“おやつ”と聞くとどんなものを思い浮かべますか?
大人にとってのおやつは、「気分転換やごほうびに息抜きや楽しみとして食べる」という側面が大部分を占めるのではないでしょうか。
しかし、子どもにとってのおやつはそれ以外にも大切な役割があります。今回は子どものおやつについてお伝えします。
そもそも“おやつ”とは
おやつは、一日の食事が朝夕の2食だけだった江戸時代、八つ刻(やつどき:午後2時~4時頃)に軽い食事をとったことが始まりで、そもそもは食事と食事の間を補う食事でした。
現在は一日3食の食事をとる習慣があるため、大人にとっておやつは娯楽の要素が強いですが、子どもにとっての 〝おやつ〟には成長期ならではの大切な「役割」があります。
「楽しみ」以外にもあるおやつの役割
①エネルギーや栄養素を補う
子どものおやつにおける大きな役割の一つは「成長のために必要な栄養素を補うこと」です。“おやつ”と言えどその実態は“3食の食事で摂りきれない栄養素を補うもの”=“第4の食事”(補食)なのです。
【乳幼児期】
胃が小さく1回の食事で食べられる量が少ない一方で、成長するために十分な量や栄養素を摂る必要があるため、おやつを上手に活用しましょう。
【学童期】
小学生以降は、3食の食事でエネルギーや栄養素が摂れるようになってきますが、活動量や体格に合わせて適度に取り入れましょう。
習い事や保護者の仕事時間の都合などで食事時間がゆっくり取れなかったり、遅い時間になったりすることが増えると、成長に必要な栄養素が摂りきれないこともあるかもしれません。3食の食事とのバランスを考えて取り入れていきましょう。
②食べることへの関心や意欲を高める
自分で作る・食べるものを選ぶなどの経験を通じて食べることへの関心や意欲を高めることができます。苦手な食材も、おやつにアレンジすることで食べるきっかけになる場合もあります。
③共食力を培い、食文化を学ぶ
おやつを友達や家族と一緒に食べることでも共食力(連載#8)を培うことができますね。おやつは食事の時間以上に楽しみやわくわくが感じられ、より楽しいものになるのではないでしょうか。さらに行事の時期には「ひなあられ」や「かしわもち」などのおやつを通して食文化を学ぶことにもつながります。
このように子どもにとってのおやつとは、ただ単にお腹を満たすものではなく健やかな成長の源であるとともに、様々な学びを得られるものであることが分かります。
おやつを食べるときのポイント
①量
おやつの量は、エネルギーでいうと「一日のうちの10%ほど」が望ましいとされています。幼児では100〜150Kcal、小学生では150〜200Kcal程度が目安です。おやつは3食の食事を中心に食べ過ぎることのないように配慮しましょう。
市販菓子であれば袋ごとではなく器に盛り分けて食べる量を見て分かるようにすると、子ども自身が適量を視覚的に認識できるのでおすすめです。
おやつの量や内容は一日単位で細かく管理するよりは、「昨日は甘いものを食べたから、今日は別のものにする」「最近〇〇を食べていないから明日は食べる」などと食べたものを振り返りながら、食事とのバランスも含めて何を食べるかを考えると良いですね。
②タイミング
「3時のおやつ」という言葉があるように、昼食と夕食の間にあたる午後3時ごろが適しています。夕食に近くなる場合は、夕食の一部(ごはんなど)を先に少し食べ、残りを夕食で食べるのも一つの方法です。
特に乳幼児期はおやつの時間を決めて食べることを心がけましょう。生活リズムを一定にすることで自然とお腹がすくリズムができてきます。「お腹がすいたから食べる」リズムを作るためには毎日の積み重ねが大切です。
③食べ方
おやつの時間は15分程度と決めてダラダラと時間をかけないようにしましょう。何を食べるかにもよりますが、特にスナック菓子や砂糖が多く含まれているものなど栄養バランスが極端に偏っているものを多く食べることは肥満につながりやすくなります。
また、食べ過ぎで夕食が食べられなくなることで栄養バランスの偏りが助長されます。おやつはお腹いっぱい食べるものではありませんが、子どもは量の調整をすることが難しいです。大人がおやつの意味や量・時間などを伝え、最適となるように促しましょう。
また、テレビを見ながら/遊びながらなどの〝ながら食べ〟は避けましょう。〝ながら食べ〟は食べ過ぎにつながりやすいだけでなく、誤嚥や窒息が起こる恐れもあります。落ち着いて座って食べられる環境をととのえましょう。
まとめ
子どもにとっての〝おやつ〟は単なる嗜好品ではなく、成長に欠かせない〝第4の食事〟として身体と豊かな心を育む役割があります。その役割とポイントを理解していただけましたでしょうか。
次回は、具体的にどのようなものをどのくらい食べれば良いかを解説します。