしなければならない。3次元空間での操縦になるため、車や飛行機と比べてケタ違いに難しく、危険は常に伴う。まさに、並行作業、判断力、広い視野が求められる。

さらに、ヘリにかかわるすべての知識(英語、法律、気象、工学、航空管制、電波・無線)を頭に入れる必要がある。その点でいえば、スポーツニュートリションも共通しているのではないか。

今の仕事に当てはめれば、マルチタスクは仕事の効率化を図る上で役立ち、判断力は、物事が停滞した時の突破口になる。そして、スペシャリストとしての技量を持ちながら、ゼネラリスト的な視点を持つことは、資格取得で得た自身の利点にもなっている。一部分にしか目がいかないと、アイデアは出てこない。

ホコリをかぶってはいるが、無駄にはなっていない。得られたことをその後に生かしている。

厳しいことを言うようだが、この資格を取得した後、仕事に生かせるかどうかは自分次第。継続的なインプット(勉強)によって自己を高め、機会を自ら勝ち取ることこそが大事。刃を研ぎ続けることだ。徒弟制度を当てにしてはいけない。でも、人との縁は大事にしよう(誰でもいいというわけではない)。

この資格取得を考えているのはきっと、成長意欲の高い人たちばかりだろう。資格取得後の先は、編集部とミールケアで進める「NCP」などでフォローしていきたいし、応援していくつもりだ。

スポーツニュートリションの世界で活動することをめざしている人は、ISSN-SNSの資格に挑戦するのを皮切りに、上位資格のCISSNの資格をめざしながら、英語の勉強を始めてもいい。もしかしたら、違った自分が見えてくるかもしれない。

自分の可能性を広げるためのツールとしても考えてもらいたいし、視野を広げてもらいたい。特に、若い人たちには。

新しい未来を作り、時代を進めていく若い人たちの力は無限。とても期待している。