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2021.05.22
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すぽとり週刊ニュースヘッドライン【2021年5月19日~21日】
すぽとり編集部

すぽとりが対象とするスポーツ、スポーツニュートリション、食品・栄養、健康、生産分野に関する1週間分の気になるニュース、動向などを厳選し、記事にまとめました(2021年5月19日~21日)。

 

【国産モロヘイヤの製造と町の活性化を目指し、「モロ平野」を開園:5月19日】

「青粒」代表取締役社長・永原豊大氏(左)と上郡町町長・遠山寛(右)

モロヘイヤを中心とした健康補助食品の製造・販売を手掛ける「㈱青粒(本社:兵庫県神戸市)」は18日、兵庫県上郡町でモロヘイヤ栽培試験圃場「モロ平野」の開園式を行った。青粒と上郡町は昨年、国産モロヘイヤの製造開始と産地である同町の再活性化を図るため、モロヘイヤ協定(通称)を結び、休耕地3300㎡を使ってモロヘイヤの苗1000本を試験栽培している。

青粒代表取締役社長・永原豊大氏は、モロ平野を活用して、国産モロヘイヤ商品の開発に向けて収量見込みやコストの安定化を図りながら、肥料や土壌など栽培法の違いによるモロヘイヤの栄養価に関する研究を進めていくとしている。

モロヘイヤは水溶性・不溶性食物繊維をバランス良く含んでおり、腸内環境を整えるのに役立つことが期待されている。抗酸化作用が見込めるビタミンC・E、β-カロテン、ルテインなどが多いほか、カルシウム、カリウム、鉄などのミネラル、葉酸といった栄養素が含まれている。

 

【競泳日本代表・大本里佳、豪・ケアンズ観光アンバサダーに就任:5月19日】

豪・ケアンズの観光アンバサダーに就任した競泳日本代表・大本里佳

東京五輪・競泳日本代表(女子400メートルリレー)の大本里佳が、オーストラリア・クイーンズランド州ケアンズの観光アンバサダーに就任した。大本は強化合宿などでケアンズに何度も訪れており、国内外の大会で常に前進し活躍する姿がケアンズ観光局のブランド・コンセプト「私を満たす 私が変わる」に合致していたことから、今回の就任に至った。

人口約500万人、オーストラリアの約1/4の面積を占めるクイーンズランド州は北東部に位置し、ケアンズ、ブリスベン、ゴールドコースト、グレートバリアリーフなど、人気の観光地を有する州。年間を通じて温暖な気候に恵まれ日本との時差もわずか1時間と、日本との行き来がしやすいことも特徴。

大本は「自然豊かで気候の良いケアンズはトレーニングにも最適で、とても充実した合宿生活を送ることができます。観光アンバサダーとして、大好きなケアンズの魅力を発信し、水泳を通じてケアンズファンを増やしたいと思います。そのためにも、日本代表として最高のパフォーマンスを発揮できるよう全力で頑張ります」と話した。

また、同州政府観光局 日本局長のポール・サマーズ氏は「オーストラリア北東部にあるクイーンズランド州は、年間を通じて温暖なことから、日本からは多くのアスリートがトレーニングに訪れています。州北部のケアンズにも耐久レースや水泳などを含めさまざまな競技の選手が訪れている中、大本選手が観光アンバサダーに任命されたことは非常に嬉しく思います。いまだにオーストラリアへの渡航は叶いませんが、日本の皆様に少しでもクイーンズランド州、ケアンズを知っていただき、往来再開後に訪れていただければと願うばかりです」とコメントしている。

<ケアンズ&グレートバリアリーフ地域の観光情報>

 

【牛乳の栄養価値を評価、中高年で飲用頻度高く(牛乳飲用ネット調査):5月20日】

2021年4月1日~5日に実施された牛乳の飲用に関するインターネット調査から、以下の傾向にあることがわかった。同調査は、リサーチ会社「マイボイスコム㈱(東京都千代田区)」が定期的に行っており、今回が8回目。1万18件の回答を得た。

(マイボイスコムのアンケートデータベースより)

「牛乳が好き」と答えた割合は約8割に上り、男性60・70歳代で傾向が高くなっている。回答者の約8割が牛乳を飲む習慣があり、「牛乳の飲用頻度」について「ほとんど毎日」と答えたのが35.3%、「週1回以上」と答えたのが約6割。男性60・70歳代の飲用傾向が高くなっている。「牛乳の飲用場面」については、「朝食時」が飲用者の53.1%を占めた。

「牛乳を飲む理由(複数回答)」は、「カルシウムがとれる」「健康によい」「おいしい」「栄養が豊富」が各年代の飲用者で40%台に上り、「良質のタンパク質がとれる」が2~3割と、牛乳のもつ健康価値が評価された結果になった。「コーヒー・紅茶など他のものと混ぜて飲める」「コーヒー・紅茶など他のものと混ぜて飲める」は、女性が男性を大きく上回った。「健康によい」と答えたのは高年代層、「カルシウムがとれる」「骨粗しょう症が心配」と答えたのは女性高年代層で多かった。

牛乳を摂取する人のうち、摂取するよう意識している人は約6割、高年代層や飲用頻度が高い層で高くなっている一方、「あまり意識していない」は31.7%で、男性10・20歳代で高い傾向を示した。

 

【森永乳業、ビフィズス菌がラクチュロースを利用する仕組み解明:5月21日】

乳製品メーカー「森永乳業㈱(東京都港区)」は、京都大学・片山研究室、昭和女子大学・飯野研究室との共同研究により、腸内のビフィズス菌を増殖させるオリゴ糖「ラクチュロース」に関する研究成果を明らかにした。ラクチュロースは、牛乳に含まれる乳糖を原料として作られるオリゴ糖で、一緒に摂取したカルシウムの吸収を高めることがこれまでの研究でわかっている。

今回明らかになったのは3点。①ビフィズス菌が持つ、特定の菌としか結合しないたんぱく質「LT-SBP」がラクチュロースの利用に関与していること、②日本人被験者394名中353名(89%)の腸内細菌叢からLT-SBP遺伝子が検出されたこと、③腸内細菌の有するLT-SBP遺伝子量の違い(個人差)が、ラクチュロース摂取によるビフィズス菌増殖作用に影響すること。なお、研究成果は5月10日、科学雑誌「Communications Biology」に掲載された。

この結果から、多くの日本人はラクチュロースを利用できるビフィズス菌を腸内に保有しており、腸内細菌を事前に解析することで、ビフィズス菌の増殖作用の予測がある程度可能になることが示唆された。森永乳業は、研究が進めば将来的に各個人の腸内細菌叢に適したプレバイオティクス素材を事前に予測し、選択することが可能になるとしている。

【微細藻類による歯周病の進行抑制を示唆する研究データを確認 日本大学、ユーグレナ・デンソーによる共同研究:5月21日】

㈱ユーグレナ(本社:東京都港区)㈱デンソー(愛知県刈谷市)は日本大学歯学部・田村宗明准教授の協力の下、微細藻類「コッコミクサKJ」が、歯周病の原因菌であるジンジバリス菌の増加を抑制し、歯周病の進行を抑えることを示唆する研究データを確認した。

歯周病に関しては近年、糖尿病や動脈硬化症、心筋梗塞などの生活習慣病と関係があることが明らかになっており、ジンジバリス菌の増加を抑制することで歯周病の予防・進行抑制を介し、さまざまな病気のリスクを下げることが期待されている。コッコミクサKJはこれまでの研究によって、免疫力向上効果、ウイルスの感染力低下効果が確認されている。

今回の研究では、7週齢マウスの歯に絹糸を巻き付けて固定し、歯ぐきにジンジバリス菌を塗布、3週間後にマウスの口腔内のジンジバリス菌数と、歯周病が進行し、歯の根を支える歯槽骨が溶ける症状(歯槽骨吸収)を測定した。
使用したマウスは以下の通り。

(a) 無処置(コントロール群):ジンジバリス菌の塗布をしないマウス
(b) 歯周病+プラセボ塗布:口腔内にプラセボを塗布したマウス
(c) 歯周病+口腔内塗布:口腔内にコッコミクサKJの乾燥粉末を塗布したマウス
(d) 歯周病+胃内給与(経口摂取による影響を調べるため):コッコミクサKJを胃内投与したマウス

(b)は(a)と比べて口腔内のジンジバリス菌数が増加し、(c)と(d)を比較したところ、(c)の方がジンジバリス菌数の増加が抑えられた(表)。歯周病の進行を観察するため、歯槽骨吸収を測定した(図1)。また、(c)は(b)と比較して、歯周病の進行による歯槽骨吸収が抑えられた(図2)。これにより、コッコミクサKJが、口腔内のジンジバリス菌数の増加を抑制し、口腔内の患部に直接作用して、歯周病の進行を抑える可能性が示唆された。

<表>微細藻類「コッコミクサKJ」による口腔内のジンジバリス菌の減少
<図1>歯周病の進行による歯槽骨吸収の測定                    セメント質エナメル質境界-歯槽骨頂長(赤線)の各臼歯における平均値を、各臼歯の歯槽骨吸収量とした
<図2>微細藻類「コッコミクサKJ」による歯槽骨吸収の抑制            HC:無処置 IC, 歯周病+プラセボ塗布, IO:歯周病+口腔内塗布, IG:胃内給与  横棒は平均値を表す *p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001

両社は2000年代から微細藻類を活用したバイオ燃料化に関する研究を進めており、2018年に微細藻類の事業開発に関する包括的提携を結んでいる。今後も、さまざまな分野において微細藻類の研究開発を推進していくとしている。

ちなみに、デンソーが開発したコッコミクサKJはビタミン類やアミノ酸が豊富な食品素材で、サプリメントなどに採用されている。ユーグレナが開発したミドリムシ(和名)はこれまで多くの研究成果が明らかになっており、健康価値の高い食品としても人気が高い。

すぽとり編集部