米・米粉消費拡大推進プロジェクト事務局は、米粉カンファレンス2024「米粉ブームの再来、次の一手は?」を実施。会では、昨年に食のトレンド入りを果たした米粉を深堀りすると共に、社会や企業にとっての〝食〟の課題を取り上げ、解決に向けて意見交換した。
農林水産省の葛原祐介氏は「食料安全保障の確保のためにも米粉の利用拡大は重要。いかにみなさまに米粉をおいしく食べてもらうかが課題。現状、米粉について知恵やノウハウを持っている人が点在しているため、横のつながりを形成し、相乗効果を生み出していきたい」と、米粉の食文化定着へ意気込みを語った。
山口県で製菓・製パン業を営む株式会社cotta・黒須綾希子氏は、原料として米粉を使用する立場から「現在、米粉は小麦粉よりも検索されており、多くの人に注目されている。情報と商品のどちらも届けることができるcottaだからこその米粉の魅力と正しい情報を届けていきたい」と、米粉の情報発信や流通網の確立への必要性を訴えた。
市場拡大には米粉などを取り扱う製粉業の動きがカギになってくる。株式会社波里・藤波孝幸氏、熊本製粉株式会社・林いずみ氏が「製粉企業が考える市場拡大における課題と次の一手」をテーマに議論。
藤波氏は、米粉の品種改良について紹介し、「製粉企業として、新用途米粉の新たな商品展開を検討している」と述べ、今後の展望を明らかにした。林氏は「米粉はおいしくなさそう、米粉はあまり膨らまなさそうといった誤解を解くことが重要。情報発信や用途にあわせた米粉の存在・小麦粉との違い・使い方を伝えることが、さらなる米粉の消費拡大に繋がる」と、課題とその解決策を示した。
米粉に加工するために、最適な米の品種開発・改良も視野に入る。農業・食品産業技術総合研究機構・荒木悦子氏は「粒子が細かく、デンプン損傷が少ない日本の米粉は、海外でも評価されている」とした。
そのうえで、「フランスでは、日本の米粉を使ったバケットが人気。海外への輸出も視野に、米粉の消費拡大に繋がることを期待している。今後は、栄養価が高い玄米粉にも注目し、品種開発を通して米粉の可能性を広げていきたい」と、国外での需要増による将来性を評価した。
米粉が食文化に定着するには、消費者や使用者の視点でも汎用性の高さを周知させる必要がある。米粉専門家・高橋ヒロ氏は、「これまでの米粉は、おいしさで小麦粉に勝てなかった点や、実際の料理で使いにくかった点がある。近年では米粉が手に入りやすくなり、身近な存在となった」と、米粉に対する変化が生じていることを解説した。
「米粉を使用した食べ物を作りたいからパン作りやお菓子作りをしたいという人が増加している」と現状を分析しながら、「今後は米粉が簡単においしく調理できることを伝え、米粉へのハードルを下げることが重要」と話した。
「米粉を知るゼミ」は、米粉を取扱う事業者・各種団体や米粉を取り入れることを検討中の方面へ、米粉の正しい知見やノウハウの提供をし、米粉に関する理解を深めるコミュニティ。