日本歯科大学附属病院(東京都千代田区)は、2023年4月1日より摂食障害患者向けの歯科外来を開設する。歯科分野では日本で初めての試みとなる。

「摂食障害」は心理的な原因で発症する疾患。異常にやせている拒食症(神経性やせ症)と過食発作を繰り返す過食症があり、患者の95%が女性と性差が大きい。過食症の有病率は拒食症(神経性やせ症)の5~10倍と報告されており、うつ病などの精神科的合併症を伴いやすい。拒食症(神経性やせ症)の死亡率は6~11%で、精神科疾患の中でも若年者の疾患として大きな問題になっている。

成長期を迎えて拒食症になると、身長が伸びず、初潮が遅れ、無月経と不妊症、骨粗しょう症、歯の喪失など後遺症をひき起こす要因になる。拒食症は、近年では学校のクラブ活動やスポーツ選手らの間で、体重制限に伴う極端なダイエットや過食嘔吐がみられるケースもあり、低栄養からくる骨粗しょう症と無月経は女性特有のスポーツ障害として大きな問題となっている。

摂食障害(拒食症=神経性やせ症・過食症)患者は、食べ吐きなどの食習慣の変化によって歯が溶けたり、虫歯になったり、口の中にトラブルが起きやすいことがわかっている。食べ吐きの症状がある場合、できるだけ歯を削らずに歯を守っていく治療を施すなど、摂食障害患者の歯科治療は患者ごとの食習慣(症状)を考えた上での治療・予防が必要になってくる。

日本歯科大病院は、治療を通じて摂食障害治療未受診患者、ドロップアウト症例(治療継続断念)に対しては医科受診の機会を探りながら、積極的に受診を薦め、必要であれば適当な医療機関へ紹介するなど、新たな受診体制の構築をしていく。

日本歯科大学付属病院 摂食障害(拒食症・過食症)歯科外来

一般社団法人 日本摂食障害協会
摂食障害の治療と予防の増進に寄与することを目的とし、摂食障害患者及び患者ご家族の支援、摂食障害の啓発活動・予防活動、摂食障害に関する調査研究・発表などの活動をおこなっている。同協会は、摂食障害の治療に長年携わってきた心療内科、内科、精神科医、小児科、婦人科、臨床心理士、管理栄養士など専門家で構成され、全国的な活動をしている。

スポトリ

編集部