前回の話に続き、今回のテーマは「安全・安心のルール」の第2弾です。前回の加工食品の表示と同様に、生鮮食品にも食品の表示ルールがあります。生鮮食品は名称と原産地の表示が義務づけられています。しかし、それ以外にも個々の食品の特性に応じて、さまざまな情報が表示されています。

一つ一つの表示にはそれぞれ意味が込められており、それを正しく知ることでどんな商品なのかがわかり、安心して購入できますね。今まで気にかけたことのない方もいるかと思いますが、これを機にそれぞれの意味を理解して食品選択に活用しましょう。

食品表示のマークを見てみよう① ~卵・乳・肉など~

皆さんは、下記のようなマークを目にしたことがあるでしょうか。これらはすべて「JAS(ジャス)マーク)」です。JASは、国の認める「日本農林規格(Japanese Agricultural Standards)」の略称で、それぞれのマークには、登録認証をした機関の名称が表記されます。小学校の社会科の授業で習ったという人も少なくないと思いますが、改めて確認していきましょう。

JASマーク

JASでは、「食品や農作物の品質の基準」が定められており、審査基準を満たす安全な商品に対してJASマークが付与されます。

しかし、JASマークの表示は義務化されているわけではないので、マークがついていないからといって、安全でないということではありません。

主に卵、乳、肉などの食品に表示されています。

有機JASマーク

農薬や化学肥料などの化学物質に頼らず、自然界の力で生産された食品に表示することができます。

太陽と雲と植物をイメージしてデザインされたこのマークがなければ、「有機」「オーガニック」、それに近い表記はできないことになっています。

農産物はもちろん、畜産物や飼料、海藻に表示されています。

特色JASマーク

日本の伝統的な方法で生産された価値ある製品に表示され、他の製品との差別化ができます。2018年に統合・新設されました。

斬新なデザインには理由があり、国内外において「信頼の日本品質」を一目でイメージできるように日本を象徴するデザインになっているそうです。

主な表示例として、熟成ハム、手延べ素麺、地鶏肉などがあります。

食品表示のマークを見てみよう② ~鮮魚・海産物など~

鮮魚や海産物に表示されているのが「MSC認証マーク」で、通称「海のエコラベル」といいます。国際的な組織「海洋管理協議会(Marine  Stewardship Council)」が認証をおこなっています。

海のエコラベルは、海の環境を守り、持続可能な漁業がおこなえるように、①資産の持続可能性(過剰な漁獲をしない)、②漁業が生態系に与える影響(海の中の生態系を崩さない)、③漁業の管理システム(漁業のルールを守る)と、MSCが設けた漁業認証規格を満たして獲られた魚につけられるものです。

MSCでは、海のエコラベルがついた商品を「サステナブル・シーフード」とし、水産物に独自の認証を与え、私たち消費者が認証のついた水産物を選ぶことによって持続可能な漁業を応援できる仕組みを構築しました。

水産資源には限りがあります。海の環境を守り、いつまでも私たちが水産物を食べることができるようにもっともっと普及していくと良いですね。

食品表示のマークを見てみよう③ ~肉・乳・魚など加工品の衛生管理~

主に、食肉製品、乳、乳製品、魚肉練製品など加工品に表示されているのが、「HACCP(ハサップ)認証マーク」です。HACCPは、アメリカで1960年代に作られた食品衛生管理の方式で、「Hazard Analysis Critical Control Point」の頭文字をとって名づけられました。絶対的な安全が求められる宇宙食の開発をきっかけに定められたものです。

食品の製造や加工、調理、販売に関わる事業者は「HACCPに沿った衛生管理の実施」が義務づけられ、日本では2021年6月にHACCPの導入・運用が完全制度化されました。

この制度は、食品を扱う事業者が、食中毒汚染や異物混入などの危害を発生させないために衛生管理を徹底し、製品の安全性を確保するために設けられ、衛生管理計画や手順書の作成、実施状況の記録など、目に見える形で衛生管理体制を敷くことができます。

(事業者による)認証の取得義務はなく、JASマーク同様に「認証マークがないから危険」ということはありません。ただ、HACCPに沿った衛生管理が実施されていることが目に見えて分かると、消費者は安心できるということにもつながりますね。

まとめ

今回ご紹介したものは、食品表示のマークの中の一部です。ほかにもさまざまなマークがあるので、興味のある方はどんなマークがついているか探しながらお買い物をされてみてはいかがでしょうか。

見た目だけでは安全性の判断が難しいので、やはりここでも表示をしっかり確認してより良い食品を選ぶことが大切です。

次回は、食育の3つの柱、「共食力」についてお伝えします。

㈱ミールケア 食育開発部