キャリア教育のプラットフォームを提供する「TOiRO㈱(東京都千代田区)」は、松井秀喜、本田圭佑を輩出したスポーツ名門校で知られる星稜高等学校1、2年生149人を対象に、アスリート育成年代に特化したキャリア教育「アスリートキャリアトレーニング」を実施した。これは、「スポーツ選手のセカンドキャリア問題」に端を発し、育成年代の段階から部活動で培った能力をどのように社会へ生かすかなどを教育し、キャリアの土台づくりにしてもおうといった試み。

競技に注力するスポーツ選手は、進路・進学のための準備時間、社会経験を積む機会を十分確保できず、引退後のキャリア形成が困難な状況にある。日本オリンピック委員会(JOC)の調査によると、トップレベルで活躍したスポーツ選手の約半数が引退後の就職先に不安を抱えており、「ビジネス社会で自分の能力が通用するのか」「職場に復帰して、自分の能力がついていけるのか」などの声が挙がっている。こうした現状がなかなか脱却できない中で、選手としての夢を追いかけつつ、現役のうちからその他の可能性にも挑戦し、次のキャリアに向けた準備を並行して行う考え方「デュアルキャリア」の必要性が高まっている。

星稜高校で行われた初回の講義は「スポーツ経験を社会に生かすキャリアの考え方と注意点」がテーマ。スポーツ経験を社会に生かすために必要なキャリアの考え方と、気をつけるべき落とし穴について、体育会学生の就職活動から紐解く今からやるべき6つの準備と先輩が陥っているキャリア選択の課題という観点から情報提供などが行われた。

<主な講義テーマ>
・スポーツ経験を社会に生かすキャリアの考え方と気をつけるべき6つの落とし穴
・将来を考える第一歩、キャリアビジョンを描くために必要な土台作り
・自分自身の資質と行動特性を理解する「自分の生かし方」「成長の仕方」

今回講義に参加したのは、全国大会を目指しながら学業を果たすコースを選択する、まさにデュアルキャリア教育が必要な生徒たちで、今後自身に降りかかる可能性のある問題の一端に触れた。担当トレーナーを務めたTOiRO取締役・鶴巻氏は「大学生になってから就職や将来について考えるのではなく、育成年代から自分自身のキャリアを真剣に考える習慣を身につける。新しいアスリートキャリアトレーニングの基準を創出していく」と話している。

講義は、2022年2月までに全6回オンラインで実施する予定。

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編集部