ユーフォリアスポーツ科学研究所ら研究チーム1は、大学生年代以上の女性アスリートを対象にした月経に関する長期にわたる調査研究で、74.4%が何らかの月経周期異常(無月経、希発月経、頻発月経)を経験していることを明らかにした。

女性アスリートの健康をめぐっては、コンディショニングや将来の生活(妊娠・出産など)と密接にかかわる「月経」に関して、選手自身による管理や意識向上・対策、指導者ら関係者には正しい知識や理解が求められている。

研究チームによると、月経周期異常の有病率に関する調査はこれまで、アンケートによって過去の月経状態を振り返っていたため、一定の知見はあるものの、記憶に基づく報告には課題があったとしている。

今回の調査結果は、チームメディカルや研究者らが選手の月経状態をリアルタイムに近い形で追跡する体制がとられ、より客観性の高いデータに基づいたものになっている。

本研究は大学生年代の女性アスリートを対象としているが、成長期世代の選手や指導者、保護者にとっても示唆に富む結果といえるだろう。

なお、研究内容は、日本臨床スポーツ医学会誌に論文として掲載・公開された2

研究の概要(対象や調査方法など)

被験者:316名(19~23歳女性)

競技:サッカー(117名)、バレーボール(68名)、ソフトボール(63名)、ハンドボール(37名)、フィールドホッケー(19名)、バスケットボール(12名)

競技レベル:大学、セミプロ、プロ

調査期間:2022年10月~2024年1月

調査方法:アスリート用コンディションアプリを使用し、個人のスマートフォンを用いて月経の開始日・終了日を記録。記録をもとに、月経周期を算出。

調査体制:研究者は月経周期データをモニタリングし、選手が所属するチームのメディカルスタッフと月 1 回の頻度で連絡を取り、周期が極端に短い場合、38 日以上記録がない場合には実際の月経状況を確認した。

定義:国際産婦人科連合の基準から、24 日以上 39 日未満は「正常月経周期」、その期間に当てはまらない場合は「月経周期異常」。39 日以上 89 日未満を「希発月経3」、24 日未満を「頻発月経4」、90日以上を「(続発性)無月経5」とした。

調査結果

スウェーデン、アメリカ、イギリスなど国外の一般女性を対象とした大規模調査では、21~24歳の平均月経周期は 23.4日(±0.9日)と報告されている。

本調査では、被験者の平均月経周期は31.6日(±11.0 日)とされ、欧米の一般女性と比較したデータよりもやや長い傾向がみられた。調査の中で、月経周期の最小値は6日で、最大値は166日と記録されている。

被験者を最長 1 年間追跡し、計2789周期分の月経データを記録・解析した結果、無月経・希発月経・頻発月経のいずれかの月経異常が認められた被験者は235名に上り、全体の74.4%を占めた。一方、正常月経は全体の25.6%にとどまった。

症状別にみると、無月経は29名(9.2%)、希発月経は183名(57.9%)、頻発月経は111名(35.1%)だった。なお、1人の被験者に複数の症状が認められた場合も都度カウントしているため、発症人数・割合の合計は316名/100%を超える。

研究チームは、「月経周期異常は女性アスリートにとって身近な健康問題であり、女性アスリート本人に加え、コーチやスポーツドクターなどの関係者がより一層連携を強め、予防を講じることが重要である」としている。


  1. ユーフォリアスポーツ科学研究所、㈱ユーフォリア、 日本体育大学、 ベースボール&スポーツクリニック ↩︎
  2. 飯澤拓樹, 山中美和子, 須永美歌子, 馬見塚尚孝 : スマートフォンアプリを用いた女性アスリートの月経周期異常の有病率の実態調査, 日本臨床スポーツ医学会誌, 34 (1) 170-173 (2026) ↩︎
  3. 正常より長くなる月経不順。ストレス、過度なダイエットなどが原因とされている ↩︎
  4. 1ヵ月で2回生理が来るなど、頻繁におこる月経。ホルモンバランスの乱れ、排卵障害、ストレス、疲労などが原因とされている ↩︎
  5. 3ヵ月以上月経が止まった状態。原因は、ホルモン異常、過度のダイエット・ストレス(視床下部機能障害)、卵巣機能不全、子宮・腟の異常とされている ↩︎
スポトリ

編集部