食品メーカー「フジッコ株式会社(本社:神戸市)」は、黒大豆ポリフェノールの長期摂取による抗疲労および血管機能改善効果に関する研究成果を発表した。

黒大豆はおせち料理などで使用される日本の伝統食材で、その種皮「黒豆衣(こくずい)」は生薬として活用されている。加工煮豆「おまめさん」を主力商品にしている同社は、黒大豆種皮から成分を抽出・精製し、機能性素材「クロノケア®」を開発。クロノケアは、ポリフェノールを58%以上(主成分:低分子プロアントシアニジン)含み、摂取による抗酸化作用が期待される。

同社によるこれまでの研究で、体内の酸化ストレスを低減することで自律神経機能を調節し、疲労を軽減すること、血管機能の改善効果によって冷えやむくみにも有効であることが確認されている。今回の研究では、クロノケア®の摂取期間・摂取量が疲労と血管機能に与える影響をヒト試験によって検証した。

試験は被験者69名(平均年齢41歳)を対象に、クロノケア®を高用量(300mg/日)摂取する群、低用量(100mg/日)を摂取する群、プラセボ(クロノケア®を含まない)を摂取する群の3群に分け、各試験食を12週間摂取してもらい、4週間ごとに疲労と血管機能を評価した。疲労の評価は、会社の出勤時(9時ごろ)と退勤時(18時ごろ)に実施。体内の酸化ストレスの測定は起床時に採尿し、分析をおこなった。

その結果、出勤時の疲労感は摂取8週目以降、クロノケア®摂取の2群がプラセボ群より改善傾向を示し、退勤時の疲労感は摂取4週目と12週目に高用量クロノケア摂取群が他の2群よりも顕著な改善を示した(上図)。また、血管機能については、血管年齢(動脈壁の弾力性から血管の老化度を測る)は、摂取8週目から各群に有意差がみられ、12週目では高用量クロノケア摂取群では大きく改善された(下図)

研究の結果から、クロノケア®は摂取期間・摂取量に依存して生体内抗酸化作用を高め、疲労および血管機能を改善することが確認された。疲労に関しては、会社の出勤時および退勤時の両方で改善効果がみられることから、労働生産性の向上が期待できる。血管機能については、心血管疾患や脳血管疾患など突然死の原因となる深刻な疾病の予防に役立つ可能性が示唆された。今回の研究ではクロノケア®による毛細血管の増加作用も確認。肌老化や薄毛、むくみ、肩こり、冷え症、眼精疲労など、さまざまな体の不調や病気の予防につながると考えられる。

今回の研究成果を受けて、同社はクロノケア®を配合した自社の新たな食品の開発、機能性食品原料として、飲料やサプリメント等の素材販売を進めていく予定。

スポトリ

編集部