卵関連製品を手がける「イフジ産業(福岡県)」と九州大学大学院は、卵白プロテインにβ酸化活性化効果があることを明らかにした。

卵白に多く含まれるたんぱく質は、必須アミノ酸のバランスと体内利用率が非常に高く、脂質をほとんど含まないことから、良質のたんぱく源として知られている。両者による研究は、卵白プロテインと乳清由来プロテイン(ホエイ・プロテイン・アイソレート:WPI)を用いて、骨格筋細胞における遺伝子発現変動を検証し、卵白プロテインが筋肉細胞におけるβ酸化(脂肪酸の酸化によるエネルギー産生)に及ぼす効果を明らかにすることを目的におこなわれた。

細胞実験では、卵白プロテインとWPIをそれぞれ100mlのリン酸緩衝生理食塩水に15gずつ溶かしたものを使用し、比較対照はリン酸緩衝生理食塩水とした。骨格筋細胞の一種である分化C2C12細胞を2日ごとに培地交換、サンプル添加を行いながら分化誘導し、そこから5日間培養した後にRNAの抽出・回収をおこない、細胞内でのエネルギー産生に関係するβ酸化関連遺伝子の発現を測定した。

その結果、3種類のβ酸化関連遺伝子(CD36、CPT1、MCAD)の発現はいずれも卵白プロテインにおいて特に増加した(図)。これらの発現が増加すると、細胞内のミトコンドリアは活性化し、脂肪酸の分解やエネルギー産生が促進される。これは、脂肪の燃焼によるエネルギーへの変換が盛んになることを意味しており、卵白プロテインを摂取することでダイエットに有効な効果が見込める可能性が示唆された。

両者は同実験に先立って、卵白プロテインの筋肉細胞への作用(筋肉の速筋化誘導など)を確認しており、今後さらなるメカニズムの解析と生体内試験での効果測定が待たれる。

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編集部