長野県唯一の5人制プロバスケットボールチーム
信州ブレイブウォリアーズは2011年に創設され、Bリーグの前身となるbjリーグに参加。2016年にプロ化されると、Bリーグ2部(B2)の中地区に所属した。
プロ参加当初は下位に甘んじていたが、2018年に現ヘッドコーチ(HC)・勝久マイケルがチームの指揮を執るようになると、年々成績が向上し、2020年にはB1への昇格を果たした。
昨季は過去最高位の中地区3位と、あと一歩でチャンピオンシリーズ(プレイオフ)進出を逃したものの、生え抜き選手と新加入でパワーアップされた今季は、さらなる前進が期待される。
チーム名の由来は、長野県の旧国名・信濃の別称「信州」と、武田氏、真田氏と名だたる戦国大名が多く存在していた土地柄から、選手たちを「(真田十)勇士=ブレイブウォリアー」になぞらえ、組み合わせた。
「日々成長」を高く意識して前進を!【勝久マイケルHC】
―今季で就任6年目となります。これまでを振り返ってください。
就任1年目はウェイン(・マーシャル)、(石川)海斗らを中心にチームを作っていけば、チャンスはあると信じていました。
当時から私がいい続けていたのは、「毎日成長しなければいけない」「相手に何をされても動じない準備・対応をする」ということ。これをチーム全員が実践した結果、B2で優勝することができました。チームの土台作り、カルチャーを生み出せたという点で、いいスタートが切れたと思っています。
そのカルチャーは今でも変わらず、チーム全体が少しずつ進化し、優勝に向けて歩んでいるといったところです。
―チームの強みとなる部分は何でしょうか?
ディフェンスです。B2ではナンバー1でしたし、B1に昇格してからもすぐに通用した部分でもありました。
私たちのディフェンスはまず、攻守の入れ替わり(トランジション)をテンポ良くおこない、ハーフコート内でしっかりディフェンスセットします。その中で、相手が簡単にシュートを打てないような形を徹底的に作ることが大切です。
これを実行するためには、各々が対応できるようにチームで決めたルールに則って全員でディフェンスにあたる。容易にシュートを打たせず、ゴール下まで侵入したところを(ウェインの)ショットブロックで仕留める。外れたシュートはリバウンドできっちりとキープする。これが基本です。
この形が機能すれば、自然とオフェンス面でもいい流れを作れますから、「堅実に」「チーム全員で」というスタイルを貫いています。1年目から方針は変わっていません。
―今季は新加入の選手も多いですね。
海斗も5季ぶりにチームへ復帰し、今季はこれまでにないほど選手の入れ替えが激しいものになりました。
ただ、チームのカルチャー「日々成長」に変わりはありませんので、新加入の選手たちにはそのメンタリティーや考えをトレーニングキャンプで伝えてきました。もともといる選手たちとの理解度の差を埋める作業ですね。
大黒柱のウェインら昨シーズンからいるメンバーはもちろん、新加入のスタントン(・キッド、昨季1試合平均得点リーグ10位)への期待も大きいです。彼は完全なるチームプレーヤーですし、チームの戦術にも合っています。
ディフェンスもしっかりやってくれる選手なので、より大きな役割を与えていきたいですし、彼もそれを理解しています。
―HCがチームを率いる上で大切にしていることは何でしょうか?
自分の数字とか、目立つプレーをするとか、そういうことではなく、チームのために全員が一丸となって戦う。これが大前提。
1対1の会話、ビデオミーティングなどを毎日繰り返しながら、全員が同じ方角を向くようにしっかりとコミュニケーションを取っています。
昨日できなかったことは今日できるようにする。「チームのために」が当たり前のようにできるまで徹底する。それらをチーム全体、選手たちに植えつけています。これができなければ、優勝なんてできるわけありませんからね。
―今季の目標は?
もちろん日本一です。そこしか目指していません。チームのカルチャー、練習での姿勢・メンタリティーを大切に目標へ向かいたいと思っています。
得点力に優れる〝国際派〟プレーヤー【#7 SF スタントン・キッド】
―今季は、秋田ノーザンハピネッツから信州へ移りました。
昨シーズンできていたこと(得点)を信州でもしっかりやっていく。一つでも多くの試合で勝利を収められるように貢献したい。HCが掲げる「日々成長」を意識し、毎日一つ一つ積み重ねていているところだ。
―アピールポイントは?
一番の強みは得点力。昨シーズンは3Pもかなり打ってきた(1試合平均7.7本はリーグで4番目に多い)し、ゴールへのドライブなど、得点面で期待されることは大きいので、役割をきっちり果たしたい。
それにプラスして、オフシーズンはプレーメイキングの部分を強化してきた。ディフェンスも磨いてきた。チームの武器でもあるディフェンスがしっかりできれば、オフェンスでもいい形になるだろう。
チームのシステム・戦術の中で、求められることすべてを全うし、チーム全体がレベルアップできるように力を尽くす。
―多くの国でプレー経験がありますが、日本のバスケはどうでしょうか?
とにかく日本人は熱い! バスケをすごく愛しているし、ブースターのみなさんの応援からそれはすごく感じ取れるね。
※NBAをはじめ、豪州・欧州など8カ国でプレーした後、来日。
―長野県の良い所は?
長野県は景色がすごく良くて、どこに行っても自然豊か。自分の生まれ故郷(アメリカ・メリーランド州)とよく似ている。どこに行ってもみなさん優しくしてくれる。いい環境でプレーできているよ。
―今季の意気込みを
リーダーのウェインを中心にベテランから若手までバランス良く、タレントも豊富なチームだ。自分を含めて新加入の選手が多いが、シーズンが深まるにつれて、チームのカルチャーが浸透し、いい方向へ進むと思っている。
3&Dでチームへの貢献誓う若手シューター【#14 SG 星野京介】
―プロ2年目で、滋賀レイクスターズから今季移籍してきました。
プロ入り当初は、スピードや当たりなどが大学とは違い、うまくいかないことが多かったです。2年目で慣れも出てきましたし、信州へ移籍したことで心機一転の気持ちなので、トレーニングや食事などを見直してシーズンを乗り切れるように準備しています。
―自身の強みは何でしょうか?
3Pシュートです。味方のスクリーンをうまく使いながら、少しでもいい態勢でシュートを打つことを意識しています。味方のパスが受けやすいようなポジショニングをすることも心がけながら、成功率40%をめざして腕を磨いています(得意としているのは左右45°)。
これまで、自分で相手を交わしたり、ドリブルで切れ込んでシュートを打ったりすることはあまりなかったので、〝技〟を増やすことで成長していきたいと考えています。念願の#14をもらえたので、ふさわしい選手に近づきたいですね。
※#14は漫画「スラムダンク」の人気キャラで3Pシューターの三井寿と同じ。
あと、ディフェンスも自分の持ち味です。相手へのハードチェック、諦めないでルーズボールを追っていくことなど、泥臭いプレーを徹底していきます。
―長野県のいい所は?
三重県で生まれて、愛知(中部大学第一)、埼玉(大東文化大学)、滋賀で生活してきましたが、長野県は緑がとてもきれいです。バスケに集中できる環境でもあるので、ここでの生活がプロとして成長するきっかけになると思っています。
―今季の意気込みを
チャンピオンシップシリーズ進出、優勝です。ただ、日々成長していくことをまずは大切にしていきたいですね。シーズンが終わった時に「成長できたな」と思えるように頑張ります。