料理家で世界を知るトライアスリートでもある高橋善郎さんのレシピ開発企画「二刀流の流儀」。
日ごろのトレーニングや大会出場時など高橋さんの体感を基に、どんな物が食べたいか、何を食べたらいいかを踏まえて、トライアスロンを構成する3種目、スイム・バイク・ランを愛する人たちに向けて、摂取するタイミングにも言及したスポーツフードを提案します。
優秀食材のじゃがいもで「バランス良く」を実践!
さすがにこの時期は寒さが厳しく、室外トレーニングをするにはウォーミングアップやダウンなど、より一層気をつけなければならないことが多くなってきます。私も数年前に膝を故障してから、特にこの時期は注意するようにしていますし、例えばランニングだけでなくスイム、バイクと負荷がかからないようにうまくトレーニングも分散させるようにしています。
みなさんも気になる箇所があれば、より一層気をつけてトレーニングに励んでいただければと思います。
いつもこのコラムではトレーニングやレース前後におすすめのアスリート飯をご紹介していますが、今回はジュニア向けの食事に焦点を当てたいと思います。
私事ですが、昨年は第二子も産まれ1人目はもうすぐ2歳に。早いものです・・・。まだスポーツの習い事すら始まっていないので栄養指導などもだいぶ先にはなりますが、いつか一緒にトレーニングをしたり、レースに出たり!? そんなところも今から楽しみにしています。
話を戻して、ジュニア向けの食事について。結論からいうと、大人もジュニアも根本的に考え方は変わらないと思っています。というのも、年齢はもちろん性別、体格、そして主戦場にしている競技などさまざまな要素によって大きく変わってくるからです。いくら栄養学的に正しい食事を摂っていても、そこにアジャストしていなければパフォーマンスも上がりづらくなってしまいますよね。
とはいえ、まだまだ成長著しいジュニアに向けて、食事の面で大切なことは「食べられる量を把握する。そして、それに合わせて食材の組み合わせを意識すること」だと思っています。
食べることができる胃の上限量が100%だとして、例えば、ごはん(糖質類)50%、茹でた鶏肉(タンパク質類)30%、茹でた野菜類(ビタミン類)20%だと、普通の方であればヘルシー要素のある食事としていいかもしれませんが、アスリートにとっては少し物足りなさを感じます。
ごはん(糖質類)30%、揚げた鶏肉(タンパク質類)30%、グリルした副菜類(ビタミン類)30%、果物やデザート(ビタミン・脂質類)10%という組み合わせにした場合、エネルギー源である糖質や体を作るタンパク質が摂れるのはもちろん、調理方法も揚げ(揚げ焼きなども含む)調理などを活用して脂質も程よくとって持久力アップに繋げられます。デザート類で糖類を摂ることで脳にも十分栄養を行き渡らせることもできます。
上記で述べたように、主戦場のスポーツの特性によって変えることは必要ですが、上限が決まっているのであればその中で食材の組み合わせを変える、そして調理法にも変化をつけて複数栄養素をできるだけ補うのが良いのではないかと考えています。
そこで栄養素を多く含む食材として、今回は「じゃがいも」に注目してみたいと思います。
じゃがいもは、炭水化物、タンパク質、ビタミンC、食物繊維など栄養素がバランス良く含まれていて、実はかなり優秀な食材なんです。メイン料理の付け合わせとしてはもちろん、副菜に使用すると全体の栄養バランスが良くなり、満足度もかなり上がります。大人になってもフライドポテトが食べたくなるように、じゃがいもは老若男女やっぱり好きな方は多いので。
今回はそのじゃがいもと鶏肉をメインに使用したアスリート飯をご紹介。定食やおかずとしての人気も高いチキン南蛮が手軽に作れて、そして栄養たっぷりの仕上がりにしました。
料理時間
20分
サラダチキンの南蛮風
レシピ
【材料(2人分)】 | |
温かいごはん | 適量 |
サラダチキン(プレーン味・市販品) | 2袋 |
じゃがいも(小) | 2個 |
ブロッコリー | 100g |
ミニトマト | 4~6個 |
オリーブオイル | 小さじ2 |
サラダ油 / 塩 / こしょう | 各適量 |
【A】 | |
スイートチリソース | 大さじ3 |
粒マスタード | 小さじ2 |
【B】 | |
溶き卵 | 1個 |
片栗粉 | 大さじ3 |
塩 / こしょう | 各少々 |
作り方
下準備
・サラダチキン:横半分に切る。
・じゃがいも:芽を取り除き、1〜2cm幅の棒状に切ったら、耐熱皿にのせてラップをする。電子レンジ(600W)で3分ほど加熱。
・ブロッコリー:小房に切り分ける。
・タレ:【A】を混ぜ合わせる。
STEP:01
オーブンシート、またはアルミホイルの上に、じゃがいも、ブロッコリーを広げ、塩・こしょうを振り、オリーブオイルを回しかける。
オーブントースター(目安は1000〜1200Wほど)で7〜10分ほど全体に焼き色がつくまで加熱する。
STEP:02
フライパンにサラダ油を入れ、温めておく。
ボウルに【B】を混ぜ合わせ、サラダチキンを加えて衣をつける。
熱したフライパンで時々ひっくり返しながら、きつね色になるまで揚げ焼き。焼き色がついたら油を切る。
STEP:03
器に温かいごはん、2、3、横半分に切ったミニトマト、たれ用小皿をバランスよく盛り付ける。
【ポイント】
・サラダチキンはハーブやスパイス味などお好みのものをチョイスしてお使いください。
・じゃがいもはいちょう切りなどお好みの切り方でもOKです。
・油は使用するフライパンに対して、高さ1cm弱ほどの量を目安に調理してください。もっと少なくても焼けますが、少しふわっと感が出にくいのでお好みで加減してください。
・スイートチリソースがなければ、定番のタルタル系ソースでも◎。
どうしても脂質は敬遠されがちですが、個人の意見としてはダイエットとアスリート飯は全く違うので、良質な脂質はスポーツ分野においてうまく味方につけてあげるのがいいと思います。毎日食べる料理のバリエーションも広がるので食べ飽きも防止できます。
栄養素は大事ですが、料理はやっぱり見た目も大事。「おっ、うまそう!」と思ってもらえると、そこからしっかり食べることにもつながります。さらには、その気持ちがパフォーマンス向上にもつながってきますので、日々の料理に少しずつ工夫を凝らしてみてはいかがでしょうか。
【参考】米国ポテト協会