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2020.11.11
食事・栄養学
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スポーツを頑張る女子の健康上のリスク ~女子選手の三主徴 概要~【Z世代におくるスポーツ栄養講座 #08】
坂元 美子(神戸女子大学、管理栄養士) 文・構成:編集部

神戸女子大学・坂元美子先生による「Z世代におくるスポーツ栄養講座」。第8回は女子選手をめぐる健康上のリスク(女子選手の三主徴)についてお送りする。

成長が進んでいく中で、男女の体の構造や習慣に変化が出てくるが、女子は将来の出産に備えて多くの栄養を摂取する必要がある。この時期に無理をし過ぎると、現役を退いた後にも響いてくるため、正しい知識と自分の体をいたわる心を持ってもらいたい。

※Z世代とは、欧米で10~20歳を指す言葉として使われている。すぽとりでは「成長世代」と同義と捉えて使用する。

記事と動画(図表解説あり)両方をご覧いただき、理解をより深めていただければ幸いです

指導者には必ず知ってほしい問題

スポーツを頑張る女子選手には、「女子選手の三主徴:Female Athlete Triad(FAT)」と呼ばれる健康上のリスクが存在し、近年、指導者や専門家などの愛大で問題視されています。

FATとは、疲労骨折、若年性骨粗しょう症などの「骨障害」、「月経障害」、オーバートレーニング症候群や摂食障害をひき起こす「利用可能エネルギー不足」の3つを指しています。この3つの症状は、1つしか出ないこともあれば、同時期に2つ、3つ出てしまうこともあります。中でも、利用可能エネルギー不足は、骨障害、月経障害の原因にもなり得ます。

FATは、女性ホルモンの分泌に異常をきたす、無理な減量、過剰なトレーニング、指導者からの“圧力”など、栄養、精神ともに健全ではない状態が続き、自分が耐えられるストレスの容量を超えると発症してしまいます。多感で体が変化している高校生(中学生)の時期は、少しでも気を抜くと簡単にFATに陥ってしまいます。

スポーツを頑張っている間にFATに発症すると、パフォーマンスが落ちたり、最悪は競技が続けられなくなることにもなりますが、実は引退した後の生活にも響いていきます。最近では、著名な女子のトップ選手が減量や疲労骨折に苦しんだ過去を告白した事例もあります。

元気に競技生活を送るために、FATの正しい知識、対処方法について、次回以降、一つずつ解説していきます。 <<次回へ続く>>

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坂元 美子(神戸女子大学、管理栄養士) 文・構成:編集部
Yoshiko Sakamoto
神戸女子大学卒業後、名将・仰木彬監督、イチローが在籍するオリックス・ブルーウェーブ(当時)の栄養サポートを担当。在任中に球団の栄養サポート体制を構築、日本シリーズ制覇も経験した。その後、スポーツ系専門学校を経て母校に戻り、健康スポーツ栄養学科で教べんを執る。特に、サッカー・野球の栄養指導・サポートに定評があり、強豪校での指導経験が豊富。企業との共同研究、スポーツサプリメント開発を手掛けるなど、活動の幅は広い。プロのスポーツ現場で雇用された管理栄養士の先駆け。

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