近頃健康志向になってきて、白米から玄米や雑穀米に変える人が増えてきました。雑穀米は入れて炊くだけの市販の物が売られているので、簡単に食べることができます。でも、「玄米を炊くのは難しそうだし、パサパサで白米ほどはおいしくない」と思う方もいるでしょう。でも大丈夫! 玄米をおいしく炊き上げるコツをお教えします。

おいしい玄米の炊き方

まずふっくらとして美味しい玄米を炊くには下処理が大切です! 玄米は精白米と違い、ぬかなどをきれいに落としていないので、殻などのゴミが入っている場合があります。ですから、2回ほど水に通して浮き上がったゴミを取り除きます。この作業をしてから手のひらをこすり合わせるようにもみ洗いをして水で流す。これを水が濁らなくなるまでしっかりと行います。

そのあとは最低でも2~3時間、できれば一晩しっかりと浸水します。ここでしっかりと浸水することで、ふっくらとした玄米が炊き上がります。そのあと水切りをして、玄米炊き機能のついた炊飯器で炊くのですが、今回は圧力鍋と鍋での炊き方をご紹介します。

【圧力鍋を使って玄米を炊く】

圧力鍋に水(洗う前の玄米の1.5倍量)と食塩を小さじ1/3を入れて 塩が溶けるまで混ぜ合わせます。そこに浸水した玄米を加えて火にかけます。圧力がかかってから、20分ほどで火を止めます。10分ほど蒸らすと、ふっくらとおいしい玄米が炊き上がります。炊飯器よりも早く、おいしく炊き上がると思います。

【鍋を使って玄米を炊く】

玄米は土鍋や鍋でも炊くことができます! 鍋で炊く場合は、秋田の秘伝といわれる「びっくり炊き」という炊き方があります。この炊き方は他の炊き方と違い、浸水させずに炊くので、すぐ食べたい時に良いかもしれません。

まず、ゴミがとれるくらいにサッと玄米を洗って、1.2倍の水と一緒にフタつき鍋に入れて中火で15分ほどかけます。
「パチパチ」と音がしてきたら、フタを開けて玄米の0.8倍分の冷水を加えます。この冷水を「ビックリ水」と呼びます。水を加えたらよくかき混ぜてフタをし、弱火で15分~20分煮ます。火を止めて10分ほど蒸らしたらでき上がりです。

このように鍋で簡単に炊けるなら、玄米に変えようという方も増えるのではないかと思います。玄米は腹持ちが良く、食物繊維も白米の約9倍含まれているようなので、ダイエットにも効果的です。他の栄養分も白米に比べて4倍ほど多く、間違いなく身体に良い食べ物といえるでしょう。

【そもそも雑穀とは何?】

近年、体を気遣う女性を中心に「雑穀」が注目されています。米とブレンドして炊く雑穀米として食べられているのはもちろん、サラダやスープ、さらにはスイーツと幅広く使われています。健康に良いことはご存知だと思いますが、どんな雑穀があり、そしてどの様な効果が期待できるのでしょうか。

雑穀とは、一般的に「米」と「小麦」以外の穀物の総称のことで、「玄米」「あわ」「ひえ」「きび」「ごま」「そば」「大豆」、などが挙げられます。他にも様々な雑穀が国内外で栽培されており、その数はもはや数えきれないほどあるといわれています。

日本における雑穀の歴史は古く、紀元前3000年よりも前から栽培され、日本古来の書物「古事記」には、「稲」「あわ」「小豆」「麦」「大豆」が五穀として記されています。江戸中期ごろに、玄米に変わって白米を食べる習慣が広まりましたが、多くの人は少量の白米に雑穀を混ぜていたものを食べていました。

その後、終戦を迎えてしばらく多くの日本人の主食は雑穀でしたが、高度経済成長とともに主食が白米へと変わっていきました。このように、長い歴史の中で主食が白米なのはここ数十年と短く、私たち日本人の食生活を支えてきた穀物は「雑穀」だったのです。

日本最古の穀物「あわ」

縄文時代から栽培されていた日本最古といわれる雑穀で、風味が「淡い」ことから「あわ」とつけられたといわれています。

白米に比べてビタミンB1が多く、食物繊維や鉄分、マグネシウムも含んでいるため、腸内環境を整える効果や貧血予防などに効果が期待できます。

甘味があり、もっちりとした食感で、くせがないのでごはんに入れるだけではなく、クリームコロッケにしたり、スープに入れたり、デザートに使ったりと様々な料理に活用できます。

桃太郎に出てくるきびだんごでおなじみの「きび」

生長すると黄色い実がなることから「黄実(きみ)」と呼ばれ、そこから言葉が濁って「きび」と呼ばれるようになりました。現在では、黄色のほかに白色や褐色の物もあります。

あわよりも少し粒が大きく、コクや甘味があり、冷めてもモチモチなのが特徴です。体内では生成されない必須アミノ酸であるメチオニンが含まれ、肝臓の老廃物や毒素を体の外に排出して代謝を高めてくれます。また、黄色い色素はポリフェノールで抗酸化作用にも優れています。

驚異の穀物!? 「アマランサス」

「アマランサス」は過酷な栽培環境でも育つことと、栄養面に優れていることから、「驚異の穀物(スーパーグレイン)」と呼ばれています。

種皮がやわらかく、全粒で食べられるので栄養価が高く、特にカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを多く含んでいます。その他に注目したいのが、ビタミンEの一種である「トコトリエノール」です。トコトリエノールは特定の食べ物にしか含まれていない成分で、強い抗酸化力をもち、美肌やシミ・シワの改善に期待ができます。

プチプチとした食感が特徴のアマランサスは、ナゲットやポテトサラダに入れてもおいしくいただけます。

NASAが認めた豊富な栄養を持つ「キヌア」

古代インカ帝国では、トウモロコシと並ぶほど神聖で貴重な食物であったため、「穀物の母」と呼ばれていた「キヌア」。

キヌアはたんぱく質、ミネラル、食物繊維など、栄養バランスに優れた食材で、便秘改善や貧血予防、生活習慣病予防などに役立ちます。また、食事で摂り入れなければならない9種類のアミノ酸(必須アミノ酸)のすべてを含み、アメリカ航空宇宙局(NASA)が理想的な宇宙食として評価しています。

プチプチとした食感を楽しめるキヌアは、白米や玄米と一緒に炊いたり、スープやサラダ、パスタやハンバーグなどの料理にもよく使われたりします。

もちもちした食感が人気の「もち麦」

もち米のように粘性が高く、もちもちとした食感が特徴の「もち麦」。外皮を完全に取り除いてしまう押し麦に対して、もち麦は外皮を一部残して加工されるので、雑穀の中でも食物繊維含有率が高いのが特徴です。

もち麦に含まれる水溶性食物繊維「大麦β-グルカン」は、腸内の善玉菌のエサになり、腸内環境を整えるだけでなく、糖質の吸収を抑え、食後の血糖値の上昇を抑えてくれます。また、もち麦には、次の食事でも血糖値の上昇を抑える「セカンドミール効果」があるので、朝や昼に食べるのがおすすめです。

今回紹介した雑穀以外にも、たくさんの雑穀が売られています。米といっしょに炊くのはもちろん、茹でて普段の料理にプラスし、食感や風味を楽しんでみてはいかがですか? 毎回茹でるのが面倒な方は、冷凍保存もできるので、まとめて茹でておくのがお勧めです!

スポトリ

編集部