前回は、子どもにも増加している生活習慣病についてお伝えしました。

では、偏った食事や運動不足、生活リズムの乱れなどの生活習慣だけを正せば、この問題は解決するのでしょうか。

実は大人と子どもの関わり方が大きく影響しています。

今回は、子どもたちの「心」と「食」に注目し、大人がどのように関わることが必要なのか、一緒に考えていきましょう。

心の乱れとは?

「イライラしている」「乱暴な言葉遣いや行動になる」「寝つきや寝起きが悪い」など、思い当たる節はありませんか? これらは、心が乱れているときに起こりやすい行動の一つです。

ストレスによる体の反応は、行動・体・心に、それぞれ以下のような症状として表れます。

★行動のストレスサイン…口数が減る、甘える、攻撃的になる、意欲減退など。

★体のストレスサイン…体調不良、過食になる、食欲がない、便秘、下痢、発熱、腹痛など。

★心のストレスサイン…突然泣き出す、怒る、落ち込む、感情の起伏が激しくなる、など。

大人は、ストレスとの向き合い方を理解していることが多いですが、子どもたちはなぜイライラするのか、どうしたらよいのか分からずに感情を爆発させることで、自分の気持ちを伝えています。

ストレスサインがみられたら、まずは、大人が冷静に子どもの様子を観察すること、そこから「なぜ心が乱れているのか」を考え、一緒に解決の方法を探すことに取り組んでみましょう。

乱れた心との向き合い方

子どもと向き合うために、大事にしてほしいのは、一緒に過ごす時間です。

連載#08でも共食の大切さをお伝えしましたが、それに加え、子どもたちのストレスサインにも気づくことができるような食事時間を過ごすポイントをお伝えします。

◆ゆったりとした気持ちで過ごす
顔を合わせて食事をする時間は、子どもの変化に気づき、臨機応変に対応できるように注意しながらも、リラックスできるようなゆったりとした雰囲気作りを心掛けたいですね。

5分程度でも、大人がゆったりした気持ちで一緒に食卓を囲むことで、子どもも気持ちに余裕をもち、リラックスすることができるのではないでしょうか。

◆マナーを守ることにこだわり過ぎない
限られた時間のなかで、食事を全部食べてほしいと同時に、食事の約束やマナーを守ることを大人が強く求めてしまうことがあります。

そんなとき、子どもたちに強い口調で怒ってしまうこともあるでしょう。大人から怒られるということも子どもにとってのストレスの一つです。あれもこれもと約束を増やすのではなく、何を大事にするのかを見直してみるのもいいのかもしれません。

大切なことは、子どもたちに一緒の食事時間を楽しいと思ってもらうことです。

心とをつくる食事のポイント(年代別)

①健康的な食事を用意する
栄養や健康的な食事については、連載#04でもお伝えしましたが、毎食このようなバランスのよい食事を用意することは難しいかもしれません。それでも、食事の際にこのバランスを頭にイメージすることで、その日の食事を振り返り、翌日の食事では不足分を補うなどの献立選びに役立てることもできますね。

②朝食を食べる習慣をつくる
朝食は、体を目覚めさせる大事な食事です。成長期の子どもにとっては、体に必要なエネルギーや栄養素をとるためにも欠かすことができません。

【幼児期】
食事のバランスも大事ですが、朝食には、子どもたちが食べやすいサンドイッチやおにぎりが、一品で複数の食材を食べることができるのでおすすめです。寝起きの子どもたちは食欲がわかず、量や品数の多い食事を見ただけで、食欲が減退してしまうこともあります。

また、子どもに食べてほしい量ではなく、食べきれる量を意識しましょう。達成感が感じられると毎日のモチベーションにもつながります。

【学童期・思春期】
成長とともに、一回に食べることのできる食事量も増えてくるため、朝食には、主食やたんぱく質のとれるメニューに加え、野菜や果物などのビタミン・ミネラル源がとれるようなメニューも加えられるといいですね。

大人が正しく理解をしているだけでなく、成長期にはどのような食事をどのくらいとることが大切なのかを、子どもたちが理解できるように伝え、子どもがメニューを選ぶ機会をつくるなど、一緒に取り組んでいけるようにしていきましょう。

まとめ

生活習慣病を予防するためには、生活習慣を見直すだけではなく、子どもたちの気持ちや抱えているストレスにも目を向けられるような環境をつくり、子どもたちの心が落ち着ける時間を日々のなかで取り入れていきたいですね。

そのためには、まず大人の心の余裕“ゆったりを意識すること”も欠かせません。

大人も子どもも忙しい毎日ではありますが、時間の長さではなく、一緒に過ごす時間の質を高め、子どもたちの健康も見守っていきましょう。

㈱ミールケア 食育開発部